日経平均29,000円回復から底堅く推移中…ここから更に上昇の可能性は?~2023年5月12日版~
日経平均株価が、ゴールデンウィーク合間の営業日に29,000円に到達しました。その後も、小幅に上下しながらも反落というほどの下落もなく、堅調に29,000円台を維持しています。
そのような背景もあり「ここから、更に上昇して3万円回復だ!」と、もう一段の上昇を期待している人はいますか?
反対に、これまで何度も長期のボックス圏の上値に跳ね返されてきましたので「ここから、また反落してしまうのでは…」と、上昇に期待しつつも、ここからの展開を心配に思う人はいますか?
8月に29,000円を回復したときも、同じように連休が関連する合間に上昇しました。今回も同じようなタイミングで上昇しています。
また、これも8月と同じように、直近は好決算発表が続いていることもあり、株価が上昇する要因があると言えばある状況ですが、実際に28,000円を回復したタイミングでは、要因らしいものがありませんでした。
そういった意味では、今起きている上昇は、例えばアベノミクスのように、要因らしい要因がないことから、今後の展開の判断が難しいところでしょう。
そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。
今週の株式市場動向
こちらをご覧ください。こちらは2023/4/25~2023/5/11の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
株トレンド指数は、以下のような6つの指数で構成されています。
- 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
- 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
- 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
- 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
- OVER指数…上昇の前兆や天井の前兆が読み取れる指数
- RISK指数…大幅下落や暴落の前兆を読み取れる指数
※OVER指数・RISK指数は上記グラフには表記されていませんのでご注意ください
これらの指数をふまえると、今週の株式市場はゴールデンウィーク直前の週と違って、日経平均株価と株式市場全体が、”ほぼ連動している週”でした。
そのようなこともあり、今週の株式市場は、日経平均株価を基準に相場分析する人と、私たちのように株トレンド指数で相場分析する人では、トレンドの捉え方にほとんど差異がなかったでしょう。
ただし、もしかすると日経平均株価を基準に相場分析している人たちにとっては「今週も上昇トレンドが続いている」と捉えるのが難しかったかもしれません。
もしくは、日経平均株価が調整局面のような動きをしていたにも関わらず、保有中の銘柄が上昇し、連動性がないことを疑問に思うタイミングだったかもしれません。
具体的に見ると、今週の日経平均株価の株価変動率は、最大でも1.01%と、ほぼ1%以内にとどまっていました。上のグラフを見ても、ほぼ横ばいに推移していることが分かります。
よって、日経平均株価を基準に相場分析する人にとっては、ここが調整局面のタイミングなのか、連休前後に発生した短期的な上昇トレンドが終わったのか、判断が難しかったでしょう。
それに対して、株トレンド指数を基準に見ると、今週は4/28・5/1のような上昇は見られないものの、まだ上昇の勢いが残っていることが分かります。
そして、日経平均株価はほぼ1%以内の変動にとどまっていることを関連して考えると、今週は「上昇の勢いが残った状態での調整局面」と読み取ることができるでしょう。
株トレンド指数を見なくても調整局面と読み取ることはできるかもしれませんが、日経平均株価単体で読み取れないのが「上昇の勢いの有無」です。
特に、今週のように上昇後の横ばいの推移は、ここから上昇と下落のどちらの可能性が高いのかを読み取るのは難しいでしょう。
しかし、株トレンド指数を見ることで、まだ上昇トレンドが終わったわけではないので、ここから再上昇の可能性もあると読み取れるでしょう。
もちろん、このまま上昇トレンドが終わり、下落方向へ動く可能性もあります。ですが、日経平均株価に株トレンド指数を加えることで、上昇の可能性がある調整局面だと読み取ることができます。
また、上のグラフの指数以外の株トレンド指数の指標を使うと、より精度高く、この調整局面がどのような状況かを読み取ることができます。
結果的には、日経平均株価を基準に相場分析して変わらないかもしれませんが、その結果の裏付けの精度が違うことで、両者には差異が出たでしょう。
では、現状を詳しく理解するために、直近2ヶ月間の状況も見てみましょう。
日経平均株価を基準に見ると、前回の相場解説で「調整局面」と読み取りましたが、ゴールデンウィークの合間に上昇がありましたので、再度「調整局面」に入っていると読み取れます。
株トレンド指数を見ても、上昇傾向を示す天井指数の発生が4月よりもやや大きいことが分かります。
それを考慮すると、上でもお伝えした通り「上昇の勢いを保った状態での調整局面」であると読み取れます。
ただし、注意点もあります。上のグラフの期間では表示されていませんが、日経平均株価は、まだ昨年
8月の水準程度までしか回復していません。
ボックス圏の上抜けで考えると、昨年3月のウクライナ・ショック後から続いたボックス圏の水準を上抜けしたに過ぎません。
この2ヶ月間だけを見ると、日経平均株価が順調に推移してきているように見えますが、昨年8月のように、ここがボックス圏の上値となり、跳ね返される恐れもあります。
現在は、昨年8月中旬よりも天井指数が発生している状況ですので、まだ上昇の余地はあります。しかし、まだボックス圏を完全に抜けきれていないことは念頭においておく必要があるでしょう。
なお、直近の日本株市場全体の需給バランスを見ると、三大投資家である「外国人投資家」「機関投資家」「個人投資家」が均衡し、株価が動きにくい状態が続いています。
しかしながら、「機関投資家」「個人投資家」の需給バランスは、過去1年間明確な傾向なく、ボックス圏の推移を示すかのように、ほぼ横ばいに推移しています。
また、「外国人投資家」は、国内の投資家である「機関投資家」「個人投資家」と反対方向の動きをしているのが多く見られます。
それを考慮すると、ここから「外国人投資家」がどう動くかによって、この調整局面の上昇の勢いが続くのか、それともここで失速するのかが分かれるかもしれません。
現時点が調整局面であることを考慮すると、どちらつかずの解説になってしまいますが、これが現状です。
株トレンド指数を見る限り方向感がないという程の調整局面ではありませんが、ここから上昇の可能性がありつつも、基本的には中立的に動向を見ていくのが良いでしょう。
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2023/5/11(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
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この記事を書いている人
高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)
トレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。12年間でたった一度負けがあっただけで、11年間安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック。
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