「ソフトデータ」と「ハードデータ」
月跨ぎとなった今週の国内株市場ですが、日経平均の動きを辿ると、月末までは上値が重たい小動きが続いていましたが、月初になると大きく上昇する展開を見せ、ムードが変化したような印象です。
この日(6月1日)は、海外市場からの流れは決して良くはなかったのですが、月初の日経平均は先月(5月)まで11カ月連続して上昇している傾向があることや、取引開始前に発表された1-3月期の法人企業統計の内容(設備投資など)が順調であること、直近の狭いレンジ相場によって市場のエネルギーが溜まっていたことなどが上昇の背景として挙げられます。
ちなみに、法人企業統計の結果はこれから発表される1-3月期の国内GDPの改定値に反映されますが、こうしたデータは「ハードデータ」と呼ばれます。相場をウォッチしていく上で、経済指標への注目は避けては通れませんが、経済指標は「ハードデータ」と「ソフトデータ」2つに分けられます。
ハードデータは、小売売上高や雇用者数、自動車販売台数など、実績を集計して発表されるものになります。もう一方のソフトデータは、消費者や企業担当者などの聞き取り調査などを基に集計して発表されるものです。ソフトデータは景況感や見通しの楽観度合いなど、心理的なデータでもあると言えます。6月1日の取引時間中に、中国の5月財新製造業PMIが発表され、11カ月ぶりに節目の50を下回ったことが注目されましたが、こうしたPMIをはじめ、法人景気予測調査や、景気ウォッチャー調査などはソフトデータに該当します。
データの性質上、ハードデータは遅行指標、ソフトデータは先行指標とも呼ばれています。米国の経済指標では、ハードデータ指標に弱さがみられるものが増えてきましたが、ソフトデータ指標ではまだ堅調であることが、米国経済の見通しの楽観を支えています。5月31日に公表されたシカゴPMIは、発表内容の訂正騒ぎがありましたが、2年6カ月ぶりの高水準を示しています。
シカゴPMIと同じ日に公表されたベージュブック(地区連銀景況報告書)では、概ね堅調という見解が示されましたが、消費で一部鈍化が見られるという内容が嫌気され、この日の米国株市場は小幅安となりました。今後の米国経済は、ハードデータはもちろん、ソフトデータの面で弱さが目立ってこないかが注目されることになりそうです。
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