日銀、政策修正見送り、大規模緩和を維持

2023/01/19

▣ 大規模緩和を維持

日銀は1月17、18日に開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めました。市場では昨年12月に続き、長期金利の上限を引き上げるなどの政策修正に踏み切るとの観測が広がっていましたが、今回の会合で日銀は許容する長期金利の上限を0.5%程度のまま維持しました。

▣ 2023年、2024年の物価見通しは、2%を下回る水準

合わせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、2022年度の物価見通しを、昨年10月の2.9%から3.0%に、2024年度は1.6%から1.8%に引き上げましたが、2023年度については1.6%のまま据え置きました(図表1)。

2023年、2024年の物価見通しが、日銀の物価安定目標の2%を下回ったことで、政策修正への思わくがやや後退した格好です。

▣ 共通担保資金供給オペを拡充し、イールドカーブをコントロール

また、日銀は一定の担保を裏付けに金融機関に資金を供給する「共通担保資金供給オペ(公開市場操作)」の貸付利率について、ゼロ%固定から貸付けのつど決定する方式に改めました。貸付期間は10年以内で、こちらも貸付けのつど決定するとしています。この措置は、イールドカーブ(利回り曲線)の歪みを是正することが狙いとみられます。

仮にある年限の国債の利回りが日銀の適正とみる水準を大きく上回っていた場合、その年限に対応する期間の共通担保資金供給オペで、国債利回りを下回る水準に貸付利率を設定すれば、金融機関は低い利率で日銀から資金を借り、高い利回りの国債を買うことができます。金融機関が国債を買えば、国債の利回り低下が促され、貸付利率の水準に近づけることができることになります。

▣ 金融市場の反応は

18日には現状維持の決定を受けて、政策修正を警戒していた株式市場では投資家心理が上向き、日経平均株価は600円を超える上昇となりました。また、会合前には0.51%と日銀が許容する上限の0.50%を上回っていた長期金利は一時0.36%まで低下しました。ドル買い・円売りが強まり、128円台で推移していたドル円は一時131円台半ばまで上昇しました。

▣ 今後は日銀総裁人事と共通担保資金供給オペにらみ

今後は指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指値オペの利回り水準と、共通担保資金供給オペの貸付利率が、市場金利の目安となる可能性があり、適正なイールドカーブの形成に寄与しそうです。

日銀が早晩、長期金利の許容上限をさらに拡大する、あるいは長期金利をゼロ%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(YCC)を撤廃するなどの金融緩和策修正に踏み切るとの観測は根強いものの、しばらくは日銀総裁人事に加え、共通担保資金供給オペの効果を確認していくことになりそうです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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