さくらインターネット(3778) 前期比大幅増益で過去最高益を見込む

2024/05/30

田中 邦裕 社長

さくらインターネット株式会社(3778)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表者

田中 邦裕

所在地

大阪府大阪市北区梅田1-12-12 東京建物梅田ビル11階

決算月

3月

HP

https://www.sakura.ad.jp/corporate/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

5,660円

35,708,858株

202,112百万円

7.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

4.00円

0.1%

35.01円

161.7倍

255.82円

22.1倍

*株価は5/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式および株式給付信託(J-ESOP)の保有株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2021年3月(実)

22,168

1,372

1,099

758

20.79

3.00

2022年3月(実)

20,019

763

649

275

7.55

3.00

2023年3月(実)

20,622

1,093

965

666

18.29

3.50

2024年3月(実)

21,826

884

764

651

18.26

3.50

2025年3月(予)

28,000

2,000

1,960

1,250

35.01

4.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

さくらインターネット(株)の2024年3月期の概要と2025年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年3月期決算概要
3.2025年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 24/3期は前期比5.8%増収、19.1%営業減益。クラウドインフラストラクチャーサービスが好調に推移、物理基盤サービスの減収を吸収して増収。GPUクラウドサービスの提供開始、国内企業初のガバメントクラウド認定等を非連続成長の好機と捉え、人材獲得等の積極的な先行投資を実施した。さらには、昨年より継続している原油価格高騰や円安等の外的要因による費用が増加し、売上高・各段階利益は会社予想を下回った。前期と同じ3.50円/株の期末配当を実施。 
  • 25/3期は前期比28.3%増収、126.1%営業増益を見込む。クラウドサービスのさらなる成長を目指す。生成AI向けGPUクラウドサービスは、6月よりGPU第1次投資分となる全2,000基の稼働により売上高50億円を見込む。利益面では、中長期的な成長を見据えてエンジニア、営業・マーケティングなどの人材の積極的な採用を継続し、人材投資が増加する。また、GPUクラウドサービスの本格提供開始に伴い減価償却費、電気代が増加する。投資にかかる費用をGPUクラウドサービスの利益が吸収し、前期比大幅増益で過去最高益を見込む。配当は4.00円/株の期末配当を予定。 
  • 国内企業初のガバメントクラウドに認定。エヌビディア製GPUを搭載した生成AI向けクラウドサービスの提供を開始。24/3期は同社にとって非常に賑やかな1年であったといえよう。25/3期以降の売上のさらなる拡大は利益率を押し上げていく。こうした中にあってGPUクラウドサービス、ガバメントクラウド双方において27/3期までは急速な売上成長が見込まれる。今後数年にわたって利益率の向上を伴った高い売上成長が見込まれ、こうしたことが株価上昇を後押ししたといえそうだ。人的資本経営を実践することなどにより、より困難を極める人材獲得もスムーズに遂行することができるだろう。 

     

     

1.会社概要

東京(西新宿、東新宿、代官山:フロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアで運営しているデータセンターを活かし、クラウド・インターネットインフラサービスを提供している。24年1月よりGPUクラウドサービスを提供開始。また、条件付きながら国内唯一のガバメントクラウド認定企業である。インフラを自社で保有する事で高収益を追求、稼働率を上げ固定費リスクを軽減している。

 

【ビジョン】

「やりたいこと」を「できる」に変える
高い熱量を持って挑戦するすべての人たちが、自分のやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくる。それが、さくらインターネットの目指す姿です。インターネットには人と社会を幸せにする力があると信じて、「やりたいこと」を「できる」に変えるアプローチを広く届けていきます。お客さまをはじめ、社員、地域のみなさまなど、つながりのあるすべての人のために、未来のあるべき姿を思い描くことを大切にしています。

 

ビジョンの実現に向けて
インターネットの普及によって社会は急速に発展を遂げ、そのスピードは今後ますます加速していくことが予想される。変化の激しい時代でありながらも、多くの人がやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくっていくために同社が注力しているテーマは以下の通り。

