不透明感の中の嵐
中秋の名月に続いてスーパームーン。ともに素晴しい月の姿が楽しめた。慌ただしい生活の中にはあるが、こういう自然を楽しめる心の余裕は持ちたいものである。さて、遅くなったが8月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
8月のマーケットは日米市場とも嵐のような展開。
米国市場は大幅反落。7月の雇用統計は+21.5万人と堅調を維持したものの、FRBによる利上げの警戒感が強まる中、中国市場の急激な下落に加えて人民元の切り下げにより中国経済減速への懸念が高まり世界同時株安に。8/25には日中下げ幅が過去最大の1089ドル安を記録し、NYダウは15666ドルまで下落。その後は中国の追加的金融緩和策や米国マクロ経済指標の好調で買戻しの展開に。7月のNYダウは16528ドルと前月より1162ドル下落し月間騰落率は-6.6%。ナスダックは4776となり351ポイント下落の-6.9%となった。NYダウの下落幅は08年10月以来の大きさ。
東京市場も大波乱。8月中旬まではTopixが8日続伸となるなど好調に推移していたが、世界的株価急落の影響を受けて日経平均先物は一時17160円まで下落。4-6月のGDPは年率-1.6%と3四半期ぶりにマイナスに転落。月初は125円台だった為替も一時116円台の円高に。売買代金は4兆円を超す日もあり大商い。7月の日経平均は18890円で取引を終え、7月末の20585円から1694円下落し月間騰落率は-8.2%、Topixは-7.4%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-7.6%、マザーズ指数は-15.4%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における8月のパフォーマンスは-5.9%となり、年初来+3.6%、累計では+157.5%(7月末+173.5%)と大きく後退した。保有株式のウェートは7月末の82%から75%へ低下。ヘッジ戦略を実施していないためネットロング比率は75%。ポートフォリオの新高値銘柄は8銘柄となり先月の10銘柄から減少。下落前の8月初旬までは建設、小売り、ディフェンシブといった内需系に加えて金融関連の好パフォーマンスが目立った。
9月も大荒れの展開となっている。中国の景気減速懸念や米国の利上げのタイミングの不透明感を背景に、世界的なマーケットの調整局面が継続している。それに加えてフォルクスワーゲンの欧米での排ガス不正問題が発覚し、ドイツ経済への懸念も市場参加者の投資心理を悪化させた。さらにグレンコアなどの資源関連にもクレジットリスクが出てきている。
日本市場も冴えない展開であり、9/29の日経平均は17000円割れとなった。海外勢の売りに加えて、急落に伴う投げ売りが出ており、大きく下げる時によく見られる毎度の光景である。
先週末のアベ・クロ会談や8月の全国消費者物価指数が-0.1%と2年4ヶ月ぶりのマイナスに沈んだこと、日銀のETF購入の年内枠が今のペースだと上限に達してしまうことなどから、何らかの金融緩和策が10月に行われる可能性が高くなっている。また、まだあまり明確ではないが、アベノミクス第二幕による日本経済活性化への戦略が徐々に出てくるとみられる。
もちろん外部環境の不透明感は短期的には払拭されるとは思われないが、そうは言ってもマーケットがいつまでも一方通行的な動きを続けることはない。新たなストーリーに遭遇するごとにポジティブな投資戦略を繰り出していけば、運用資産の挽回は十分に可能だと思う。10月下旬の第2四半期決算も重要なイベントなのでじっくりと観察していきたいところだ。
悲観的すぎず、楽観的すぎずという姿勢が重要である。
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