「株価の上値を抑えるもの」
今週の国内株市場ですが、週間ベースで日経平均が2,400円を超える下落となった先週とは打って変わり、株価が反発する動きが目立っています。
とりわけ、24日(水)の日経平均は前日比で907円高の高値引けとなったほか、テクニカル分析的にも、節目となる75日移動平均線や38,000円台の株価水準も回復させています。さすがに、翌25日(木)の取引は下落して始まっていますが、少なくとも先週からの嫌なムードはいったん落ち着いた格好です。
気になるのは、「ここから先の株価がさらに戻りを試せるか?」となりますが、日米で注目企業の決算が続々と発表されているタイミングでもあり、企業業績を手掛かりにした個別物色が相場全体に波及する展開に期待したいところではあります。
ただし、今のところは、注目企業の決算において「手放し」で喜べるほどの内容だったものは少なく、足元の業績は好調ではあるものの、「先行きの見通しが慎重」だとか、「市場予想に届かなかった」といったものの方が多い印象です。もちろん、決算シーズンはまだしばらく続きますので、企業業績にらみの相場地合いは国内大型連休明けまで持ち越されることになります。
その一方で、株価の上値を抑えるハードルもいくつか横たわっているようにも感じられます。
まずは、先週と今週の相場のムードに影響を与えた、イスラエルとイランの衝突に見られる、中東地域の地政学的情勢です。今週は不安が後退したとして株価が上昇していますが、実際のところは、状況が悪化していないだけで、必ずしも自体が改善したわけではありません。
また、先週の株価下落の大きさと比較して、原油価格や金価格が大きく上昇したわけでもなく、「恐怖指数」と呼ばれる米VIX指数もさほど上昇していないため、そもそも、地政学的な情勢は「売りの口実」になっただけで、「リスクとして市場が織り込んでいない」可能性もありそうです。
また、短期的には需給要因も相場の重石となりそうです。今週発表された信用取引残高は、株価が急落した先週分(4月19日時点)の状況が反映されていますが、買い残高の金額は、前週よりも約2,600億円増加し、4兆8,645億円まで積み上がっています。
ちなみに、前週も同じく2,600億円増加しており、下落の場面が目立つ4月相場の中で、5,000億円以上も買い残高が増えていることになります。その一方で、売り残高はあまり増えておらず、信用倍率(買い残高÷売り残高)は7.29倍となっています。2000年以降で信用倍率が7倍を超えたのは、今回と2013年6月14日週の2回しかありません。
そのため、株価の上昇機運が高まったとしても、戻り待ち売り圧力を消化するだけの買いの勢いが試されることになるため、目先は株価の上値が重い展開が続くかもしれません。
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