不動産大手の『中小型ビル』への参入が本格化

2019/08/30

 

不動産大手の『中小型ビル』への参入が本格化

オフィスビル仲介大手の三鬼商事は、オフィスビルの空室率や平均賃料を毎月公表しています。2012年6月には9.43%であった東京都心5区の空室率は2019年7月には1.71%となり、極めて低水準となりました。こうした良好な不動産需給を背景に不動産大手は、これまでは人気の高い都心の大型ビルに注力してきましたが、ここにきて『中小型ビル』への参入が本格化してきました。今後の動向が注目されます。

【ポイント1】7月の都心5区のオフィスビル空室率は極めて低水準

■新築ビルの成約などが順調で良好なオフィスビル需給が続いています。8月8日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の2019年7月のオフィスビル空室率は、1.71%となり極めて低水準にあります。また平均賃料は、坪当たり2万1,665円となり、67カ月連続で上昇が続いています。

■こうしたオフィスビルへの旺盛な需要に対応するため、不動産大手は人気の高い都心の大型ビルの再開発を優先して進めてきました。一方、『中小型ビル』の取り組みは遅れがちでした。ただ、ここにきて新築でグレードの高い『中小型ビル』のニーズも高まり、『中小型ビル』への不動産大手の参入が本格化してきました。

【ポイント2】野村不動産など大手が参入

■『中小型ビル』の開発で先行したのが野村不動産です。2008年に第1号案件が竣工し、「PMO」ブランドで都内に次々に建設してきました。同ビルは大規模ビル並みの設備やセキュリティ面を備え、『中小型ビル』のイメージを向上させました。また今年7月に、同ブランドに加えて更に一回り小さく、従業員10人未満事業者向けの個室型の賃貸オフィスブランド「エイチワンオー」を立ち上げると発表しました。成長期の新興企業の需要の取り込みを図ります。東京都心部を中心に2023年度までに15拠点の開設を計画しています。

■三菱地所は今年1月に、高いデザイン性と快適性を兼ね備えた『中小型ビル』をシリーズ名称「CIRCLES(サークルズ)」として展開すると発表しました。敷地面積100坪前後の土地に、コンパクトオフィスビルを、東京都心部を中心に年間3-5棟前後をシリーズ展開するもので、第一弾を建設中です。

【今後の展開】『中小型ビル』への不動産大手の参入加速を期待

■『中小型ビル』は個人の所有などが多く、なかなか建て替えが進まず、大規模新築ビルの周辺に築年数の古い『中小型ビル』が多く残っているのが現状です。魅力的な都市開発を進めるうえで『中小型ビル』の再開発も欠かせません。不動産大手の参入が一段と加速して、『中小型ビル』の開発、再生が進むことが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2019年09月02日)

印刷用PDFはこちら↓

不動産大手の『中小型ビル』への参入が本格化

関連マーケットレポート

2019年08月13日 『街角景気』は大幅悪化、梅雨明け遅れの影響も

2019年07月16日 6月『オフィスビル空室率』は低水準継続

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