ブラジル、9会合連続の利下げ~レアル相場の方向性は?
- ブラジル中央銀行(以下、中銀)が政策金利を、全会一致で0.75%引き下げ、7.5%としました。
- インフレ底打ち感や景気加速を受け、4回連続の1.0%の大幅利下げから緩和ペースが減速しました。
- 金融緩和が追い風となり景気回復は加速するとみられ、通貨レアルは底堅く推移すると思われます。
利下げ幅縮小
24-25日Copom※が開かれ、政策金利のSELIC◇金利が8.25%から7.5%へと9会合連続、全会一致で引き下げられました。インフレ底打ち感や、景気加速を受け、前会合までの4回連続1.0%の大幅利下げから、利下げ幅は縮小しました。
9月のCPIは、前年同月比+2.54%と、前月(同+2.46%)からやや加速しました。食料(同-2.14%)は減速しましたが、ハリケーン襲来による原油価格上昇を理由に、国営ペトロブラスが石油製品を値上げし、交通が上昇(同+3.99%)したことなどが要因となり、インフレ底打ち感が出始めています。中銀は声明で、インフレ率の目標+4.5%への収束と、金融緩和プロセスは両立するとしています。また、金融緩和ペースの減速は示唆したものの、利下げ打ち止めの時期や水準の明言は避け、今後は構造改革の進捗次第だと示しています。
ところで政局については、テメル大統領の収賄容疑に対する2回目の起訴が下院で否決され、18年12月まで政権維持の道筋が開かれました。ただ、否決に必要な全議員数の1/3をわずかに上回った結果は、大統領の求心力低下を露呈、構造改革の柱である年金改革法案で、大統領が譲歩する可能性が高まり、財政再建が頓挫する懸念も高まっています。また、18年10月の大統領選に、汚職容疑で起訴されているルラ元大統領が出馬を表明、約35%という高い支持率を得て、2位以降に大差をつけており、大衆迎合的な候補者の躍進に、市場の警戒感が高まっています。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
レアルは金融緩和が追い風に
本会議での大統領起訴の審議が終了したことで、年金改革法案の審議が再び本格化すると市場では期待感が高まり、レアルは持ち直しています。
一方、米金利先高観から、対ドルでレアルは高値圏でのもみ合いが続いていますが、金融緩和が追い風となり、景気回復が加速し、レアルは底堅く推移すると見込まれます。
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