日経平均4万円維持も、上昇勢い止まり失速中…日本株これからどうなる?~2024年3月29日版~
日経平均株価の上昇勢いが止まりました。
先週末段階では本格的な上昇トレンドもしくは大相場の入口になるような動きをしていましたが、今週から急転しました。日経平均株価は高値圏を維持しているものの、上昇の勢いが止まり失速しています。
一時は日経平均株価4万1000円の上抜けが期待されましたが、それが一転して再び方向感がない動きに変化してしまいました。
これで先週末段階で期待していた上昇は”ダマシ”であることが決定し、もしここから再上昇があっても、誰も展開の読めない上昇になるでしょう。
政権を基準に見ると、ある意味それが岸田政権の株価の特長的な動きではありますが、直近は良い動きをしていただけに残念な展開です。
こうなると、ここから難しいのが「再上昇があるのか」「高値圏を維持するのか」「下落するのか」この3つのどのシナリオになっていくかでしょう。
そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは2024/3/14~2024/3/28の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
株トレンド指数は、以下のような6つの指数で構成されています。
- 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
- 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
- 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
- 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
- OVER指数…上昇の前兆や天井の前兆が読み取れる指数
- RISK指数…大幅下落や暴落の前兆を読み取れる指数
※OVER指数・RISK指数は上記グラフには表記されていませんのでご注意ください
これらの指数をふまえると今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が、”やや連動している週”でした。もしくは、”連動していないこともない”という中途半端な状況でした。
そのようなこともあり、日経平均株価だけで相場分析している人と、私たちのように株トレンド指数を使って相場分析している人では、それほど差異はなかったと考えられます。
ただし、日経平均株価だけで相場分析するのは、とても難しい状況だったでしょう。なぜなら、4万円の高値圏を維持した状態での方向感のない横ばい状態だったからです。
日経平均株価が急転し失速したとはいえ、まだ4万円の高値圏を維持しています。こうなると、日経平均株価が再上昇する可能性のある状態なのか、それとも失速してしまうのか、もしくは現状維持かの検討が全くつかなかったでしょう。
一方、株トレンド指数を見ると、今週は不自然なほどの急転を見せたことが分かります。3/21、3/22と天井指数が100以上になったにも関わらず、週明け3/25に一気に「23」まで下落しています。
通常は、いくら天井指数が下がるとしても、このような急降下はなく”段階的”に収束に向かいます。しかし、今回は段階的動きなく、急激な変化をしました。
もし、3/26以降に天井指数が再上昇すれば、これもよくある上昇時の動きなのですが、今回はそのような動きをすることなく、そのまま収束しています。
このように、先週からの上昇は、強制ストップとまでは言いませんが、とてもイレギュラーな上昇の止まり方をしていることが分かります。
また、それを背景に今週は、先週とは違って株式市場全体を牽引するようなトレンドが発生せず、いわば無風状態に近い状態になりました。
これもあり、先週末時点で期待できた「本格的な上昇トレンド」や「大相場」は、ダマシが決定しました。また、これにより、再上昇への期待は薄れたでしょう。
なお、あくまでもこれは可能性の一つになりますが、もし今の上昇がアベノミクス初期の再現であれば、ここから再び4万1000円を上抜けするような上昇があってもおかしくありません。
アベノミクス初期の上昇トレンドは、よくある上昇トレンドではなく、断続的に上昇を継続して株価水準が上昇したものです。
もちろん、相場全体としては上昇しているから良いのですが”断続的”という部分がポイントです。断続的だけあって、上昇の前兆を掴むことが難しく、突発的に上昇するなど、先が読めない展開でした。
しかし、結果としては株式市場全体が上昇しているので、良い相場だったと感じるものです。それを踏まえると、岸田政権以降は、超長期のボックス圏が続き、その中で突発的に上昇して株価水準が上がり、再び突発的に上昇し株価水準が上がるの繰り返しです。
