株価下落はアベノミクス失敗を意味するのか?

2016/04/06

冴えない日本

このところの日本株下落は、アベノミクス批判に格好の根拠を与えているように見えます。

無理もないでしょう。2015年度、日経平均株価は12.7%の下落となりました。年度ベースの下落は5年ぶりです。アベノミクスを賛美する人は、2012年終盤から日本株が大きく値上がりしたのを、その功績だと吹聴していました。よって、下落したときに批判を受けるのは、因果応報なのかもしれません。

新年度に入ってからも、日本株は一旦急落しました。問題は、これまで好調だった大企業の景況感まで悪化がはっきりしてきたことです。こうした中、金融緩和や公共事業にはあまり頼れません。目先の景気を重視するのであれば消費税率を5%へ戻すのがおそらく最も効果的ですが、現実には難しそうです。

アベノミクスは大失敗?

しかし、日本株の不調だけを指して「アベノミクスは大失敗」と断定するのは、やや公平を欠きます。

公平でないと言うのは、二つの理由があります。第一に、日本株が当初上昇したのはアベノミクス以外の好材料が重なったからです。欧州危機の後退や米国景気の回復などのことです。もともと日本株の上昇は日本の政策だけによるのでなかったとしたら、その下落をアベノミクスだけのせいにもできません。

つまり、日本株は海外の動きに追随する主体性なき市場です。しかもアベノミクスのもとで、この性質はますます強まりました。日本株を海外の投資家にとって重要な米ドル建てに換算すれば、これは一目瞭然です。3年間の傾向として、日本株は米国株とほぼ同じように動いたのが実状だったのです。

米ドル建てで見る

また、米ドル建てで見ると、日本株はそれほどひどくありません。今年、日経平均は円建てで約17%も下落した一方、円は対米ドルで約9%上昇しました。結果、米ドル建ての下落率は10%以内です(4月5日時点)。この点は、「日本株急落=アベノミクス大失敗」とは必ずしも言えない第二の理由です。

日本株を米ドル建てで見ることは、実は日本国民にとっても重要です。円建ての株価が上がっても、円安、つまり円の価値(購買力)が落ちたことの裏返しだとすれば、単純に喜べません。それは見かけ倒しの株高です。だからこそ、通貨価値の増減を反映した米ドル建ての株価を見ることが大切です。円建ての名目数値だけでは実態を見誤るというのは、国内総生産(GDP)や企業収益の場合も同じです。

気がかりなのは、米ドル建てでも、4月の日本株は米国株の動きに逆行して下落している点です。この乖離が広がっていくようならば、国内要因(アベノミクス失敗)によると認めざるを得なくなります。

絶望は不要だが

とはいえ、長い目で見た日本株は海外に追随すると考えられ、かつ、円高のため米ドル建ての下落は比較的限られています。よって、円建ての日本株が急落しただけで、日本に絶望する必要はないでしょう。

第一の点については、現政権も、株価の一時的な変動は海外要因によるもの、という立場を貫いています。そうした主張がどこまで客観的な検討に基づくかは別として、それ自体が完全に誤っていると言えないことは、先に示唆したとおりです。

また、海外情勢は安定しつつあります。米国は利上げに慎重で、中国市場も落ち着きを見せているからです。そのため日本経済の悪化やアベノミクスの手詰まり感にもかかわらず、米国株に追いつく形で日本株が上昇する余地は十分あるでしょう。

ただ、株価が上昇したとしても「アベノミクスで株価上昇」という言い方はもう使えません。上がったときにも「海外要因のおかげ」と言うのが、論理的および倫理的に正当だからです。

 

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