日経平均一時28,507円に到達し2ヶ月振り高値更新…このまま週明けも上昇する?~2022年8月12日版~
日経平均株価が8/12 12:00時点で、6/9に付けた28,389円以来の高値を更新し、一時28,507円まで上昇しました。
この動きを見て「このまま一気に29,000円台だ!」と、ここから更に上昇することを期待している人はいますか?反対に、これまでもそうだったように「また、跳ね返されるのでは…」と心配になっている人はいますか?
これまで我慢比べのような上下どちらの方向に動くか分からない株式市場が続いていましたが、いよいよ、そこから抜け出そうと、株式市場が動きはじめてきているように見えます。
しかし、その一方で夏季休暇に入り、株式市場全体が閑散として、いつもと違った動きを見せているようにみ見受けられます。そのような中、日本株市場は、これからどのような展開が予測されるのでしょうか?
そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは7/28~8/10の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
株トレンド指数は、以下のような6つの指数で構成されています。
- 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
- 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
- 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
- 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
- OVER指数…上昇の前兆や天井の前兆が読み取れる指数
- RISK指数…大幅下落や暴落の前兆を読み取れる指数
※OVER指数・RISK指数は上記グラフには表記されていませんのでご注意ください
これらの指数をふまえると、今週の株式市場は、立会が少ない中、日経平均株価と株式市場全体の動向が”やや連動していない”週でした。
週明け8/8は日経平均株価と株式市場全体が連動し、どちらも上昇傾向でした。しかし、8/9、8/10は、日経平均株価は小幅下落し、株式市場全体は、やや上昇傾向が見られました。
これを考慮すると、致命傷になるようなトレンド判断の誤りをすることは少ないものの、私たちのように株トレンド指数をもとにトレンドを把握している投資家と、日経平均株価でトレンドを把握している投資家に差異があったでしょう。
例えば、8/9は日経平均株価が約250円下落したのに対し、株式市場市場全体は、天井指数と空売り指数が大きかったことが示すように、上昇傾向が見られました。
また、8/10も日経平均株価が約180円下落したのに対し、株式市場全体は、同様に天井指数と空売り指数が大きく上昇傾向が見られました。
小さなところではありますが、こういったところに差異が生じていたので、私たち以外の日経平均株価を基準にトレンドを捉える投資家にとっては、ややスッキリしない展開だったかもしれません。
ただし、このとき注意したいのが、上昇傾向が見られるものの「空売り指数」が天井指数に近い水準まで上昇していることでしょう。
空売り指数は、市場全体が「上昇し過ぎている」ことを示すので、上昇のブレーキのようなものです。反対に、天井指数はアクセルのようなものなので、今週は、アクセルをブレーキを同じだけ踏んでいる状態でした。
つまり、今週の上昇は、上昇傾向の銘柄が目立ちますが、上がり過ぎている銘柄も多いので、ここから上昇気流に乗るような上昇傾向ではないと考えられるでしょう。
また、直近の株式市場は、機関投資家などが夏季休暇に入ってきたこともあり、株式市場全体が閑散としてきています。
そのような背景もあり、上で解説したような傾向は見られますが、あくまでも小さなトレンドの中で、そのような傾向が見られるという話と捉えるのが良いでしょう。
では、その現状を詳しく理解するために、直近2ヶ月の状況を見ると、今週の株式市場は、日経平均株価を基準に見ると、直近はやや上昇傾向にあるものの、依然としてボックス圏を推移していることが分かります。
しかし、上のグラフには入っていない最近のデータ「8/12 12:00時点」では、日経平均株価が6/9に付けた28,389円を、一時的に更新し、28,507円に到達しました。
1月に付けた年初来高値の更新には届きませんが、ようやく今年2月から続くボックス圏を上抜けする可能性が、以前よりも出てきました。
7月中旬から方向感はないものの、株式市場全体が上昇しようとしている動きは見られるので、もし、このまま終値ベースで、6/9時点の株価を上抜けしてくると、これから展開が変わるかもしれません。
そうなると、これまでよりも一段高い位置でのボックス圏に入り、次に展開として日経平均株価29,000円台の回復が射程圏に入ってくるでしょう。
ただし、現在の株式市場の背景として、夏季休暇により閑散としていることがあります。このようなときは、ちょっとした材料で、大きく上昇する傾向もありますが、その半面、大きく下落する傾向もあります。
よって、この夏季休暇が終わるまでは、材料がなければ、今週のように無風状態に近い中、小幅変動し、もし小さなもので材料があれば、通常よりも大きく上下に変動する恐れがあるので、材料の発生の有無には注目でしょう。
週明けのポイント
上昇の前兆や天井の前兆が読み取れる指数「OVER指数」と、大幅下落や暴落の前兆を読み取れる指数「RISK指数」をふまえると、このようなポイントが読み取れました。
※OVER指数・RISK指数は上記グラフには表記されていませんのでご注意ください
【上昇の可能性は?】
OVER指数の直近の動向を見る限り、週明け早々の上昇は難しいと読み取れる。先週に続き、株式市場が、上昇と下落のどちらに向かおうとしているか判断が難しい状況が続いている。
今週のOVER指数を見ても、わずかにプラス圏に入っているだけなので、ここから上昇トレンドが発生する考えるのは難しいだろう。
RISK指数の状況もふまえると、これから株式市場がどちらに向かうかは、ほぼ均衡状態だと判断できる。ただし、どちらかというと、ここから上昇方向へ動き出そうとしている気配はOVER指数から見られる。
しかしながら、依然として、どちらに動こうとしているか全く分からず、均衡状態、もしくは膠着状態にも見える。引き続き、どちらか一方向に株価が向かうことを想定せず、両面で見ていくのが良いだろう。
(※引き続き、OVER指数の監視が必須)
【下落の可能性は?】
RISK指数の直近の動向を見る限り、先週に続き週明けに暴落や大幅下落が起きるリスクは小さいと考えられる。
RISK指数が先週と比較して、若干上昇してきていることは気になるが、まだリスクが発生するような動きではないので、そこまで気にする必要はないだろう。
これを考慮すると、株式市場は、ここから下落方向へ動こうとはしていないと考えられる。
もし、ここから下落方向に動くとしたら、株式市場が閑散としているので、その中で、何らかの悪材料が出たときであろう。
ただし、そういった材料も少ないのが、この時期の特長なので、万が一、株式市場に対する悪材料が出た場合は、RISK指数の動向を見ておくと良いだろう。
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2022/8/12(金)12:00時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
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この記事を書いている人
高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)
トレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。12年間でたった一度負けがあっただけで、11年間安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック。
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