10月11日妥当レンジ 13,900円~16,100円
2Q決算発表に過剰な期待を抱かないほうが良い

2013/10/16

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<米債務上限問題は解消に向うが>
■米国の債務上限法案妥結に向けた動きが強まり、マーケットにはやや安心感が広がっている。また、先週(10/9)に次期FRB議長に緩和積極派のイエレン現副議長がオバマ大統領より指名されたことから緩和姿勢が継続するとの見方が強まっている。そうした結果、ドルの買い戻しから円安に傾いている。
■緩和継続は、他方で米景気回復が遅れていることを意味しており、日本にとっては輸出数量の伸びが抑制される懸念となる。ニューヨーク連銀が発表した10月の同地区の製造業景況指数(15日発表)は前月から急落しており、今後は米景気の不振に注意が集まることも考えられる。

<コンセンスEPSの変化は、特定2銘柄の要因が強い>
■10月11日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で今期はマイナスとなったものの、来期・再来期においてはプラスであった。これを受けて日経平均の妥当レンジを今回は引き上げる。しかし、コンセンサスの変化要因はファーストリテイリング(9983)の対象決算期変更とソフトバンク(9984)の見通し変化でほぼ説明できる。この2銘柄を除外すると、全体的に業績が好転しているという状態は見られない。
■既に2Q決算発表が終わっている2月決算銘柄においては、実績値が好調であっても通期会社計画が控えめな銘柄は一旦は売られる傾向が見られた。間もなく、3月期決算銘柄の2Q決算発表が始まるが、控えめな(通期業績の)上方修正が多くなれば、利食い売りが優勢となる可能性も考えられる。ただし、妥当レンジの下限付近に日経平均が位置することから、深押しの懸念は小さいと思われる。
■爬行色の強い個別物色の流れが続きそうである。焦点が絞り難いだけに、実績好調で決算発表直後に利食いで売られる銘柄の押し目を丹念に拾ってゆくことが得策と思われる。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,900円~16,100円 (前回 13,600円~15,750円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月11日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月11日)

今期予想EPS 784.05 (前週786.44円)
来期予想EPS 877.88 (前週875.84円)
再来期予想EPS 976.98 (前週972.07円)
今期予想PER 18.37 (前週 17.83倍)
来期予想PER 16.41 (前週 16.01倍)
再来期予想PER 14.74 (前週 14.43倍)
来期予想PBR 1.31 (前週1.27倍)
来期予想ROE 7.97% 前週7.94%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.76% (前週6.78%)

*10月11日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 妥当レンジも株価もBOX内での動きが続きそうである。               

 


期待リターンは直近ボトムよりも上にある。期待先行で上昇していた株価が、大きく下落する局面ではない。予想ROEの向上には業績の伸びと同時に配当性向の改善が求められる。

  

 

  

アナリスト・コンセンサスと日経予想(逆算値)との乖離は依然として縮まらない。                

 

  

前週比プラス企業比率は50%をやや上回る水準にあり、上方修正期待が大きくないことを示している。 

    

                

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
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TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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