そのよなこともあり、結果的には株価水準が上がるものの、私たちのように短期売買で利益を狙う個人投資家にとっては、予測が難しい上昇だと考えられます。
そのようなこともありますので、先週末の上昇もその一部分だった可能性が高いかもしれません。では、この状況を更に詳しく見るために、直近2ヶ月間の状況もふまえて現状を見てみましょう。
日経平均株価を基準に見ると、3月上旬から中旬に掛けての停滞を上抜けし、そのまま日経平均株価4万円台に到達していることが分かります。また失速はしているものの、上昇の勢いがなくなっただけで高値圏を維持していることが分かります。
ただし、再度3月上旬から中旬のように再び停滞に入っているように見受けられます。また、少し遡ると1月中旬以降から2月上旬のような停滞に入っているようにも見えます。
これを考慮すると、今回上昇がなかったことで、引続き岸田政権の株価の特徴でもある「横ばいが続いたら突発的に上昇」を繰り返していることが分かります。
対して、株トレンド指数を基準に見ると、上でも確認した通り、先週末の上昇が不自然な収束を迎えていることが分かります。急ブレーキを掛けられたような動きです。
しかしながら、日経平均株価が高値圏を維持できていることを示すように、無風状態に近い中でも、上昇傾向を示す指数が高値圏を維持を支えているように見えます。
以上をふまえると、日経平均株価、株トレンド指数のいずれを見ても、先週から急転し上値が重たくなっていると考えられるでしょう。
とはいえ、そこから下落トレンドに方向感が変わるような動きではないでしょう。あくまでも、上値が重たくなり「現状維持」が続くような動きになりつつあります。
なお、1つの考えとして、今週急転したので週明けに急転することもないとは言い切れません。そのときは、まだ上下のどちらに動き出すかは分かりませんが、再び急転があることも1つの選択肢に入れておくと良いでしょう。
まとめると、株トレンド指数の現状を見る限り、再び1月や2月中旬からの横ばい状態のような動きになる可能性が高いと考えられます。
ただし、これは岸田政権下での株式市場ではパターン化されたような流れでもあります。そういった視点で日経平均株価や株トレンド指数を見ていくと、この方向感のない中でも上手く動向を捉えることができるでしょう。
補足として株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。タイムラグはありますが最新の 「投資主体別売買動向」を見ると、需給バランスは、以下の通りでした。
- 外国人投資家:わずかに売り→わずかに買い
- 個人投資家:買い→大きな売り
- 日本の機関投資家:大きな売り→わずかに売り
最新のデータでは、このような需給バランスでした。これを見る限り、個人投資家が他の投資家と違う動きをしています。もちろん、3者が一致する機会は少ないですが、個人投資家のここまでの大きな売りは、1月上旬に発生した単発的な上昇トレンドのとき依頼です。
その点を考慮すると、先週段階で発生し一時的な上昇は、その1月上旬以来の上昇の大きさでしたので、今回も個人投資家にとって最適な手仕舞いタイミングになったのかもしれません。
そのようなこともありますので、今後はこの個人投資家が再び買いに戻るのか、それとも中立程度の戻るのかが、株価に影響するかもしれません。
まさに、この動きも今の株式市場の通り、上値が重たい要素の一つになるのでしょう。なお、反対に見ると、個人投資家がここから更に売り越すことは想像が難しい水準です。
それを考慮すると、日本株市場がここから下落方向に動くよりも、現状維持に向かうほうが優勢だとも考えられるでしょう。
このように先週末までの上昇が一転して、今後の展開の判断がなかなか難しい状況にきています。しかしながら、まだ悲観的な状況ではなく、あくまでも今は高値圏から更に上昇しようとするには上値が重たい状況です。
そして、その上値が重たい状況を作っているのが個人投資家の売りの圧力だとも考えられます。この売りが一巡すると、再び安定した高値圏の推移に変わり、次の展開が始まるのかもしれません。
このような場面は、日経平均株価だけでは次の展開を読むのが難しいので、ぜひ株トレンド指数や株式市場の需給バランスを見る投資主体別売買動向も見ながら、動向を見ていきましょう。
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2024/3/28(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。
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この記事を書いている人
トレード歴12年以上の現役トレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。
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