9月6日妥当レンジ 13,250円~15,350円
オリンピック期待からセンチメント好転が続く
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<オリンピック招致決定でセンチメントは大きく好転>
■2020年の東京オリンピック招致が決定し、大幅高から今週の株式マーケットは始まっている。法人企業統計における設備投資、所定外労働時間など経済が緩やかに回復しているデータも増えてきており、センチメントの好転による上昇が続きそうである。建設・不動産、ホテル・旅行から関連銘柄の物色の広がりが期待される。
■6日に公表された米雇用統計(8月)は、非農業部門の雇用者数は16万9,000人増と市場予想をやや下回った。また、7月の雇用者数も16万2,000人増から10万4,000人増へと下方修正された。ただし、労働時間も時間当り賃金も上昇しており、底流は悪くないとの見方もある。17~18日の米FOMCにおいて量的金融緩和の縮小が決定されるかどうかに注目が集まっているが、緩和縮小に対する市場の織り込みは進んでおり、大きな影響はないと考える。
<日経平均の採用銘柄入替が発表される>
■日本経済新聞社は6日、日経平均採用銘柄の変更を発表した。日東電工(6988)を9/26に採用し、三菱製紙(3864)を10/2に除外する。また、東急コミュニティー、東急リバブルとの共同持株会社設立によって上場廃止(9/26)となる東急不動産(8815)は、東急不動産ホールディングス(3289)として新規上場翌日(10/2)に採用される。
■日東電工のみなし額面は50円であり、6日終値(5,690円)を基準とした場合に日経平均株価への寄与は1.64%となり影響度では第10位となる。また、今回の入替に伴うコンセンサス予想EPSへの影響は、8月30日時点のコンセンサスからの概算で今期ベース16.0円、来期ベース18.4円、再来期ベース20.1円、上方に押し上げられる。妥当レンジへの影響は約300円と算出する。
■9月6日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、今回も全期間(今期・来期・再来期)においてマイナスであった。しかし、前週比マイナス社数よりもプラス社数が上回っており、マイナストレンドが継続するとは考え難い。妥当株価レンジは、やや上方に調整する。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
13,250円~15,350円 | (前回 13,100円~15,150円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月6日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月6日)
今期予想EPS | 790.78円 | (前週791.87円) |
来期予想EPS | 877.16円 | (前週880.13円) |
再来期予想EPS | 975.08円 | (前週977.52円) |
今期予想PER | 17.53倍 | (前週 16.91倍) |
来期予想PER | 15.80倍 | (前週 15.21倍) |
再来期予想PER | 14.22倍 | (前週 13.70倍) |
来期予想PBR | 1.26倍 | (前週1.21倍) |
来期予想ROE | 7.97% | (前週7.97%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.69% | (前週6.83%) |
*9月6日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
日東電工の採用からレンジが上方シフトすることを考えればかなり割安領域。
4月頃の水準にまでセンチメント(期待リターン)が改善すれば大幅高が期待できる。
中小型株は、大型株に対して優位(割安)と言うほどの水準ではない。大型優位の展開が続きそう。
予想配当性向は、前年同時期を下回って推移。下期にかけて増配に期待。
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |