GCC経営™分析レポート:株式会社アイキューブドシステムズ(東証グロース 証券コード:4495)
ターゲット株価:2025年8月末で4,198円~6,292円の可能性

2024/06/21

ベーシック ・ レポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修

MDM市場シェア13年連続No.1、イノベーションを3乗する
 株式会社アイキューブドシステムズ(以下、「i3」)は、エンタープライズクラウドおよびスマートデバイスの最大限の活用を可能にするソフトウェアプラットフォームプロバイダーである。i3は、法人スマートデバイスの導入・活用に必要となる包括的な環境を提供する「CLOMO」を通じて、法人スマートデバイスの情報セキュリティとデバイス管理の課題を解決することを使命としている。日本初※のiOS向けMDMサービスとして始まり、その後マルチデバイス・キャリアフリーのMDMサービスとして成⾧している。CLOMOをインストールした端末では、遠隔で端末を観察したり、機能を制限するほか、Wi-Fiの接続先を限定しデータ漏洩を防止し、緊急時に遠隔でデータを削除し、ロックをかけることが可能である。使いやすいUI、堅牢なセキュリティ機能、24時間365日有人オペレーターによる丁寧なサポートが評価され、MDM市場において13年連続シェアNo.1を記録している(本文で出典記載)。大手から中堅企業まで多様な組織に導入され、導入法人数は6,154社となっている。i3は、「イノベーション(i)を3乗(Cube)する」という思いを社名に冠し、最良のテクノロジーを用いることで創り出すサービスがあらゆる業種のDXに伴うリスクを低減し、革新をもたらし、人々の生活を、より豊かな方向へと導いていく。
※2010年11月18日時点での株式会社アイキューブドシステムズの調査による

2025年8月開示予定の2026年6月期50億円の売上高の達成見通しがポイント
 i3の株価を見る上でのポイントは、i3が示している26年6月期50億円の売上高の達成の確実性である。2024年6月期第3四半期の動きを見ると、その達成確度は高まっている。主要販売パートナーである株式会社NTTドコモ(以下「NTTドコモ」)との連携強化により、同社経由でのMDMサービス「あんしんマネージャーNEXT」へのOEM提供の開始が、顧客基盤の拡大を加速している。新規顧客獲得数は前年同期の546社から1,225社と2倍以上に増加した。また、カスタマーサクセス活動を通じた顧客の定着促進の効果もあり、導入法人数が前期末比24.9%増の6,154社に達した。NTTドコモの法人契約数は、日経新聞記事によれば60万社※と言われており、i3のシェアは、1%しか浸透していない。大幅なアップサイドが期待できよう。2026年6月期の売上高50億円の達成は、2024年6月期比でCAGRで29%が必要となるが、新規顧客獲得数が前年同期比で倍増しているため、達成の可能性は十分ある。2025年8月において2026年6月期の会社計画の売上高50億円となれば、⾧期的な高成⾧の実現可能性は高まろう。その後成⾧が鈍化して2034年6月期にゼロ成⾧となったとしても10年のCAGRは17%程度となる。類似会社としてKDDI株式会社(以下「KDDI」)との連携が強い株式会社オプティム(証券コード3694、以下「オプティム」)について分析すると10年のCAGR15%が織り込まれた株価となっている(補足資料参照)。KDDIよりもより強固な顧客基盤を持つNTTドコモと連携しているi3において10年CAGR17%程度が織り込まれるのは十分現実的。なお、2021年から投資事業を開始し、CLOMO事業と親和性の高いモバイル・SaaS、社会課題解決型企業、福岡・九州のスタートアップなど幅広い領域を対象に7社投資している。これらの投資の成果が売上成⾧につながる見通しが2025年8月ごろに明確になれば、一層の株主価値の成⾧が期待できよう。

ターゲット株価:2025年8月末で4,198円~6,292円
 以上のシナリオで株主価値をGCC経営™のフレームワークにより「超過利潤法(「巻末資料2」参照)」で試算した。10年分の成⾧価値を織り込めば、株主価値は333億円、2024年6月18日終値ベースの時価総額の約4.4倍、株価換算6,292円と推計された。ただし、この水準は⾧期的に3-5年かけて達成されるものである。より現実的には2029年6月期までの株主価値=株主資本28+2024年6月期の超過利潤価値55億円+2025年6月期~2027年 6月期の成⾧価値138の合計額220億円、株価換算で4,198円が2026年6月期の会社予想が発表される2025年8月時点でのターゲット株価になろう。10年成⾧が織り込まれる可能性もありその時は6,292円となる可能性もありうる。なお、余剰現預金を除いたi3のROICは80%を超えており非常に高い価値創造力を持つ。これは株価上昇に潜在的にプラスであろう。

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