来週の金融市場見通し(2025年3月24日~2025年3月28日)
■来週の見通し
日銀は市場の想定通り、政策金利である無担保コール翌日物レートを0.5%で据え置きました。声明文では、トランプ政権による通商政策が国内の経済・物価に与える影響について、警戒感が示されました。他方、米連邦準備理事会(FRB)も政策金利を据え置きました。経済見通しの不確実性が高まる中、パウエル議長は利下げを急がない姿勢を示しました。来週は引き続き、トランプ政権の動向や内外の経済指標、日銀金融政策決定会合議事要旨(1月開催分)などを確認しながら方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :底堅い動きか
来週の株価は、日米の金融政策会合という重要なイベントを無事通過した安心感から、底堅い動きとなりそうです。日銀の植田総裁は、「米国などの関税政策の影響を見極めたい」と、やや追加利上げに慎重な姿勢を示しました。FRBは、量的引締めのペースの減速を決めました。両会合ともに、株式市場には追い風になる内容で、株価を支えることが期待されます。米景気減速の可能性が意識されていることから、来週は米経済指標の内容が注目されます。
◆長期金利 :一進一退
長期金利は一旦低下したものの、2月の全国消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を上回ったことなどから、下げを打ち消す動きになりました。植田日銀総裁が長期金利の上昇をけん制しなかったことから、若干ながらも金利に上昇圧力がかかる可能性があります。もっとも、外国人は2月、割安感から超長期債を大きく買い越しました。一段の金利上昇局面では押し目を買う動きも想定され、一進一退の動きが見込まれます。
◆為替:当面は方向感乏しい
ドル円は、方向感の乏しい展開が続きそうです。足元、日銀の早期利上げ観測はやや遠のいているものの、引き続き7月に向けて利上げ観測はくすぶり続けるとみられます。一方、米長期金利は、米インフレ圧力の低下がみられる中、米景気の先行き不透明感が高まっており、基調的には低下傾向にあります。そのような環境下、ドル円の上値余地は限定的とみられ、ドル円はしばらく方向感なく調整した後、下値余地の模索を再開する可能性が高そうです。
◆Jリート :上値を探る
Jリート市場は、日米長期金利の動向を睨みながら、上値を探る展開となることが想定されます。日銀金融政策決定会合では、米国の通商政策による経済の不確実性に対する懸念が示されたものの、政策決定の基本スタンスは変わらない旨が確認され、国内長期金利は1.5%台で推移しています。一方、足元では、複数の自己投資口取得が発表されるなど、資本コストを意識した運営がさらに広がっており、Jリート市場を下支えすると見込まれます。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(3月) 3月28日(金)発表
2月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.2%上昇と前月(同2.5%上昇)から伸びが縮小しました。コメを中心とする食料品の価格高騰が続いた一方で、政府による電気・ガス代の補助再開がエネルギー価格を押し下げました。
3月のコアCPIは、伸びが横ばい圏で推移する見込みです。食料品の値上げが根強く続いているほか、賃金上昇を背景にサービス価格も緩やかに上昇する見込みです。
米個人所得・個人消費支出(2月) 3月28日(金)発表
1月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.2%減と、2023年3月以来の減少となりました。昨年末にかけて好調だった自動車が反動で減少したほか、寒波の影響でサービス消費も弱い動きとなりました。また、PCE総合価格指数は前年比2.5%、食料とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同2.6%の上昇と、ともに前月から伸びが縮小しました。
2月のPCEは前月比0.6%増程度、総合価格指数は前年比2.5%、コア価格指数は同2.7%程度の上昇が想定されます。トランプ政権下での関税政策に対する懸念に起因する消費者マインドの悪化が、実際の消費活動に波及するかという点が注目されます。
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