 

Ⅰ.ESとCSの実現
ES:エンプロイーサクセス。社員の成功やありたい姿を実現するための取り組み、および考え方
CS:カスタマーサクセス。顧客を成功にみちびくための取り組み、および考え方

 

ESの方針
人材の成長と成功を導く「5つの柱
1.人材育成と学び合う文化づくり
2.心と体の健康
3.多様な人材の活躍促進
4.チャレンジとリーダーシップによって新しい価値を育む文化づくり
5.フレキシブルな働き方

 

3つのバリュー ~チームで共創を生むための行動指針~

肯定ファースト
本質的なコミュニケーションをするための土台として、まずは相手の話を肯定的・受容的に受け止めた上で、提案や議論することを大切にしています。
 

リード&フォロー

チームの成功のためには、ビジョンや目標を掲げ先頭に立ち、リーダーシップを発揮する人と、全力でサポートし、フォロワーシップを発揮する人の両方が必要です。時にはリーダーとして、時にはフォロワーとして、一人ひとりが自律して行動できることを大切にしています。
 

伝わるまで話そう

人間関係のトラブルの多くはお互いの合意のない期待から生まれると言われています。相手に伝わるまで話すこと、わかるまで聞くことを通して、お互いの期待を明確化し、すれ違いを起こさないことを大切にしています。

 

CSの方針

ビジョンを語り合う関係性
さくらインターネットが一番大切にしているのは、お客さまとともにビジョンを語り合い、思いを共有する関係性です。お互いに気兼ねなく話せる信頼関係を築くことができて初めて、本当にやりたいことへの挑戦ができるのだと思います。ただサービスを提供するだけでは終わらず、変化し続ける事業に対して、やりたいことを一緒にやりましょうと声を掛け合う。そして掴んだ成功をお客さまと一緒に喜ぶことが、当社のカスタマーサクセスです。
 

人と人のつながりを太く結ぶ

お客さまと長期的なお付き合いをしていくためには、人と人とのつながりが欠かせないと考えています。サービスの使い方を学び合う勉強会は、まさに距離を近づけるための場です。今までは聞きづらかったようなことを聞きやすくして、わたしたちからも一歩踏み込んだサービスを提案させていただく。そして、良い知らせも悪い知らせも一緒に向き合っていける状態をつくり、連続的な支援によってお客さまの大きな成功を生み出していきます。

 

Ⅱ.クラウドビジネスへの集中
デジタル庁設立に象徴されるような国の取り組みをはじめ、地方自治体や民間企業においてもDX推進を掲げるデジタル時代が到来している。この大きなビジネスチャンスに踏み出していくには、会社のあり方を大きく変革することが必要だと考えた。それが「クラウドビジネスへの集中」。
物理基盤からクラウドが主体となる事業構造へと変革し、クラウドサービスの機能強化、ソフトウェアサービスの開発などに注力している。さらに、サーバーに詳しいこれまでの顧客層から裾野を広げ、デジタルを熟知されていない一般の方や企業にもサービスの提供範囲を広げていき、誰もがインターネットで「やりたいこと」を「できる」に変えられるよう支援する。

 

Ⅲ.さらに成長するための重点テーマ
さくらインターネットが社会の変化に対応してデジタルを主軸とした課題解決を提供できるよう、注力するテーマを設定。

デジタル化
デジタル化は効率化という文脈で語られることが多いですが、生活、ビジネス、社会のあり方そのものを変える力があります。デジタルを主軸にしながら、日本が抱える低成長などの課題を解決していくことが、わたしたちの命題です。
 

スタートアップ

高い熱量をもちながら、精神的にも、考え的にも、新しい人が世界の常識を壊して、よりよい世の中にしてくれると信じています。さくら自身もスタートアップとして始まったので、事業で得られた知見や資金を次世代のスタートアップに投資して挑戦を応援します。
 

