あなたは、ストラテジストやアナリストのレポートを参考にされますか?

2022/05/20

 

アナリスト駆け出しの頃、私は、大手証券(特に山一證券)の調査レポートをよく読んでいました。当時(30年以上前)は当然ながらインターネットなどなかったので、関連データの在りかを探すのが一苦労でした。そのため、先人の知恵に頼るということ、また自分自身が書き手であったことから、論理構成、文章表現などを学ぶ面で非常に有効でした。
自分はこの水準にキャッチアップするのに何年かかるだろうか、など考えたりもしましたが、しかし、書かれた結論については鵜呑みにすることはありませんでした。
余談ですが、山一證券の調査レポートをよく読んだのは当時所属していた証券会社が山一と提携していたからです。私自身は特定の師匠や先生はおりませんでしたが、山一證券がある意味で師匠だったかもしれません。

さて、それから10年近く経って、外資系証券に所属している時にも偶に競合するアナリストのレポートを目にすることもありましたが、それらのアナリストの認識レベルや思考を把握し、行動を予測したり(例えば、決算発表や大きなニュースが出た際に彼らがその発表内容からどのように投資評価を変える可能性があるかとか)、自分自身のオリジナリティ構築(=差別化)のための参考にしました。

今もマーケット関係で他のストラテジストの方のレポート(コラム)を拝見しますが、(私自身も書き手であるので)見落としているポイントがないかを確認する面も若干はありますが、主目的はマーケットコンセンサス(考え方)を把握するためです。

それ以外にも自分にあまり知見がない分野や、初めての企業についてレポートや書籍を読むことはあります。しかし、投資の結論については参考にはしません。

皆さんはいかがでしょうか?
「A氏が32000円と言ってるのだからそうだよな。」
「B氏も強気だからやっぱりそうだ。」
と半ば鵜呑みにしていることはありませんか?

結果的にそれらの予測が外れて、「どうしてくれるんだ」「コノヤロー」と腹を立てたりはしていませんか?
もし、腹を立てているとしたら恐らく、あなたはあまり良い投資成果を出していないのではないかと思います。

定期的に拝読しているストラテジスト方がいらっしゃいますが、その方は当たるときもあれば、外れるときもあります。その方の意見に同意できる時もあれば、同意できない時もあります。ただ、私自身は天邪鬼なのでその方と逆方向の選択をすることも多いのですが(笑)。

人の意見を参考にするということは、あくまでも自分の考えを整理するため。決して、追従することではありません。これは新聞・TVなどメディア報道に対しても同じだと思います。

 


 

5th Stage Labは真に自律した投資家を育成してゆくことを目的とした投資家教育&投資助言のサービスです。自律した投資家とは、経済、金融市場、企業経営、株価評価など一定の知識を持ち、シミュレーションや仮説を構築し、第三者の言説に(参考にすることはあっても)流されずに投資の意思決定を行い、想定したパフォーマンスを獲得できる投資家です。 ただ単に株価の動きを追うのではなく、金融・経済、企業経営、社会・産業動向、事業分析、株価バリュエーションなどファンダメンタルズ投資への理解を深め、メンタル面でも自立した自己を確立することを目指してゆきます。

社会の動きや人々の行動、経済の動向、ビジネスの仕組み。そうしたものが見えてくると世界観が変わります。自分で仮説を立て、予想し、投資を実行し、それが現実化する過程で、人生そのものに対する自信も深まります。

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この記事を書いている人

藤根 靖昊(ふじね やすあき)

  • 東京理科大学 大学院総合科学 技術経営研究科修了。
  • 国内証券(調査部)、米国企業調査会社Dan&Bradstreet(Japan)を経て、スミスバーニー証券入社。化学業界を皮切りに総合商社、情報サービス、アパレル、小売など幅広いセクターを経験。スミスバーニー証券入社後は、コンピュータ・ソフトウエアのアナリストとして機関投資家から高い評価を得る(米Institutional Investorsランキングにおいて2000年に第1位)。
  • 2000年3月独立系証券リサーチ会社TIWを起業。代表を務める傍ら、レポート監修、バリュエーション手法の開発、ストラテジストとして日本株市場のレポートを執筆。
アイフィス・インベストメント・マネジメント株式会社
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