2月8日妥当レンジ 10,750円~12,400円
目先的には波乱含みであるが、中期上昇余地は大きい

2013/02/13

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<妥当レンジの上方トレンドが続く>
■2月8日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、今期予想EPSは引き続き前週比マイナスとなったが、来期・再来期予想EPSはプラス基調が続いている。今期業績においては、まだ円安メリットがあまり顕在化しない中で下方修正企業に引っ張られて予想EPSが低下している。一方で、来期以降は円安、財政出動、米国をはじめとした海外経済の回復を見込む状態が続いている。このトレンドは、3Q決算が終わる今週一杯は少なくとも続くと思われ、株価の下支えになると考える。日経平均の妥当レンジは、今週も来期予想EPSの増加と予想ROEの上昇を受けて、上方に修正する。
■ドル円は94円台半ばをつけた後に、12日のG7においてドイツ財務相の円の動きに懸念を示唆する発言によって1円近く円高に振れている。15日~16日にモスクワで開かれるG20においてもこれまでの日本政府高官の発言等が問題視される可能性もあり、目先は神経質な展開が予想される。
■北朝鮮が核実験を行ったこともまた、対中国関係において微妙な空気を醸成する可能性もあり、尖閣諸島を廻る緊張状態と合せて警戒が必要と考えられる。

<NT倍率はやや低い水準に、再び大型株に戻る展開か>
■NT倍率(週末値)は12月14日につけた12.16倍から先週末は11.65倍にまで低下している。日経平均がマーケットを先導し、た後に他の1部銘柄が追いついてきたことを表している。再度上昇を覗うタイミングでは、日経平均に代表される輸出大型株が先行的に上昇しやすい状態にあるものと考えられる。
■現状のマーケット水準としては、コンセンサス予想をベースにすれば割高感はない。また、4月から5月に対象決算期が13年度に移行するが、再来期予想(15年度)を意識するならば中期的には12,000円超も視野に入ってくると考える(再来期予想をベースにした妥当レンジは:11,700円~13,550円)。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

10,750円~12,400円 (前回 10,500円~12,150円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月8日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月8日)

今期予想EPS 566.76 (前週571.52円)
来期予想EPS 740.65 (前週735.98円)
再来期予想EPS 832.35 (前週824.28円)
今期予想PER 19.68 (前週 19.58倍)
来期予想PER 15.06 (前週 15.21倍)
再来期予想PER 13.40 (前週 13.58倍)
来期予想PBR 1.18 (前週1.16倍)
来期予想ROE 7.84% 前週7.64%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.73% (前週6.56%)

*2月8日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

来期・再来期コンセンサス予想EPSの上昇が続く。

  
 妥当レンジは右肩あがり。ただし、3Q決算一巡後は伸び悩むと考える。

1月からの株価上昇は投資家の期待リターンの改善ではなく、予想ROEの改善。

 

NT倍率は12月下旬から大きく低下。

 

      出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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