株価が上がらなくなった日本株マーケット
いよいよ秋となった。
先週は仕事で外出することが多く、スーツで顧客訪問をしていた私は「10月なのになんて暑さなのか」と最高気温30℃の中、汗を拭きながら動き回っていたのだが今週は一転して涼しくなった。急激な変化である。いずれ涼しさが寒さに変わっていき、もうすぐ私の最も好きな冬がやって来る。
さて、9月のモデルポートフォリオのご報告である。9月のマーケットは日米市場ともに上昇となったものの、月末にかけて減速した8月と同様の展開となった。
米国市場は4ヵ月続伸。8月の米雇用統計が市場予想を下回り、PMIや製造業景況感指数など主要なマクロ経済指標が予想を下回ったものの、世界的な金融緩和策の流れを受け買い優勢。ECB理事会での南欧国債の無制限買取の合意、QE3(米国の追加的金融緩和策第3弾)、日銀の資産買入基金の拡大が相次いで発表された。NYダウは9/20にリーマン・ショック後4年9ヶ月ぶりの高値となる13596ドルを付けた。その後は、中国経済への先行き懸念やギリシャにおけるゼネスト、スペイン国債の利回り上昇などで利益確定売りの展開となった。9月のダウは13437ドルで取引を終え347ドル上昇し月間の騰落率は+2.6%。ナスダックは3116ドルとなり50ドル上昇の+1.6%となった。
日本市場は小幅続伸。8月は中旬過ぎまで大きくリバウンドし日経平均は9222円を付けていたが月末にかけて減速。9月に入ってもその流れを受けて6日には8646円まで下落。その後再びリバウンドにより19日には9288円まで上昇し、月末にかけてまた減速するという目まぐるしい展開となった。日米欧の金融緩和政策は好感されたものの、その後の反日デモや中国経済の減速感ならびに高止まりしている為替が上値を抑えた。売買代金は1兆円以上の日が増え、今年最低であった8月よりは改善した。9月の日経平均は30円上昇し月間騰落率は+0.3%となったのに対してTopixは+0.8%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+1.0%、マザーズ指数は+4.8%となり大型株をアウトパフォームした。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における9月のパフォーマンスは-0.8%となった。年初来は+3.3%(8月末+4.1%)、累計では+48.0%(8月末+49.2%)とやや後退した。9月上旬における相場下落により先物のショートによるヘッジ戦略を開始したが、その後リバウンドに転じたためこの実現損が-0.96%となり、その分がマイナスに働いた形となった。株式部分における損益はほぼニュートラルだった。ネットロング比率は8月末の31%からヘッジにより一時は3%まで下落したが9月末には34%へと上昇した。
先月のコラムで、「しばらくは8500円~9100円のボックス圏での動きとなることが予想される」と述べていたが、ほぼシナリオ通りの展開となっている。米国が高値更新をしようが、中国が大きく反発しようが、為替が円安傾向になろうが日本株は毎日売り圧力にさらされて、株価が上昇しなくなっている。
業績回復シナリオはますます遠のき、希望が見いだせない状況であるが、こうしたことは今に始まったことではない。すでに我々は何度も経験している。新たなマーケットトレンドを探りつつ、局面変化に対応できる準備をしておくことが重要だ。