地方創生

リモートワーク前提の働き方に転換するとともにオフィスを東京に集中させず、全国各地に拠点を構えて地域の人材を雇用しています。また、その土地ならではのデジタル化がより活発になるよう、地域の方々との交流を通じて取り組んでいきます。
 

教育

誰でもITを活用できるように、そして活発なコミュニティが生まれるように。社員に限らず、これからクラウド化に取り組む一般企業の方、ITの学びを深めたい学校の先生、次世代を担う子どもたちなど、広範囲に渡る教育体制の構築を目指していきます。

 

 

【事業内容】

事業は、クラウドサービス(クラウドインフラストラクチャー、クラウドアプリケーション)、物理基盤サービス、及びドメイン取得サービス、SSL取得サービス(独自ドメインによるサーバ証明書の取得代行)、子会社事業等のその他サービスに分かれ、24/3期の売上構成比は、クラウドサービス58.5%(うち、クラウドインフラストラクチャー40.4%、クラウドアプリケーション18.1%)、物理基盤サービス16.4%、その他サービス25.0%。

 

クラウドサービス
現在同社が経営資源を集中させている事業。幅広いサービスラインアップを提供して培ってきた同社の技術力・ノウハウを活用し、顧客の利用シーンや成長フェーズにあわせた新たなクラウドサービスの開発を加速させている。
クラウドインフラストラクチャー
仮想化技術により、物理サーバ上に複数の仮想サーバを構築し、そのひとつひとつが専用サーバのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバ1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)等を提供。
クラウドアプリケーション
同社が所有する物理サーバと豊富な機能をメンテナンス不要で複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)をはじめとした自社やパートナー企業と開発したSaaSサービス等を提供。

 

物理基盤サービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するハウジングサービス、及び同社が所有する物理サーバを専用で利用できる専用サーバサービスがある。

 

その他サービス
ゲヒルン(株)のセキュリティサービス、アイティーエム(株)の大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバやネットワークの監視運用保守を請負う)、ビットスター(株)の小中規模法人向けMSP、プラナスソリューションズ(株)のハイパフォーマンスコンピューティング領域のインテグレーション、IzumoBASE(株)のストレージ仮想化サービス等の収益が含まれている。

2.2024年3月期決算概要

2-1 連結業績

 

23/3期

構成比

24/3期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

20,622

100.0%

21,826

100.0%

+5.8%

22,800

-4.3%

売上総利益

5,367

26.0%

5,735

26.3%

+6.9%

販管費

4,274

20.7%

4,851

22.2%

+13.5%

営業利益

1,093

5.3%

884

4.1%

-19.1%

1,450

-39.0%

経常利益

965

4.7%

764

3.5%

-20.9%

1,300

-41.2%

親会社株主帰属利益

666

3.2%

651

3.0%

-2.2%

850

-23.3%

* 単位:百万円

 

5.8%増収、19.1%営業減益、クラウドサービス順調に成長
売上高は前期比5.8%増の218.2億円。クラウドインフラストラクチャーサービスが10.4%増と好調に推移、物理基盤サービスの減収を吸収して増収となった。
営業利益は同19.1%減の8.8億円。GPUクラウドサービスの提供開始、国内企業初のガバメントクラウド認定等を非連続成長の好機と捉え、人材獲得等の積極的な先行投資を実施した。人材投資増により6.4億円、石狩データセンター設備更新他で1.4億円の減益要因。今後のクラウドサービスの中長期なさらなる成長を実現するため、エンジニア、営業・マーケティングを中心とした人材の採用強化、サービス機材への投資を積極的に行った。広告宣伝費も増加。さらには、昨年より継続している原油価格高騰や円安等の外的要因による費用(電力費・ドメイン取得原価)が増加した。売上高・各段階利益は会社予想を下回った。前期と同じ3.50円/株の期末配当を実施。

 

