12月の物価指標について(米国)
2017/01/19
<投資信託>
- 12月のCPI総合はエネルギー上昇を受けて前年同月比+2.1%と、約2年半ぶりの+2%台です。
- コア指数は同+2%台前半で安定していますが、一層の賃金増加が今後加速する一因になりそうです。
- 一方、年2~3回の利上げが実施された場合、ドル高によってインフレは抑制される可能性もあります。
インフレ目標到達目前
18日、米労働省が発表した12月CPIは、コア指数が前年同月比+2.2%と、+2%台前半が1年以上続いています。一方、総合が同+2.1%と14年7月以来、約2年半ぶりの+2%台となりました。金融当局の目標であるPCE(個人消費支出)価格指数総合で+2%への到達が現実的となってきました(11月で+1.4%)。
原油価格回復がCPI総合を加速させました。エネルギーは前年同月比+5.4%でした。ただし、原油価格については、OPEC(石油輸出国機構)、非OPEC 諸国間での減産合意が押し上げ要因となる一方、国内ではシェールオイル増産が見込まれ、これ以上の大幅な上昇は期待しにくいと見込まれます。今後は、労働需給ひっ迫による賃金増加が、インフレを押し上げる一因になると思われます。
「トランプ効果」の複合的側面
こうした中、トランプ政権の積極財政によるインフレ圧力増大に対し、金融当局が利上げするという市場の思惑で、ドルが押し上げられました。ドルインデックス※は、16年は最低値(5月初め)から年末までで+10.3%、年間でも+3.8%でした。
ドル高は、一定期間後にインフレを抑制する傾向があります。金融当局が想定どおり年2~3回利上げしていった場合、たとえ、トランプ氏が批判したとしても、ドル高抑制は限定的となり、結果としてインフレはそれほど加速しないことも考えられます。また、内需刺激と同時に保護主義色を強めた場合、資本の米国回帰加速で新興国経済が圧迫されることも否定できず、米国は財政・金融・通商政策のバランス感覚が求められると思われます。
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