来週の金融市場見通し(2017年1月16日~2017年1月20日)

■来週の見通し

11日のトランプ次期米大統領の記者会見では、景気刺激策の詳細がほとんど示されなかったため、やや失望感が広がりました。来週20日は米大統領就任式。新政権の政策運営を確認するまでは、動きにくい状況が続きそうです。ただ、英国では17日に、メイ首相が欧州連合(EU)交渉に向けた方針や、EU離脱後の英国の将来像について演説する予定。欧州単一市場へのアクセスを断念するとの警戒がくすぶっており、内容次第では金融市場が不安定になる可能性があります。そのほか、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演、中国の10~12月の国内総生産(GDP)も確認したいところです。

◆株価 : トランプ氏の就任待ち

トランプ次期米大統領の記者会見を受け、失望感からドルが下落し、国内株は弱含んだものの、日経平均株価は1万9,000円を割らず、底堅い動きになりました。来週はトランプ氏の米大統領就任を控えます。同氏の景気刺激策への期待は根強いものの、貿易不均衡の問題ではメキシコ、中国だけでなく、日本も名指しするなど保護主義的な政策運営には警戒する必要がありそうです。また、メイ英首相の演説でリスクオフ(回避)が強まると、円高・株安が進行する可能性も。

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◆長期金利 : 低位での推移が継続

30年国債入札はトランプ次期大統領の記者会見を警戒し、やや低調な結果になったものの、米長期金利がじりじりと低下していることを背景に、国内の長期金利は一時0.04%まで低下しました。来週も米長期金利の動きをにらみながら、低位での一進一退の動きとなりそうです。ただ、メイ英首相の演説を受け、欧州不安が広がると、国内金利に低下圧力がかかる可能性があります。他方、イエレンFRB議長の講演で利上げが意識されると、若干ながら国内金利が押し上げられそうです。

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◆為替 : 一進一退

トランプ氏が景気刺激策に言及しなかったことから失望感が広がったことに加え、米長期金利が低下したことから、ドル安・円高が進行し、ドル円は一時114円を割り込みました。ただ、米国の利上げペースが速まるとの見方や、FRBが保有債券の残高を維持する方針を見直す可能性が意識され、米金利の低下が一服すると、ドル円は持ち直しの動きになりました。メイ英首相の演説でリスクオフならドル売り・円買い、イエレン議長の講演で利上げが意識されると、ドル買い・円売りが優勢に。

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来週の注目点

中国GDP統計(16/10-12月期)  1月20日(金)午前11時発表

中国の実質国内総生産(GDP)成長率は、昨年7-9月期まで3期連続で前年比6.7%を記録した後、10-12月期についても、同じ成長率(6.7%)が示されそうです。

昨年の中国経済は、年明けこそ減速が懸念されたものの、財政出動や金融緩和などに支えられました。年後半には、製造業の景況感なども改善傾向が強まりました。しかし、過剰な生産能力や膨張した企業負債など、多くの問題が残存しています。

今年は、景気拡大を重視しつつも、市場の安定や構造改革に配慮した政策運営が行われる見込みです。その結果、6%台半ばのGDP成長率が続く可能性が高いでしょう。ただ、トランプ次期米大統領のもとで、米中関係が悪化するリスクには要注意です。

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