12月FOMCの結果分析

2015/12/17

市川レポート(No.188)12月FOMCの結果分析

  • FRBは利上げ決定後、市場の混乱を招くことなく利上げペースのメッセージ発信に成功。
  • 2016年のドット分布はややタカ派的だが、極めてハト派のFOMC声明で動揺を抑制。
  • イエレン議長もハト派のメッセージを繰り返し、米株は上昇、長期金利と米ドルは安定。

FRBは利上げ決定後、市場の混乱を招くことなく利上げペースのメッセージ発信に成功

 米連邦準備制度理事会(FRB)は12月15日、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)においてフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.0%~0.25%から0.25%~0.50%へ引き上げることを決定しました。今回のFRBの課題は、市場に混乱を招くことなく緩やかな利上げペースを織り込ませることができるか否かということでしたが、利上げ後の落ち着いた市場の動きを見る限り、FRBは無事に課題をこなすことができたと思われます。

 前回のレポートで、FRBの基本的なメッセージは「経済状況を慎重に見極めながら緩やかなペースで利上げを行っていく」ことになると予想しました。実際にFRBがどのような形でどのようなメッセージを市場に送ったのか、以下、①FOMCメンバーの経済および政策金利の見通し、②FOMC声明、③イエレン議長の記者会見、この順にそれぞれのポイントを簡単に整理して参ります。  

2016年のドット分布はややタカ派的だが、極めてハト派のFOMC声明で動揺を抑制

 ①では、政策金利の見通しに注目が集まりました。FOMCメンバーの予想値である「点(ドット)」の分布は図表1の通りです。前回9月時点の見通しと比べると、ドット分布の中央値は2017年が2.625%から2.375%へ0.25%低下し、2018年は3.375%から3.25%へ0.125%低下しました。その一方、2016年は1.375%、長期は3.5%で変わりませんでした。この結果、2016年は年4回のペースでの利上げ見通しが示唆されました。

 2016年のドット分布がややタカ派的となったことから市場見通しとの乖離が残り(図表2)、相場の動揺が懸念されましたが、FRBは②のFOMC声明を極めてハト派的な内容とすることでそれを抑制しました。今回の声明では、「緩やか(gradual)」、「緩和的(accommodative)」という2つの文言をそれぞれ2回使用しています。具体的には、(1)金融政策スタンスを「緩やか」に調整することで経済活動の拡大と労働市場の改善が続く、(2)経済は「緩やか」な利上げのみを許すような形で進む、(3)利上げ後も金融政策スタンスは「緩和的」、(4) かなりの金額の長期証券を保有し続けることは「緩和的な」金融環境の維持に役立つ、という箇所です。

 イエレン議長もハト派のメッセージを繰り返し、米株は上昇、長期金利と米ドルは安定

 ③のイエレン議長の記者会見では、利上げ後も金融政策は緩和的であり、金利正常化のプロセスはゆっくり進められるとのハト派的メッセージが伝えられました。また利上げ決定の理由として、FOMC声明に示された通り、雇用や物価に関する利上げの条件が整ったことや、金融政策の効果顕在化までに時間がかかることなどが挙げられ、利上げ遅延のリスクにも言及がありました。これら一連の発言を受け市場に安心感が広がり、米国株は上昇、米国債利回りと米ドル相場は安定推移となりました。

 そして予想通り、超過準備預金金利(IOER)と翌日物リバースレポ金利(RRR)が0.25%ずつ引き上げられました。翌日物リバースレポの金額制限(総額3,000億ドル)は撤廃されましたが、各取引主体は1日あたり300億ドルまでの取引に限定されます。また公定歩合(民間銀行がFRBから資金を借り入れるときの金利)も0.75%から1.00%へ引き上げられました。なお米国東部時間12月17日の午後13時15分に翌日物リバースレポの結果が、同じく18日の午前8時に実効FF金利(日中平均金利)が公表されます。リバースレポ金利が0.25%、実効FF金利が0.25%以上なら、利上げのオペレーションは上手く機能したことになります。

151217 図表1151217 図表2

 (2015年12月17日)

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