来週の金融市場見通し(2025年7月28日~2025年8月1日)

2025/07/25

■来週の見通し

参院選では、自民・公明の与党が非改選を含めて過半数を割り込みました。ただ、想定以上の大敗は避けられたとの受け止めもあり、市場への影響は限定的でした。他方、トランプ米大統領が日本への相互関税を25%から15%に引き下げると表明したことを受け、市場心理が大きく改善しました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀金融政策決定会合は現状維持の見込みです。米国と欧州連合(EU)などとの関税交渉に加え、経済指標や決算発表なども確認しながら方向感を探ることになりそうです。

 

◆株価 :値動きが激しい展開か

今週の日本株は、日米関税交渉が妥結したことなどを好感し上昇しました。とくに自動車関税引き下げを受けて自動車株が大きく上昇したこと、また日銀の追加利上げへの期待から銀行株が上昇したことから、日経平均株価は一時42,000円台に乗せました。参院選の結果を受けて、石破首相が辞任する意向と報じられ、新政権の経済政策への期待が広がったことも、株価を押し上げました。ただ、週後半は利益確定売りが優勢になりました。

来週は、値動きが激しい展開が予想されます。日米の主要企業決算のほか、日米の金融政策に関する会合、米国の国内総生産など重要な経済指標の発表が予定されており、イベント後は荒い値動きとなる可能性があります。経済指標や決算が市場予想を上回るなど、好材料が出てくると、一段と株価が上昇する展開も想定されます。

 

◆長期金利 :政局、日米金融政策にらみ

今週の長期金利は、参院選での与党の敗北で国内政治の不透明感が強まり、日銀の利上げが難しくなりかねないとして、一旦低下したものの、日米の関税交渉合意を受けて投資家が運用リスクをとる姿勢を強め、安全資産とされる国内債に売りが出たことに加え、日銀が利上げに動きやすくなるとの見方も広がり、一時1.605%と2008年10月以来の水準まで上昇しました。

来週は、政局や金融政策を確認しながらの動きとなりそうです。財政緊縮政策を掲げてきた石破首相が退陣し、一段の財政拡張政策がとられるとの警戒は国内金利の押上げ材料です。また、関税による経済への影響に不確実性が残る中、日銀は利上げを見送るとみられますが、年内に利上げするとの観測も根強い状況です。FOMCで利下げ時期への何らかの示唆があるかも注目されます。

 

◆Jリート :居所を探る

今週のJリート市場は、参院選での与党過半数割れと日米関税協議の合意を受け、長期金利の上昇と大幅な株高が進むなか、底堅く推移しました。今週末の分配金利回りは4.809%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)でした。

来週は、長期金利の動向や日銀の金融政策に関する報道、国内の政局をにらみつつ、居所を探る展開となることを想定しています。財政拡張懸念から長期金利が上昇するとJリート市場の下押し圧力となりそうです。また、日銀の金融政策に関する報道は注意深く確認する必要があります。一方、日米貿易協議が合意に至ったことで投資家心理が改善したことは安心材料です。良好な不動産市場や4%台後半の予想分配金利回りに着目した一定の買いなどの下支えに期待したいところです。

 

◆為替:ドル高・円安に振れやすい展開

今週のドル円相場は、ドル安・円高で始まりました。参院選では与党の議席が過半数割れとなったものの、石破首相が続投の意思を示したことから円を買い戻す動きが広がりました。その後は、日米通商合意を受けた、日銀の利上げ観測の強まりから、1ドル=146円近くまで円高が進行しましたが、米景気の底堅さを示す経済指標の発表を受け、1ドル=147円程度まで戻しました。

来週のドル円相場はドル高・円安に振れやすい展開が予想されます。7月のFOMC後の記者会見で、パウエル議長が利下げに慎重な姿勢を示した場合や、米雇用統計で底堅い雇用環境が確認された場合には、ドル高が進行する可能性があります。一方、植田総裁が追加利上げを示唆したとしても、年内の利上げはある程度織り込まれていることから、円高の進行余地は限定的とみられます。

 

◆米国株 :決算や関税交渉に注目

今週の米国株は、日米の関税交渉の合意を好感した買いなどから底堅い動きとなりました。日本に続き、EUとも合意間近だと伝わったことも株価を支えました。

来週は、決算発表や関税交渉が注目されます。来週は、マイクロソフトやアップルなど主要ハイテク企業の決算が予定されており、決算発表後は指数の値幅も大きくなる可能性があります。また、8月1日に期限を控えるEUなどとの関税交渉も注目されます。関税交渉が進展せず、EUやカナダに対する関税が引き上げられると、株価は調整することが予想されます。FOMCでは、政策金利が据え置かれるとみられますが、パウエル議長が利下げに前向きな発言をすると、株式市場は好感することが予想されます。

 

来週の注目点

消費動向調査(7月) 7月31日(木)発表

消費動向調査によると、6月の消費者態度指数は前月差1.7ポイント上昇し、2か月連続で改善しました。コメ価格の高騰一服などを受け、暮らし向きに関する指数が上昇しました。内閣府は消費者マインドの基調判断を「弱含んでいる」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正しました。

7月の消費者態度指数は持ち直しが続く見込みです。コメ価格は下落傾向が鮮明となっているほか、春闘で妥結された賃上げの適用が広がっていることも消費者マインドの追い風となりそうです。

米雇用統計(7月) 8月1日(金)発表

米雇用統計によると、6月の非農業部門雇用者数は前月差14.7万増と、市場予想を上回る結果でした。民間部門の雇用は減速した一方、州・地方政府の教育関連の雇用者数が上振れました。失業率は4.1%と前月から低下しました。

7月の非農業部門雇用者数は前月差10.1万増、失業率は4.2%程度を想定しています。民間企業がレイオフに踏み切る動きは限定的であることから、雇用は緩やかな減速にとどまるとみられます。実際、直近の新規失業保険申請件数は6週連続で減少し、3か月ぶりの低水準となっています。

 

 

 

 

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