来週の金融市場見通し(2025年8月25日~2025年8月29日)
■来週の見通し
ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演(22日)を控え、やや動き難い相場が続きました。米雇用情勢は減速しており、米関税政策によるインフレ圧力の影響は警戒していたほどではないとの見方から、FRBの利下げ再開は近いとの見方が根強い状況ですが、パウエル議長が利下げに慎重な姿勢を見せた場合には、金融市場が荒れた動きになることも想定されます。来週はパウエル議長の発言を受けた米金融市場の動きに加え、米エヌビディアの決算発表なども確認したいところです。
◆株価 :不安定な動きか
今週の日本株は、利益確定売りに押される動きになりました。日経平均の株価収益率が約18倍まで上昇し、過熱感が強まっていたことから、個人投資家などの売りが上値を抑えたとみられます。指数の構成割合が高いソフトバンクグループの株価が急落したことも、株価の下押し圧力となりました。
来週は、不安定な動きが予想されます。22日のパウエルFRB議長の講演を受けて、週初の株価は値動きが激しくなる可能性があります。同議長が、今後の利下げに前向きな発言をすると株式市場は好感するとみられますが、利下げに慎重な発言をすると、株式市場は調整する可能性があります。28日に予定されているエヌビディアの決算発表や石破首相の進退をめぐる国内政治動向も相場を動かす可能性があります。
◆長期金利 :居所を探る
今週の長期金利は、日銀が実施した国債買い入れオペ(公開市場操作)が投資家の売り意欲の強さを示したことに加え、全国消費者物価指数(CPI)の生鮮食品を除く総合指数の伸びが2か月連続で鈍化したものの、市場予想を上回ったことなどから、1.615%と2008年10月以来の高さまで上昇しました。
来週はパウエル議長の発言を受けた米金利の動きが注目されます。利下げに前向き姿勢を示した場合には、米金利とともに国内金利が押し下げられる可能性があります。とはいえ、前週の2025年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の上振れや7月のCPIが予想を上回ったことを受けて、日銀の利上げも意識されており、国内金利の低下は限定的とみられます。東京都区部・消費者物価指数なども確認しながら居所を探ることになりそうです。
◆Jリート :調整も下値は限定的か
今週のJリート市場は、長期金利が上昇する中、週初から堅調に推移しました。その後、東証REIT指数(配当なし)1,940ポイントで戻り売りが出たことなどから、週後半はやや上値の重い展開となりました。今週末の分配金利回りは4.580%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)。
来週は、長期金利の動向や国内の政局をにらみつつ、やや上値の重い展開となることを想定しています。引き続き急ピッチな上昇の反動や一定の戻り売りが見込まれるほか、日銀の利上げ観測や財政拡張懸念から長期金利が上昇するとJリート市場の下押し圧力となりそうです。とはいえ、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いが見込まれることから、下値は限定的になると見込んでいます。
◆為替:週初から値動きの激しい展開
今週のドル円相場は、ドル高・円安が進行しました。週末にジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控えるなかで、目立った材料が乏しく、ドル円相場はもみ合いの動きが続きました。21日に公表された米購買担当者指数(PMI)で米経済の堅調さが示唆されたことから、利下げ期待が後退し、1ドル=148円後半まで、ドル高・円安が進行しました。
来週のドル円相場は、週初から値動きの激しい展開となることが予想されます。現在、市場では、FRBの9月会合での利下げについて7割程度織り込まていますが、今週末のパウエル議長の講演次第で、利下げ期待が変化し、ドル円相場の反応も大きくなる可能性があります。日銀の金融政策を巡っては、中川審議委員の講演や東京都区部・消費者物価指数にも注目が集まります。
◆米国株 :エヌビディア決算発表に注目
今週の米国株は、上値が重い動きとなりました。7月の米連邦公開市場委員会議事要旨の発表や複数のFRB高官の発言を受けて、市場の利下げ期待が後退したことが、株価を下押ししました。ウォルマートの決算が減益となったことを受けて、同社に加えて、消費関連企業全体の株価が連れ安となったことも指数を押し下げました。
来週は、28日に予定されているエヌビディアの決算発表が注目されます。とくに、半導体関連株は同社の決算を受けて、値動きが激しい展開になることが予想されます。人口知能(AI)関連需要の拡大から決算は良好な内容になるとみられますが、同社の株価は年初来約30%上昇しており、好決算を受けても株価は上昇しない可能性があります。他方、市場予想を下回る決算になると、大きく調整する恐れもあり警戒が必要です。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(8月)8月29日(金)発表
7月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.9%上昇と前月(同3.1%上昇)から伸びが縮小しました。東京都が実施している水道の基本料金無償化が水道料を押し下げたほか、資源価格の下落などを背景にエネルギー価格も下落しました。ただし、コメ価格の高騰を受けた加工食品の値上げなどにより、食料品価格の高止まりが続きました。
8月の東京都区部のコアCPIの伸びは縮小すると予想されます。政府による電気・ガス代の補助金の再開がエネルギー価格を押し下げるほか、コメ価格の騰勢はピークアウトする見込みです。
米個人所得・個人消費支出(7月)8月29日(金)発表
6月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.3%の増加となりました。非耐久財が消費全体を押し上げましたが、耐久財は減少が続いたほか、サービスも伸び悩むなど、全体として勢いに欠ける結果でした。
7月のPCEは前月比0.5%増程度、総合価格指数は前年比2.6%、コア価格指数は同2.9%程度の上昇が想定されます。米国の労働市場は減速しているものの、関税による値上げを見越した駆け込み需要や株式市場の回復による資産効果を受けて、個人消費は増加する見込みです。
図表、スケジュール入りのレポートはこちら
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
コラム&レポート Pick Up
相場見通し

投資アイディア


プロの見方

