最近の指標から見るブラジル経済(2016年1月)~景気低迷と物価高が継続~

2016/01/27

最近の指標から見るブラジル経済(2016年1月)~景気低迷と物価高が継続~

【ポイント1】生産と消費が一段と低迷

内需、外需ともに弱い状況
■15年11月の鉱工業生産指数は、前年同月比▲12.4%(前月は同▲11.1%)、同月の小売売上高は同▲7.8%(前月は同▲5.7%)と、いずれもマイナス幅が拡大しました。

■13年4月以降の大幅な金融引き締めで内需が抑制されているうえ、中国の景気減速などから外需も弱く、景気は総じて低迷しています。

20160127br1

【ポイント2】物価上振れが続く

中銀は景気下振れも警戒
■1月前半の消費者物価指数は、前年同月比+10.74%と、前月(同+10.67%)から上昇しました。家庭向け電気料金(全体の4%)が前年から50%近く上昇したことなどが、全体を押し上げました。

■中銀は、今月の会合で政策金利を据え置き、利上げを見送りました。物価抑制を優先してきたこれまでの方針を軌道修正し、景気下振れへの警戒をより強めたかたちです。市場の一部には、利上げによる景気下押しを懸念する政府の意向が中銀の政策に影響したとの見方もあります。

20160127br2

【今後の展開】利上げ観測が後退し、レアルへの下押し圧力が警戒される展開

■政府は財政再建に向け歳出削減や増税を進めており、景気に下押し圧力がかかっています。電力会社への補助金削減で電気料金の大幅な値上げを認めたことから、物価の上振れにもつながっています。政府の財政政策は、景気抑制と物価押し上げの両方の要因となっています。

■景気下振れと物価上振れが警戒されるなか、中銀の金融政策には手詰まり感が強まっています。また、政府からの中銀の独立性に対しても、懸念が生じています。米国の利上げや中国の景気減速など、海外の不透明要因もあり、レアルへの下押し圧力が警戒される展開が当面続きそうです。

(2016年1月27日)

印刷用PDFはこちら→

今日のマーケット・デイリー 最近の指標から見るブラジル経済(2016年1月)~景気低迷と物価高が継続~

関連マーケットレポート

2016年 1月21日 ブラジルの金融政策(2016年1月)

2016年 1月15日 「リオ五輪」まで203日、準備は順調?(ブラジル)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