株価暴落の理由は?:新型コロナウイルスをめぐる単なる空想か
楽観と悲観の間で
金融市場のムードは、楽観と悲観の間で大きく振幅するものです。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下「ウイルス」)をめぐる最近の相場変動は、異常すぎる激しさと言うべきです。
金融市場は当初、驚くべき冷静さをみせました。ウイルスが猛威を振るう中、米国株は2月中旬、史上最高値をつけたのです。ところが下旬、突如として株価暴落の嵐に見舞われました(図表1)。米国株は7日間で高値から13%も下落し、日本株も追随しました。楽観から悲観へ、ムードが一変したのです。
中国への信頼
きっかけは、欧州、米国、中東など、広範な国・地域におけるウイルス感染の拡大が確認されたことです。これに伴い、発生地である中国やアジアの問題、と油断していた欧米人が、急に焦り始めました。
当初の楽観姿勢には、中国への信頼が背景にありました。この国は良くも悪くも強権的なので、大都市の封鎖や外出制限などを強引に行うことができます。ウイルス問題の一服後は、政策を総動員することで、景気も急回復するでしょう。こうした思わくから、中国株は相対的に底堅い動きを示しています。
欧米などへの不信
一方、ほかの国で中国のような強引な対策をスムーズに行うことができるのか、定かでありません。世界中へのウイルス拡大に対し、金融市場が過敏に反応しているのは、そのような不信があるためです。
例えば欧州連合(EU)は、人・物の移動の自由が根本原則です。そのため、ウイルスが他国に伝播しないようEU内の国境を封鎖することには、極めて慎重です。米国の場合、ウイルス問題を楽観視するトランプ大統領と、問題の悪化を警告する医療の専門家やメディアの間で、不協和音が響いています。
希望はそこに
しかし、希望の光は随所に差しています。まず、中国での新規感染者の減少です(図表2)。つまり、このウイルスは倒せる相手なのです。非常事態である今、他国も中国の強引な手法に学ぶべきでしょう。
また、米国や日本などの研究機関は、ウイルスに効く薬やワクチンの開発を進めています。実用化は数か月先とみられますが、次の冬にウイルスが広がるのは防げるかもしれません。最も勇気づけられるのは、今は人類共通の危機、との認識に立ち、世界中の専門家、政府、人々が連帯しつつあることです。
事実か空想か
もちろん、まだ多くの不明点があります。ということは、ウイルスが一方的に広がる可能性もあれば、徐々に収束する可能性もあるのです。経済への影響も、今後のデータをよく点検するまでは不明確です。
足元の株価暴落は、最悪のシナリオを織り込んだと言うべき激しさです。それは、ウイルスが無限に感染し、世界中の経済が麻痺する、というシナリオです。その根拠は、事実や科学というより、想像や空想です。よって状況が収束に向かうや否や楽観ムードへ戻ったとしても、何ら不思議ではありません。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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