2025年8月ジャクソンホール会議プレビュー

2025/08/20

2025年8月ジャクソンホール会議プレビュー

          • 今年のジャクソンホール会議は8月21日から23日まで開催され22日にパウエル議長が講演予定。
          • 講演では物価と労働市場の現状と見通しをどう考え、どのような政策スタンスを示すかが注目点に。
          • 利下げはデータ次第の見解なら市場はタカ派の解釈、昨年と同じ内容なら落ち着いた受け止めか。

    今年のジャクソンホール会議は8月21日から23日まで開催され22日にパウエル議長が講演予定

    米カンザスシティー連邦準備銀行は1978年以来、米国および世界経済が直面する重要な問題をテーマに、シンポジウムを開催してきました。1982年からは、同行が管轄するワイオミング州ジャクソンホールにあるグランドティトン国立公園のジャクソン・レイク・ロッジで開催されています。通称「ジャクソンホール会議」と呼ばれるこのシンポジウムでは、主要国の中央銀行総裁や幹部、経済学者らが集い、学術的な議論が交わされます。

    今年で48回目を迎えるこのシンポジウムは、「移行期の労働市場:人口動態、生産性、マクロ経済政策」をテーマに、8月21日から23日まで開催されます。なお、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、日本時間8月22日23時に登壇し、「経済見通しと枠組みの見直し」について講演する予定となっています。そこで、以下、今回のパウエル議長の講演について注目点をまとめます。

    講演では物価と労働市場の現状と見通しをどう考え、どのような政策スタンスを示すかが注目点に

    パウエル議長は2024年8月23日のジャクソンホール会議での講演において、「政策を調整する時が来た」、「方向性は明確」と述べ、9月の利下げを示唆しましたが、先行きの政策判断については「利下げのタイミングとペースは今後入手するデータ、進展する見通し、そしてリスクバランスによって決まる」と語り、市場に対して明確な手掛かりを示すことはありませんでした。

    その後、2024年9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが行われ、続く11月、12月のFOMCでも25bpずつの追加利下げが決定されました。今回のパウエル議長の講演では、物価と労働市場の現状および今後の見通しについて、パウエル議長がどのような見解を示すか、また、それを踏まえた上で、どのような金融政策スタンスを示すか、これらが主な注目点と考えます。

    利下げはデータ次第の見解なら市場はタカ派の解釈、昨年と同じ内容なら落ち着いた受け止めか

    次回のFOMCは9月16日、17日に開催されますが、その前に、8月分の米雇用統計と米消費者物価指数が、それぞれ9月5日と11日に発表されます。パウエル議長が今回の講演で、利下げの判断にはさらなるデータが必要との従来の見解を維持した場合、フェデラルファンド(FF)金利先物市場で9月に25bpの利下げが8割強織り込まれている現状(図表1)から、市場はタカ派的と受け止め、長期金利上昇、ドル高、株安の反応も予想されます。

    仮に、パウエル議長の発言が、9月の利下げを示唆する内容となった場合、市場に好感される可能性が高いと思われます。また同時に、昨年のように先行きの政策判断に明確な手掛かりが示されなかった場合でも、FF金利先物市場で10月、12月と25bpの連続利下げが完全に織り込まれている訳ではないため(図表2)、それほど大きな失望にはつながらず、全体としては比較的落ち着いた受け止めになると考えています。

  • (2025年8月20日)
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