都心で戸建て住宅を建てる

2012/05/07

どういう家がほしいか。人によって好みはかなり違う。予算に制約が無ければ、どんな家でも実現できようが、多くの人々にとって、家は一世一代の買い物であり、財産である。毎日暮らすわけだから、その機能性も大事である。世の中にはマンション派もいれば、戸建派もいる。郊外派もいれば、都心派もいる。

土地は狭いが建物を3階建てにすることで、広い居住スペースや使い勝手のよい住宅が4000万円前後で手に入る。年収500~600万円の30代層が、戸建て住宅を都心に近いところにほしい、というニーズは結構ある。月13~14万円の家賃見合いの支払いで戸建住宅が持てるなら、購入しやすい。

(1)家賃で家が買える、(2)敷地が狭くても、無駄なく建てるので、思ったより広い居住スペースが確保されている、(3)1戸1戸が別々で個性がある、という点を売りにしている会社がある。

三栄建築設計(コード3228)は、都心23区内に建てる3階建て木造住宅企業として、業界トップである。狭い土地を有効活用して、土地が15~20坪の敷地であっても、3階建てにすることで、90m2前後の床面積を実現する。家賃並みの費用で、都心に近く便利な戸建て住宅を4000万円台で提供するビジネスモデルである。

しかも、1戸1戸の家づくりを考え抜いて、オンリーワンの分譲住宅づくりを実践している。このニッチ戦略が功を奏して、年間1000棟を供給するという実績を作り、販売を委託している先である仲介業者から評価されるブランド力を付けてきた。土地取得で競合する同業他社(仲介業者が行う戸建て住宅事業等)からも、戸建て住宅の建築を依頼されるという戸建て住宅の建築請負ビジネスも伸びている。

2012年8月期の2Q累計(上半期)は、経常利益2030百万円(前年同期比-9.1%)と減益になった。大震災の復興需要による影響に伴う分譲住宅の工期の遅れと粗利益率の低下が原因である。リーマンショック後の着工棟数増加及び震災後の着工の回復によって、業界における在庫調整の影響も想定されるが、通期ベースでは取り戻すことができよう。2012年8月期は、経常利益ベースで会社計画の60億円は下回るものの54億円(前年度比+12.2%)は十分達成できよう。

リーマンショック後に地価が下がったところを上手く仕入れたプラス効果は前期までで一巡し、当社の粗利益率は下がっている。これは通常ベースに戻っているという見方ができ、当社のビジネスモデルに変化が出てきたというわけではない。

当社は、2011年8月に東証2部、名証2部に上場した。名証セントレックスから移ったことで、認知度はかなり高まった。2011年8月期は大震災の影響があったにもかかわらず、18期連続で増収増益となり、ピーク利益を更新した。今期も引き続き最高の業績を達成しよう。

首都圏では年間1万棟の3階建て木造住宅の需要があり、市場開拓の余地は大きい。コスト競争力とブランド力がついてきたので、十分拡大できよう。さらに、名古屋圏、大阪圏の都市中心への進出を狙い、まずは昨年10月に名古屋に支店を設立し、活動をスタートさせた。立ち上がりは順調である。

今回策定した中期3カ年計画では、2014年8月期に売上高700億円、経常利益80億円を目標にしており、達成可能な勢いを見せている。長期的には売上高1000億円、経常利益100~150億円を目指すことになろう。ニッチな市場戦略が業績の向上に結びつくにつれ、株式市場での評価も高まって行こう。

株式会社日本ベル投資研究所
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