身の回りのウェルビーイングを見つめて
・長らく「雇用を増やす会社がいい会社」とみてきた。これまで雇用を増やしてきたか、これから雇用を増やすか。これがいい会社かどうかをみる時の第1条件である。
・ここから入ると、会社との対話はどんどん広がっていく。経営者でも、社員でも、どの部署の人とでも議論ができる。これだけで結構会社の実態を知ることができる。
・ワークライフバランスが問われている。仕事があっても、その仕事に満足しているか。多くの人々には不満があろう。その不満に対して、どのように行動していくか。昔へのノスタルジーは今や通用しないが、私の若い時は、自らの無知、行動力の無さを痛感し、人の3倍働こうと決めた。
・距離的に遠いところへも、会社調査に出かけた。今日の成果は少ないが、よく来たといって、いろいろ会話してくれた。企業経営者の悩みは強烈な刺激になった。帰り道では、今日の調査のポイントを3つにまとめると何か。3つにまとめることが、圧倒的な思考の訓練になった。
・今の若者は転職が当たり前である。中堅のビジネスパーソンにとって、新しい仕事探しは不安ともに楽しみであろう。経営陣クラスのスカウトはまだ少ないが、流動性は徐々に高まっている。これからはもっと外部人材の活用が進もう。同時に、有能な人材に残ってもらう方策についても、多様化を通してチャンスが広がろう。
・私自身は転職を考えなかった。両親も兄弟も転職で苦労した。それを見ていたので、他社に行くよりは、この会社を変えてやろうという気持ちを持っていた。そのために、自社の経営を知る必要がある。
・アナリストとして、上場企業の分析・予測はしていたが、自社のことは意外に知らない。そこで、30代からは自社の分析にも力を入れた。自社については、感情的にもアラが目立つだけに、そこをどう乗り越えるか。文句をいいながらも、どうすべきかを考えることはおもしろかった。
・仕事と家庭の両立は、なかなかイメージできなかった。地方から出てきたので、自分の家を持つことなど、どう計算しても見通せない。結婚といってもいい人はいるのか。しっかりした家庭は築けるのか。ここも目途が立たなかった。
・今時なら、ダブルインカムノーキッズを選択するか。これならそれなりの生活ができそうである。年収300~600万円、2人合わせて600~1200万円で子供がいなければ、生活は十分成り立つ。楽しく暮らせそうである。ワークライフバランスも満足できよう。
・これで世の中をみると、子供を作らないので少子化はいっそう進むことになろう。少子化の原因は、第1に子供の数が減っている、第2に結婚する人が減っている。第3に結婚しても子供を持つ数が減っている。生活の余裕がなく、子供を持つ楽しみが感じられないのかもしれない。子育てに疲れている人、その親が孫疲れしているという声もよく聞く。
・では、ずっと一人で生活したらどうだろうか。そういう人もいる。仕事はきちんとこなして、生活も乱れていない。自分なりの趣味を持って、別の世界を楽しんでいる。でも老後は不安にならないだろうか。
・子供がいる人でも、老後は子供に迷惑をかけたくないという。子供がいない人も含めて、老後の生活資金はどうするのだろうか。十分な貯蓄を有するという人は一部にすぎない。資産運用立国がうまくいって、22世紀に日本が輝いていればよいが、大丈夫だろうか。
・今の年金制度は賦課方式で、次の世代の働きに依存する仕組みになっている。年間200万人近く生まれた世代、同100万人の世代、これからは50万人へ減っていくかもしれない。将来50万人で100万人の高齢者を支えるというのは、今の仕組みでは無理であろう。新しいイノベーションが求められる。
・働く幸せ、子供がいる幸せが感じられるような会社や組織を創っていく必要がある。そういう会社こそ、価値創造企業として共感をよび尊敬されるであろう。
・少子化の中で、伝統的なお墓の後継者も減っていく。私の親族も、いくつもの墓をまとめて1つにして、自分の子供が面倒をみるようにした。私の場合は、分骨して納骨堂を定めた。ここに家族も犬たちも入ることができる。その先はどうなるのか。いずれ跡継ぎがいなくなったら、永代供養になるという仕組みができているので、それに従うことになろう。
・企業の新陳代謝はどうであろうか。企業の寿命30年といわれるが、創業者の目が黒いうちはよい。2代目、3代目にバトンタッチする時に、親族をこえて有望な後継者を見い出し、サステナビリティを実現していくには、相当強力なガバナンスが求められる。
・ある経営者が、①経営者の資質、②ガバナンスの仕組み、③企業のカルチャーの中で、企業の変革とサステナビリティには何が一番大事か、と有力アナリストに聞いた。
・答えはこの順番であった。私も同感である。最後はカルチャーであるが、カルチャーを創るには時間がかかる。一方で、カルチャーが崩れるのはあっという間である。経営者の選出を担うガバナンスこそがカギを握る。
・社員やステークホルダーのウェルビーイング(幸福感)を高める企業経営の革新に期待したい。なかなか難しい、ではなく、やればできる、という気概で、軽快に実践する経営者が増えることを願っている。そういう企業に投資したい。
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