重点施策への取り組み状況
クラウドサービスへの集中により、将来の成長フェーズへ向けた土壌作り・種まきが進捗

重点施策

アクション・成果

成長戦略

クラウドサービス強化と、顧客のDX実現に向けた 共創・支援の取り組み

クラウドサービス

国内企業初のガバメントクラウドに認定(25年度末までに機能要件をすべて満たすことを前提とした条件付き)され、要件充足に向けた開発・人材確保に注力

GPUクラウドサービス

第1弾として物理専有型の「高火力 PHY(ファイ)」を提供開始(1月)。今後時間課金等、多様な予算帯や用途に対応するサービスラインアップの拡充を計画

DX共創・支援

他社との協業による新たなSaaS、PaaSサービスの開発や、同社エンジニアによるオンボーディングの実施等を通してパートナー企業との関係性を強化

経営資源の

集中

成長戦略実現に向けた人材・マーケティングへの投資に集中

人材

目標とする100名規模採用に対して採用体制強化・採用活動に注力。エンジニア・営業・マーケティング人材を中心に採用し、24年3月末の連結従業員数は839名(前期末より+84名)

マーケティング

認知拡大、新規顧客獲得を目的としたWEB広告等のデジタルマーケティングやイベント開催への積極投資や、データ分析等の集約・連携強化を目指した社内体制の整備を実施

設備投資

生成AI向けGPUクラウドサービスへの第1次投資計画(総額130億円規模、うち68億円助成)はGPUの調達が当初計画より前倒しで進行し、24年6月より全2,000基のGPUを提供可能に

その他

石狩データセンターの電力を再生可能エネルギー由来に変更し、CO2排出量ゼロを実現(6月)

DX人材の獲得・育成、オープンイノベーションを起こすための取り組みの一環として沖縄に新拠点を開設(9月)

100%子会社である(株)Tellus社について、吸収分割契約を締結し24年4月より本格操業開始

※ 「宇宙×ITで新しい価値を創造する」というビジョンを掲げて日本発の衛星データプラットフォーム「Tellus」を運営

 

サービス別売上高

 

23/3期

構成比

24/3期

構成比

前期比

クラウドサービス

11,840

57.4%

12,773

58.5%

+7.9%

内訳

クラウドインフラストラクチャー

7,991

38.7%

8,823

40.4%

+10.4%

クラウドアプリケーション

3,849

18.7%

3,949

18.1%

+2.6%

物理基盤サービス

3,638

17.6%

3,589

16.4%

-1.3%

その他

5,143

24.9%

5,463

25.0%

+6.2%

合計

20,622

100.0%

21,826

100.0%

+5.8%

* 単位:百万円
  24/3期のGPUクラウドサービス売上201百万円は「その他」に計上。

 

営業利益の変動要因

(同社説明資料より)

 

財政状態

 

23年3月

24年3月

 

23年3月

24年3月

流動資産

8,930

10,574

流動負債

9,840

10,598

有形固定資産

14,716

16,656

固定負債

7,929

10,304

無形固定資産

508

505

株主資本

8,337

8,989

投資その他

2,100

2,488

純資産

8,486

9,321

固定資産

17,325

19,650

負債・純資産合計

26,256

30,224

* 単位:百万円

 

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24/3期末の総資産は前期末との比較で39.6億円増の302.2億円。主な要因は、GPUクラウドサービス等向けのサービス機材調達による有形固定資産の増加、政府系案件に係る売掛金の増加等によるもの。負債は31.3億円増の209.0億円。主な要因は、サービス機材調達に係るリース債務の増加、借入金の増加等によるもの。純資産は8.3億円増の93.2億円。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるもの。自己資本比率は30.2%(前期末31.8%)。

 

キャッシュ・フロー

 

23/3期

24/3期

前期比

営業CF(A)

3,963

2,884

-1,079

-27.2%

投資CF(B)

-606

-2,025

-1,419

フリーCF(A+B)

3,357

858

-2,498

-74.4%

財務CF

-3,999

-410

+3,588

現金等残高

4,810

5,257

+447

+9.3%

* 単位:百万円

 

