GPIF、リスク資産を買い増す余力は残る

2019/02/05

GPIFの2018年度第3四半期運用状況のポイント:

  • 株安、円高を受け、大幅な赤字
  • 年明け以降は、大きく収益が改善している模様
  • 国内債券の構成割合が昨年9月末から3%近く上昇した一方、国内株式の構成割合は基本ポートフォリオを下回る水準
  • 国内債券を減らし、リスク資産を増やす余力はありそう

▣ 大幅な赤字も、年明け以降は赤字が大きく縮小している可能性

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2月1日、2018年10~12月期の運用実績を公表しました。国内外の株式市場が大幅に下落したことや円高の進行を受け、14兆8,039億円の赤字と、3四半期ぶりの赤字となりました(図表1)。

国内債券は4,242億円の黒字だったものの、国内株式が7兆6,556億円、外国株式が6兆8,582億円、外国債券は7,182億円の赤字でした。昨年4月以降の収益額も、6兆7,668億円の赤字になりました。もっとも、年明け以降は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め(利上げ、保有資産の縮小)や米中貿易摩擦への過度な警戒感が後退していることに加え、良好な米経済指標などを背景に、内外の株価が持ち直しており、2月4日時点では6兆円近く赤字が縮小している可能性があります。

▣ 国内債券売り、外国債券買い継続

2018年10~12月期の売買動向については、国内債券の売り、外国債券の買い増しが続きました(図表2)。国内株式については、10億円前後の買い増しにとどまったとみられ、国内株式の大幅下落に対して、大きく買いに動いた形跡は認められませんでした。外国株式についてはわずかながら売却した模様です。

▣ 国内株式は持ち直しも、構成割合は25%を下回る水準

各資産の構成割合については、国内債券は6,600億円程度の売却があったものの、4,242億円の黒字となったこと、全体の運用資産額が減少したことから、2018年9月末の25%台から28%台に大きく上昇しました。国内株式については久しぶりに基本ポートフォリオの25%を下回りました。外国債券については大きく買い増した結果、基本ポートフォリオの15%を上回り、17%台まで上昇しました。外国株式については、25%を下回りました。

足元でも、国内債券の割合は27%台を維持しているとみられ、国内債券を売却し、他の資産を積み増すことはできそうです。

他方、国内株式の割合はまだ25%を下回っており、買い余力は残っている格好です。もっとも最近は、国内株式、外国株式ともに、大きく買い増す動きは見られていません。実際に動くかは微妙ですが、相場急落時の心の支えにはなりそうです。

※基本ポートフォリオは、年金特別会計で管理する積立金を含めた年金積立金全体に対し、国内債券35%(乖離許容幅±10%)、国内株式25%(同±9%)、外国債券15%(同±4%)、外国株式25%(同±8%)。なお、国内債券の乖離許容幅については、国内債券と短期資産の合算を国内債券の乖離許容幅の範囲内にとどめる。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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