投資家と企業の『配当』への考え方~『配当』④~

2017/09/19

<今日のキーワード>投資家と企業の『配当』への考え方~『配当』④~

株式投資における『配当』は企業の株主還元の1つです。そして株主還元は、投資家が投資判断を行う際の重要な判断材料であり、企業は利益成長の成果配分として株主還元を適切に行うことが求められます。前回のマーケット・キーワードでは、配当政策の変遷についてまとめました。今回は、『配当』に焦点を当てたレポートの第4回目で、投資家と企業は『配当』についてどのように考えているのか見ていきましょう。

【ポイント1】 投資家は、「総還元性向」や「配当性向」を重視している

投資家の半数近くは、株主還元や配当政策について説明が不十分と感じている

 

■一般社団法人生命保険協会が調査・発表した2016年度の「株式価値向上に向けた取り組みについて」によると、機関投資家(以下、投資家)は経営目標として企業が重視することが望ましい指標として、株主資本利益率(ROE)の次に、「総還元性向」や「配当性向」と答えています。投資家が、株式投資において株主還元を重視していることがうかがえます。

■時価総額上位1,200社を対象とした調査では、株主還元の数値目標を公表している企業は増加傾向にありますが、安定配当を方針としている等の理由から半数以下にとどまっています。また、企業の大半が株主還元や配当政策について「(十分な)説明を行っている」と回答している一方、投資家は半数近くが「(ほとんど、あまり)説明されていない」と回答しており、今後も更なる投資家への説明が求められるところです。

 

【ポイント2】 「配当性向」は30%程度で横ばい

中長期的に現在の平均より高い「配当性向」を望む投資家も多い

 

■2015年度の『配当』の総額は約9兆円と、企業業績の改善に伴って増加傾向にありますが、「配当性向」は長期にわたり30%程度で推移しています。

■これに対し、投資家が中長期的に望ましいと考える「配当性向」は、企業の状況に応じて求められる株主還元の水準は異なる等の理由から、「水準にはこだわらない」との回答が全体の37.6%と最も多くなりました。ただし、「30%以上40%未満」も32.3%と高く、40%以上が望ましいと考える割合も12.9%となっています。

 

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【今後の展開】 より一層の株主還元の説明や配当水準の向上が期待される

 

■投資家の株主還元や『配当』の水準に対する満足度は、46.2%が「半分程度(4~6割)は満足できる」と回答した一方、30.1%が「満足できる企業は多くない」と回答しています。企業業績の改善などに伴って、日本企業の内部留保額はリーマンショック前の水準を上回って過去最高水準にある中、企業が投資家に対して株主還元の説明を充足することや、『配当』の水準を引き上げることが期待されます。

 

(2017年 9月 19日)

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