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24/3期末の現金及び現金同等物は、前期末比4.4億円増加し、52.5億円となった。
営業CFは、収入が前期比10.7億円減少し28.8億円の収入。主な要因は、売掛金の増加等によるもの。
投資CFは、支出が同14.1億円増加し20.2億円の支出となった。主な要因は、GPUクラウドサービス等向けサービス機材等の有形固定資産の取得による支出の増加等によるもの。
財務CFは、支出が同35.8億円減少し4.1億円の支出となった。主な要因は、GPUクラウドサービス用の借入れによる収入等によるもの。

 

設備投資・人員
投資は予算50億円に対して72億円。内訳はデータセンター12億円(予算3億円)、サーバ、ネットワーク機器58億円(同46億円)、その他(システム、事務所関連等)0億円(同1億円)。サーバ、ネットワーク機器の実績内訳はクラウドサービス17億円、物理基盤サービス3億円、その他37億円。その他にはGPUクラウドサービスへの投資34億円が含まれており、これは16億円の圧縮記帳前の金額である。
人員については、24/3期末のグループ従業員数が839名と前期末との比較で84名増加した。エンジニアが74名増、営業・販促・新規企画は5名、管理は8名増。グループ会社は3名減。

2-2 第4四半期(1-3月)連結業績

 

23/3 1Q

2Q

3Q

4Q

24/3 1Q

2Q

3Q

4Q

前四半期比

売上高

4,964

5,025

5,054

5,578

5,105

5,237

5,315

6,167

+16.0%

売上総利益

1,240

1,259

1,321

1,546

1,285

1,353

1,385

1,710

+23.4%

営業利益

244

191

257

399

104

145

199

435

+119.0%

経常利益

214

162

238

350

73

99

147

444

+202.2%

四半期純利益

142

104

170

248

108

66

128

347

+169.8%

EBITDA

939

890

970

1,094

852

901

955

1,363

売上総利益率

25.0%

25.1%

26.1%

27.7%

25.2%

25.8%

26.1%

27.7%

営業利益率

4.9%

3.8%

5.1%

7.2%

2.0%

2.8%

3.7%

7.1%

* 単位:百万円

 

前四半期比16.0%の増収、同119.0%の営業増益
売上高は前四半期比16.0%増の61.6億円。営業利益は同119.0%増の4.3億円。
また、サブスクリプション型売上の主要KPIとして、22/3期からARR(Annual Recurring Revenue:各期月末のMRR(Monthly Recurring Revenue)継続課金による月次収益を12倍して算出)を開示している。24/3期のARRは125.8億円となり、前期(116.7億円)との比較で7.8%増加した。
かつては売上の拡大を第一義として、設備投資や人員増強に力を入れてきたが、現在はカスタマーサクセス(Customer Success)・エンプロイーサクセス(Employee Success)を最優先とする経営方針に転換しており、ユーザーに長く利用してもらうため、短期的な売上というよりは、LTV(Life Time Value)をいかに高めていくかに力を入れており、この一環として、ARRが重視されるようになった。

 

サービス別売上高

 

23/3期

24/3期

前四半期比

1Q

2Q

3Q

4Q

1Q

2Q

3Q

4Q

クラウドサービス

2,883

2,906

2,985

3,065

3,096

3,152

3,204

3,320

+3.6%

クラウドインフラストラクチャー

1,935

1,954

2,029

2,071

2,125

2,177

2,238

2,282

+2.0%

クラウドアプリケーション

947

951

956

993

971

974

965

1,038

+7.5%

物理基盤サービス

935

909

902

889

881

906

901

900

-0.2%

その他サービス

1,144

1,209

1,165

1,623

1,127

1,179

1,209

1,946

+60.9% 

* 単位:百万円

 

売上原価の内訳

 

23/3 1Q

2Q

3Q

4Q

24/3 1Q

2Q

3Q

4Q

賃料

357

353

331

332

334

331

331

326

減価償却費・リース料

1,018

1,010

1,002

1,001

1,011

1,018

994

1,085

労務費

836

876

868

898

928

945

979

1,019

通信費

363

362

364

374

374

369

375

403

電力費

197

238

262

266

259

252

231

243

修繕費

192

161

166

165

169

204

230

225

販売商品原価等

479

440

415

538

449

434

448

573

その他

277

322

323

455

292

328

338

578

* 単位:百万円

 

