7月18日妥当レンジ 14,900円~17,300円
1Q決算は下振れがなければ市場はポジティブに反応

2014/07/23

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<マレーシア機撃墜のショックも短期間で織り込みか>
■先週は、オバマ大統領によるロシアに対する経済制裁の拡大発表(7/16)、ウクライナ東部でもマレーシア航空機撃墜(7/18)、イスラエルによるガザ地区侵攻(7/20日以降に再び本格化)などがニュースとして大きく伝えられた。
■国際的緊張や紛争から円高要因となりやすく、18日には一時的に101.09円/ドルまでの円高となったが、22日15時現在では101.50円/ドル前後とマレーシア機撃墜前の水準に戻りつつある。マレーシア機撃墜については責任問題の追及が進むものの、国際経済への影響が小さいとの見方が広がりつつあること、22日発表の6月の米消費者物価指数(CPI)に上振れ期待があることが、為替動向に影響した模様である。
■米10年国債利回りは2.50%を割込んだ水準が続いている。原油価格並びに金(ゴールド)価格上昇に見られるような「質への逃避」も要因として挙げられるが、加えて、米利上げ時期に対する市場見通しが後ろにシフトしている可能性も指摘できるだろう。

 

<コンセンサスEPSは一服であるが>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、前週比で今期ベースは若干プラスとなったものの、来期・再来期ベースではマイナスとなった。決算発表直前で全体的に変化企業数のウエイトが低下する中で、前週比プラス企業比率が低下した。
■今週後半から3月期決算企業の1Q決算発表が本格化する。国内は消費増税後の回復をまだ見極められない中、海外も米国には回復の兆しがあるものの、中国や欧州は停滞気味である。そのため業績見通しを前向きに変化させる企業は少ないと思われる。しかしながら、日本株市場には割安感が強いことから計画下振れとなる企業が少なければ(=計画通りであれば)ポジティブな反応を示すと考える。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,900円~17,300円 (前回 14,850円~17,250円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月18日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月18日)

今期予想EPS 880.07 (前週 879.30円)
来期予想EPS 983.69 (前週 984.49円)
再来期予想EPS 1082.36 (前週 1082.59円)
今期予想PER 17.29 (前週 17.25倍)
来期予想PER 15.47 (前週 15.40倍)
再来期予想PER 14.06 (前週 14.01倍)
来期予想PBR 1.20 (前週 1.20倍)
来期予想ROE 7.79% 前週 7.76%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.85% (前週 6.75%)

*7月18日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 TIW1
日経平均株価は引き続き妥当レンジ下限近くの割安な水準。 

 

TIW2

プラス企業比率は前週の61.7%から46.0%に大きく後退。決算本格化後に注目。

 

TIW3

長期金利が低下を続ける中で、配当利回りは1.5%台を確保。 

 

TIW4 

日経VIは、15.38にまで低下。上昇相場の前兆か?

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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