ドル円相場~短期・中期の視点

2017/05/10

市川レポート(No.389)ドル円相場~短期・中期の視点

  • 過熱感からドル売りに押されても本日111円68銭水準に達しなければドル安トレンド転換は回避。
  • テクニカル分析によって示唆されるドル高・円安の目途は、114円64銭水準や116円17銭水準。
  • 日米金融政策見通しも踏まえ、10-12月期は110~120円を予想、ただし米税制改革に注意。

過熱感からドル売りに押されても本日111円68銭水準に達しなければドル安トレンド転換は回避

4月24日付レポートでは、トレンド系チャートのパラボリック・システムが、短期的なドル高・円安トレンドへの転換を示唆したことについてお話ししました。実際のドル円の動きをみてみると、4月17日に1ドル=108円13銭水準をつけた後、ドル高・円安の動きが顕著になり、5月10日の海外市場で、114円33銭水準まで達しています(図表1)。そこで改めてテクニカル分析で目先のドル円の方向感を確認してみます。

オシレーター系チャートのRSI(相対力指数)やウィリアムズのRでは、ドルの買われ過ぎが示唆されており、いったんドル売り・円買いが出回る可能性はあります。ただパラボリック・システムのSAR(ストップ・アンド・リバース)が本日位置する111円68銭水準に達しなければ、短期的なドル安・円高トレンドへの転換は避けられます。なお日足の一目均衡表は、ドル高・円安トレンドを示唆しています。

テクニカル分析によって示唆されるドル高・円安の目途は、114円64銭水準や116円17銭水準

フィボナッチ・リトレースメントでは、2016年12月15日のドル高値(118円66銭水準)から2017年4月17日のドル安値(108円13銭水準)までの下げ幅から61.8%戻したレベルが114円64銭水準、同じく76.4%では116円17銭水準となっており、これらをドル高・円安の目途と考えることができます(図表2)。次に、より中期的な観点から相場をみるにあたって、日米金融政策について整理します。

まず日銀の金融政策について、弊社では2017年度中に長短金利操作の目標水準が変更される可能性は低いと考えています。ただ日銀はこのところ、品不足感の強い中期債の買い入れを減らしており、買い入れペースとして声明文に記されている「保有残高の増加額年間約80兆円」の文言は、7月にも削除される可能性があるとみています。その場合、日銀は長短金利の操作目標やマネタリーベースの拡大方針に変更はなく、引き締めではないことを強調し、円高要因とならないよう市場に配慮すると思われます。

日米金融政策見通しも踏まえ、10-12月期は110~120円を予想、ただし米税制改革に注意

米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策について、弊社では6月と12月に追加利上げが行われると予想します。またバランスシートの縮小は、12月に通知され、来年3月に始まるとみています。なお9月に利上げを見送る理由は、年後半に中国の成長ペースが幾分鈍化し、世界的に景気回復の勢いがいったん弱まる可能性を想定しているためです。この影響が軽微であれば、9月に利上げとバランスシート縮小が通知され、12月に縮小開始という展開も考えられますが、今のところはサブシナリオです。

10-12月期は、バランスシート縮小が市場の焦点となり、為替市場はドル高に振れやすくなると考えます。それを踏まえ、弊社は10-12月期のドル円の予想レンジを110~120円に設定しています。ただ注意すべきは米税制改革の動向です。米国で18年度予算の審議が長引けば、減税やインフラ投資の実行が遅れることになり、年末に向けて想定ほどドル高・円安が進まない恐れもあります。

 

170510図表1170510図表2

 

(2017年5月10日)

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