 

3.2025年3月期業績予想

3-1 連結業績予想

 

24/3期 実績

構成比

25/3期 予想

構成比

前期比

売上高

21,826

100.0%

28,000

100.0%

+28.3%

営業利益

884

4.1%

2,000

7.1%

+126.1%

経常利益

764

3.5%

1,960

7.0%

+156.5%

親会社株主帰属利益

651

3.0%

1,250

4.5%

+91.8%

* 単位:百万円

 

25/3期は前期比28.3%増の増収、同126.1%増の営業増益を計画
28.3%増の増収、同126.1%増
25/3期は、売上高が前期比28.3%増の280.0億円を計画する。クラウドサービスのさらなる成長を目指す。生成AI向けGPUクラウドサービスは、6月よりGPU第1次投資分となる全2,000基の稼働により売上高50億円を見込む。なお、第2次投資計画となる1,000億円について4月に経済産業省による「クラウドプログラム」供給確保計画の認定を受け、うち214億円について、NVIDIA社の最新GPU「NVIDIA HGX B200 システム」の今期中の調達・サービス提供を目指すが、業績予想に与える影響については現在精査中。

 

サービス別売上高

 

24/3期

25/3期 予想

増減額

増減率

クラウドサービス

12,773

13,740

+966

+7.6%

内訳

クラウドインフラストラクチャー

8,823

9,650

+826

+9.4%

クラウドアプリケーション

3,949

4,090

+140

+3.5%

物理基盤サービス

3,589

3,600

+10

+0.3%

GPUクラウドサービス

201

5,000

+4,798

その他

5,262

5,660

+397

+7.6%

合計

21,826

28,000

+6,173

+28.3%

* 25/3期より「GPUクラウドサービス」のサービスカテゴリを追加。24/3期については、「その他」サービスから新カテゴリーに再集計
* 単位:百万円

 

営業利益は前期比126.1%増の20億円、経常利益は同156.5%増の19.6億円、親会社株主帰属利益は同91.8%増の12.5億円を見込む。利益面では、中長期的な成長を見据えてエンジニア、営業・マーケティングなどの人材の積極的な採用を継続し、人材投資が増加する。また、GPUクラウドサービスの本格提供開始に伴い減価償却費、電気代が増加する。投資にかかる費用をGPUクラウドサービスの利益が吸収し、前期比大幅増益で過去最高益を見込む。

 

営業利益の変動要因

(同社説明資料より)
配当は、前期比0.50円/株増配の4.00円/株の期末配当を予定。

3-2 重点施策

同社の強みであるクラウドビジネスにあらゆるリソースを集中して成長を促進
注力分野への重点投資と、変革を生み出す人材の獲得・育成による事業拡大を図る

(同社説明資料より)

 

成長戦略の実践
① GPUクラウドサービス
〇国内AIインフラ市場規模
・23年は生成AIへの投資が活発化し、国内AIインフラ市場は1,000億円を超える規模に急成長
・今後AI活用の裾野の広がりや、マルチモーダル化の進展による画像や動画の生成などで、AI向けのコンピューティングおよびストレージリソースの需要はさらに高まり、AI向けサーバが成長をけん引する見込み
・22年~27年の年間平均成長率(CAGR)は16.6%、27年の支出額は1,615億5,000万円と予測

 

〇スケジュール
生成AI向けGPU基盤等へ1,000億円の投資を計画、経済産業省より約500億円の助成
• 生成AI向けGPUクラウドサービスの第2次投資計画について、経済産業省による「クラウドプログラム」供給確保計画の認定を受け国から事業費の半分の助成を受ける予定
• 現時点で最新となるNVIDIA社のGPU「NVIDIA HGX B200 システム」を皮切りに、次世代GPUを継続的に整備していく

 

