Jリート:2016年の振り返りと2017年の見通し

2017/01/04

▣ 2016年のJリート

2016年のJリートは、英国の欧州連合(EU)離脱選択や米大統領選でのトランプ氏勝利など、予想外の出来事や、日米の長期金利に振らされる動きになりました(図表1)。

年初はリスク回避の動きが強まり、株式市場とともにJリート市場も大きく下落し、年末に1,747ポイントであった東証REIT指数は1月21日には一時1,607ポイントまで下落しました。日銀が1月末にマイナス金利を導入し、長期金利が急低下したことを受け、資金の調達コストが軽減するとの見方や長期金利と比較して高い水準にあるJリートの分配金利回りの魅力が増すことから、持ち直しの動きになりました。

日銀の追加緩和への期待から、東証REIT指数4月には一時1,981ポイントと2,000ポイントに迫りました。ただ、4月末の会合で日銀が追加緩和を見送ったことから、失望売りが広がりました。その後も、早期の米利上げへの警戒が強まったことに加え、公募増資(PO)による需給悪化が嫌気され、じりじりと値を下げる展開になりました。6月23日に実施された英国の国民投票では、事前の予想に反してEU離脱が選択されたことから急落したものの、すぐに持ち直しました。

7月末の金融政策決定会合で日銀が上場投資信託(ETF)の買入額のみを倍増したことから、政策金利の底打ち観測が広がり、長期金利が上昇したことを嫌気し、Jリートは再び軟調な動きになりました。日銀は9月の会合で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。長期金利の目標をゼロ%程度としたため、マイナス圏で推移していた長期金利が一時プラス圏に浮上したことから、軟調な動きが継続しました。

11月8日の米大統領選でトランプ氏が勝利したことを受け、日米金利が上昇し、東証REIT指数は1,708ポイントまで下落しました。その後は、値ごろ感から買いが広がったことや、日銀が金利の上昇を抑制する姿勢を示したことから、持ち直しの動きになりました。日銀が長期金利の目標をゼロ%程度としていることから、米金利などに比べ金利の上昇は限定的との見方も、Jリートの買い材料になりました。12月に入り、米利上げを受けて、国内の長期金利は一時0.10%まで上昇しましたが、黒田日銀総裁が金利上昇を抑制する姿勢を示したことを受け、長期金利が低下したことを好感し、Jリートは年末にかけても堅調な地合いが継続しました(12月29日時点)。

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▣ 2017年は

年明け1月20日にはトランプ氏が米大統領に就任します。期待先行のトランプ相場が継続するか、一服するかで、金融市場の動きが大きく分かれます。大統領就任後100日間はハネムーン期間と呼ばれ、野党やマスコミが新政権への批判や評価を避けることから、政策が議会で通りやすくなるとされています。就任後の具体的な政策を確認するまでは、金融市場の方向について決め打ちはできません。

トランプ氏が掲げる10年間で1兆ドルのインフラ投資、法人減税、所得減税、金融やエネルギー関連の規制緩和などについてはまだ不透明感が強い状況。ただ、具体的な規模や内容は不透明ながら、就任以降にインフラ投資や減税が実現する蓋然性は高いため、米経済成長を押し上げ、財政出動により財政赤字が拡大するとみられます。また、米金融政策は利上げ方向です。米利上げに加え、成長率の上昇や国債増発による債券市場の需給悪化を背景に、米金利は下がりにくい状況が続くことが見込まれます。

一方、日銀については現行の金融政策を当面維持するとみられます。日銀が長期金利の目標水準をゼロ%としていることから、国内の長期金利は低位での推移が見込まれます。来年度の国債発行計画では市中発行額が減額されたことも、国内債市場の下支え(利回り上昇の抑制)要因です。

国内の長期金利は低位で推移すれば、資金の調達コストが低いこと、分配金利回りが相対的に高いこと、海外に比べ金利上昇リスクが低いことなどが、Jリート市場を支えそうです。東京都心のオフィス市況の回復基調が続いていることも安心材料です。
2016年の東証REIT指数の分配金利回り(QUICK算出)の最低は3.18%、最高は3.78%。直近の分配金を基準に、分配金利回りが3.2%~3.8%の間で動くと仮定した場合、東証REIT指数は1,727~2,051ポイントになります。

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(参考) ― 日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」 ―

  • 2%の物価安定目標達成までは、金融緩和政策を継続
  • 短期金利だけでなく、長期金利についてもゼロ%の目標水準を設定
  • 海外金利の上昇に応じて、長期金利の操作目標を引き上げることはない

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