9月27日妥当レンジ 14,050円~16,250円
債務上限問題等からリスクオフの懸念
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米債務上限問題、雇用統計発表を控え慎重な動き>
■8月の米FOMCにおける緩和縮小見送りから、米経済に対する回復期待がやや薄らいでいる。10月からの新年度予算案が通らないこと、債務上限問題から、(このまま妥結しなければ)、10月17日頃には資金繰りに問題が生じる模様である。シリア攻撃への対応が曖昧に終わったことから、オバマ大統領の求心力が低下しているとの見方も強まっており、政治的混乱が今後も続く可能性も指摘できる。
■10月4日に米雇用統計(9月)が発表される予定であり(暫定予算が成立しないと発表が遅れる可能性もある)、次回のFOMCを視野に、注目が集まっている。
■本日(10/1)発表される日銀短観を踏まえて、安倍首相は消費税率引き上げの判断を行う。復興特別税の廃止や15年度以降の法人税率引き下げの検討によって、市場の期待を維持すると見られるが、為替も含めて、経済指標に神経質な展開が続きそうである。
■9月27日に総務省が発表した8月の全国消費者物価指数は、コア(生鮮食料品を除く)では前年比0.8%のプラスであったが、コアコア(食料及びエネルギー等を除く)では同0.1%のマイナスであり、デフレから脱却できているとは言えない。
<コンセンスEPSは、来期ベースは上昇したが>
■9月27日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比来期ベースの予想EPSは若干上昇したが、今期、再来期はマイナスとなった。9月26日に日東電工(6988)が採用され、一時的に東急不動産(8815)が除外された。約7割の企業で見通しの変化がない最も閑散としたタイミングであり、今週以降の変化が注目される。今回は妥当レンジの微調整を行う。
■前回も申し上げたが、市場は10月下旬からの2Q決算時に通期予想EPSが上方修正されることを期待しているように見受けられる。これが不発に終われば、調整を余儀なくされる可能性が考えられる。為替動向も注視して、慎重な対応が求められそうだ。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
14,050円~16,250円 | (前回 14,000円~16,200円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月27日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月27日)
今期予想EPS | 790.11円 | (前週792.59円) |
来期予想EPS | 879.28円 | (前週878.90円) |
再来期予想EPS | 976.66円 | (前週977.36円) |
今期予想PER | 18.68倍 | (前週 18.60倍) |
来期予想PER | 16.79倍 | (前週 16.77倍) |
再来期予想PER | 15.11倍 | (前週 15.08倍) |
来期予想PBR | 1.33倍 | (前週1.33倍) |
来期予想ROE | 7.91% | (前週7.91%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.64% | (前週6.63%) |
*9月27日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
現状は妥当レンジではまだ位の水準であるが・・・。
期待リターンの低下は市場センチメントの回復を示している。しかし、ファンダメンタル(企業業績)が良化しているわけではない。5月17日の水準(7.27%)に期待リターンが近づきつつある点は要注意。
変化企業のウエイト(=プラスまたはマイナス変化企業数÷225)。現在は決算の狭間の閑散期でこの状態はあと1~2週間続く。
円安期待が剥落しつつあり、円高方向へ大きく振れることも考えられる。
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |