VIX指数先物と日本株の関係

2019/05/27

 

市川レポート VIX指数先物と日本株の関係

  • VIX指数は先物が上場されており、そのポジションは米商品先物取引委員会が毎週公表している。
  • ネット・ショート・ポジションは近年15万枚前後に達すると解消が進み、株安を促す傾向がみられる。
  • 現在、ネット・ショート・ポジションは再び解消されつつあり、日経平均の下値リスクには警戒が必要。

VIX指数は先物が上場されており、そのポジションは米商品先物取引委員会が毎週公表している

VIX指数とは、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、S&P500種株価指数のオプション価格を基に算出するボラティリティ(株価変動率)指数で、市場参加者による今後1カ月の株価変動予想を反映します。例えば、株安を予想する市場参加者が増えると、VIX指数は上昇する傾向があり、株高を予想する市場参加者が増えると、低下する傾向があります。

VIX指数は先物がCBOEに上場されており、株安予想が増えると、先物の買い建玉(たてぎょく、未決済残高のこと)、すなわちロング・ポジションが積み上がり、株高予想が増えると、売り建玉、すなわちショート・ポジションが積み上がる傾向があります。なお、VIX指数先物のポジションは、米商品先物取引委員会(CFTC)により、毎週公表されています(図表1)。

ネット・ショート・ポジションは近年15万枚前後に達すると解消が進み、株安を促す傾向がみられる

図表1では、買いと売りを差し引いた後の売り建玉、つまりネット・ショート・ポジションが、15万枚前後に達すると、ポジションの解消が進み、最終的には、ネット・ロング・ポジションに転じていることが分かります。このように、ショート・ポジションが減り、ロング・ポジションが増える背景には、前述の通り、株安を見込む市場参加者の増加があります。

具体的に確認すると、2017年10月10日における17万4,665枚のネット・ショート・ポジションは、2018年4月10日に9万2,913枚のネット・ロング・ポジションへ転じ、S&P500種株価指数は2018年1月から2月にかけて急落しました。また、2018年10月2日における140,444枚のネット・ショート・ポジションは、2018年12月18日に44,245枚のネット・ロング・ポジションへ転じ、S&P500種株価指数はこの間、大きく下落しました。

現在、ネット・ショート・ポジションは再び解消されつつあり、日経平均の下値リスクには警戒が必要

一方、日経平均株価も、S&P500種株価指数に連れ、2018年1月から3月、そして10月から12月にかけて、大幅な調整が進みました(図表2)。以上を踏まえると、VIX指数先物のネット・ショート・ポジションに解消の動きがみられる局面では、S&P500種株価指数の下落リスクが高まるとともに、日経平均株価にも調整圧力が生じやすくなると考えた方が良いと思われます。

そこで、改めてVIX指数先物のポジションに目を向けると、ネット・ショート・ポジションは2019年4月30日時点で18万359枚と、データが確認できる2004年7月27日以降で最高水準に達しました。現在、ネット・ショート・ポジションは再び徐々に解消されつつあり、日経平均株価は上値の重い状況が続いています。VIX指数先物のポジションだけで株価の動きを判断することはできませんが、少なくとも日経平均株価の下値リスクには警戒が必要と考えます。

(2019年05月27日)

 

190527

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