原油安の解釈

2017/06/16

市川レポート(No.406)原油安の解釈

  • 足元の原油安は、米国での生産増加傾向と、リビアとナイジェリアでの生産回復が主因とみられる。
  • ただ原油続落なら米シェール企業で採算割れの先も、リビアなどは生産回復なら減産適用となろう。
  • 原油はしばらく軟調な動きが予想されるが、現時点では投資家心理や日本株への影響は限定的。

 

足元の原油安は、米国での生産増加傾向と、リビアとナイジェリアでの生産回復が主因とみられる

ニューヨーク・マーカンタイル取引所で取引されているWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格は、5月25日に一時、1バレル=52ドルの高値をつけた後、下げ足を速め、昨日は44ドル22セントの安値をつけています。相場下落の起点となった5月25日は、石油輸出国機構(OPEC)が総会で協調減産の9カ月延長を決めた日でした。それにもかかわらず原油安が続いているのは、以下2つの理由が考えられます。

1つは米国において原油生産の増加傾向が続いていることであり、もう1つはOPEC加盟国でありながら減産の適用が免除されている、リビアとナイジェリアの原油生産が回復していることです。そのため市場では、OPECが協調減産を延長しても、これらの国々の生産増によって、減産効果は抑制されてしまうとの思惑が強まり、これが足元の原油安につながっている可能性があります。

 

ただ原油続落なら米シェール企業で採算割れの先も、リビアなどは生産回復なら減産適用となろう

米国では、石油掘削装置(リグ)の稼働数が緩やかに増加し続けており、またドライブシーズンを迎えているにもかかわらず、ガソリン在庫が積み上がっています。ただ、このまま原油安が続けば、米国のシェール企業のなかには採算割れとなるところも出てくる可能性があり、米国の原油生産が鈍化すれば、原油価格が下げ止まるという展開も考えられます。

リビアとナイジェリアの5月原油生産量は、4月から日量約35万バレル増加し、これがほぼそのままOPEC加盟国全体の増加量となりました(図表1)。この2カ国が減産の適用を免除されているのは、地政学リスクの影響で生産が落ち込んでいたためです。そのため生産が回復すれば、当然ながら他のOPEC加盟国から減産を求められると思われます。

 

原油はしばらく軟調な動きが予想されるが、現時点では投資家心理や日本株への影響は限定的

以上を踏まえると、原油相場はしばらく軟調な動きが予想されますが、米国での生産増加傾向と、リビアおよびナイジェリアでの生産回復という2つの要因は、原油安が続くことで生産が抑制される可能性があり、次第に解消していくと考えられます。そのため、ここから原油相場の変動性(ボラティリティ)が急上昇しない限り、投資家心理や日本株への影響は限定されると思われます。

原油相場と日本株の関係について考えた場合、原油安でプラスの影響を受ける業種としては、電気・ガス業、陸・海・空運業、パルプ・紙、化学、ゴム製品などが、マイナスの影響を受ける業種としては、石油・石炭製品、鉱業、卸売業などが、一般に挙げられます。もちろん株価の変動要因は原油以外にもあるため、これらは1つの目安に過ぎませんが、直近の動きをみると、一部そのような傾向も窺えます(図表2)。

 

170616図表1170616図表2

 

(2017年6月16日)

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