インドでの事業拡大に期待

2011/09/12

少し前にジーメンスのCFOの話を聞いた。これから攻めのマーケットは中国とインドである、と強調していた。どこの国の主力企業も、攻めるのはこの2大国である。GDPで世界2位と4位、人口で1位と2位である。

日本の多くの企業は、大企業から中小企業まで中国市場の開拓には力を入れた。うまくビジネスを拡大している企業もあれば、呻吟している企業もある。付き合うのが難しい国ではあるが、それなりのノウハウは蓄積してきたと思う。

ところが、インドとなると本格的に参入している企業はまだ少ない。シンガポールにいる投資家(華僑)と話した時に、中国とインドを比べると、中国の方が投資し易いといっていた。中国は共産国家であるが、国家資本主義的な行動で、国が決めたらその通りどんどん進む。インドは最も民主主義の進んだ発展途上国であるが、文化が多様で、民主主義の良さが弊害にもなり、なかなか物事が決まらない。決まってもそれが思うように進まない。従って、外から投資をする時は中国の方が分り易いという話であった。

日本からインドへの株式投資はインド株投信を通して、これまでも拡大してきた。一方、日本企業の海外展開に当って、インドはまだ本格化していない。しかし、この8月からCEPA(日本とインドの包括的経済連携協定)が発効した。10年かけて94%の品目の関税が撤廃されていく。現在の日印貿易は互いの貿易の数%にすぎない。日中貿易の20分の1のレベルである。日本人の駐在員の数でみても、中国1.1万人、シンガポール4500人、タイ2700人、インドネシア1400人、インド500人である。

かつて、GEのジャック・ウェルチがインドに行った時、「GEがインドに来ればインドが変わる、そしてGEも変わる」と言ったという。このGEも変わるという言葉が重要である。今やリバース・イノベーションの時代でもある。大きな途上国マーケットの開拓にあたって、先進国と自負している自分の国の商品やサービスをそのままもっていっても必ずしも通用しない。その国に合わせた商品やサービスを開発し、そこにイノベーションを起こせば、それが逆に先進国でも通用するというパターンである。

日本も昔は途上国として欧米市場を攻めた。中国の次はインドに行って、インドで揉まれながらイノベーションを起こして、インド市場の開拓と先進国への輸出、あるいはアフリカなどの次の途上国への展開へと結びつけてほしい。スズキ(マルチ・スズキ・インディア)が特別ではなく、JFEスチールや日立製作所などインドでの事業拡大を目指す企業の経営力の向上に注目していきたい。

株式会社日本ベル投資研究所
コラム   株式会社日本ベル投資研究所
日本ベル投資研究所は「リスクマネジメントのできる投資家と企業家の創発」を目指して活動しています。足で稼いだ情報を一工夫して、皆様にお届けします。
本情報は投資家の参考情報の提供を目的として、株式会社日本ベル投資研究所が独自の視点から書いており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではありません。また、情報の正確性を保証するものでもありません。株式会社日本ベル投資研究所は、利用者が本情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

コラム&レポート Pick Up