〇売上計画
旺盛な需要を背景に国内AIプラットフォーム市場における先行優位ポジションを獲得し、サービスラインアップの拡充で収益拡大を目指す

 

今後の販売施策

サービスラインアップの拡充

ソフトウェアによる計算資源の分割や時間課金の導入等の提供単位の細粒度化等、より小規模なユースケースや予算規模の顧客層の取り込み図る

関連企業との連携による拡販の強化

双日株式会社と、双日グループにおけるデジタル・AI領域での協力およびGPUクラウドサービスでの協業に合意し、業務提携契約を締結。生成AI向けクラウドサービスにおいては、双日社が持つ幅広い事業分野における需要家とのネットワークを活用し、新しいビジネスモデルやさくらインターネットの計算資源を活用したユースケースの開発と販売を共同で実施

(同社説明資料より)

 

② ガバメントクラウド施策
ガバメントクラウド認定の機能要件充足の早期達成に向けたサービス開発を加速

 

市場規模・今後の取り組み

27年のガバメントクラウド市場規模はCAGR(22-27年)は113.2%、1,234億円で、25年度末までにガバメントクラウドに移行したシステムを500の自治体が利用

同社クラウドがガバメントクラウドに国内企業初の認定(23年11月)

※25年度末までに機能要件をすべて満たすことが条件

●機能要件充足の早期達成に向け、対応人員の拡充やサービス開発を加速

(同社説明資料より)

 

③ 資格制度・パートナー制度施策
拡販強化に向け、クラウドサービスの資格制度やパートナー制度を構築・整備

 

取り組み内容

さくらのクラウドの資格制度を構築

デジタル技術や同社のクラウドサービスの知識を測る資格制度「さくらのクラウド検定」を開始予定。資格制度を通じて、同社クラウドサービスの知識・スキルを習得したパートナー・クラウドエンジニアを増やし、将来の顧客開拓にもつなげる

パートナー制度強化による販路拡大

オンボーディングや教育支援を通じてパートナーを拡充し、拡販を推進

• セールスパートナー(4月スタート)

同社クラウドに自社サービスをのせて販売

• テクニカルパートナー

同社クラウドの機能開発(システム開発/MSP)

(同社説明資料より)

 

成長戦略を支える基盤強化
①変化と成長を加速させる人材の確保・育成
注力事業とそのサービスを支える共通基盤を支える人材の採用・組織体制を強化し変化と成長を加速することで未来の稼ぐ力の向上につなげる

 

取り組み内容

200名の採用に向けた体制強化

採用体制を強化し、前期より2倍の採用を実現

・外部パートナー含め12名体制での採用を実行

・リファーラル・アルムナイ・ダイレクトリクルーティングのチャネル強化を実施することで、23年度対比2倍の採用を実現

戦略と連動した人材獲得

・採用全体のうち73%が注力事業とそのサービスを支える共通基盤を強化する目的とした採用を予定

社員の成長と活躍の推進

・高度化する事業やプロジェクトへの積極参画によるスキル・経験の獲得

・必要なスキルを獲得できる教育育成制度の再構築により成長を後押し

(同社説明資料より)

 

②デジタルインフラへの積極投資
次の成長へつなげるためのデジタルインフラへの積極投資

 

取り組み内容

旺盛な需要を背景に成長機会を着実に捉え、次の成長へつなげるためデジタルインフラへの積極投資を実施

生成AI向けGPUクラウドサービスの事業拡大に向けた第1次投資計画で約100億円を投資予定

GPUの調達および石狩データセンター4号棟予定地へコンテナ型データセンターを構築予定

25/3期投資計画に追加して、第2次投資計画となる1,000 億円について4月に経済産業省による「クラウドプログラム」供給確保計画の認定を受け、うち214億円について「NVIDIA HGX B200 システム」をはじめとするGPUの今期中の調達を目指す(25/3期投資計画・業績予想には含まず)

クラウドサービスの売上成長に伴う機材投資やリプレイスを予定

(同社説明資料より)

 

3-3 新株式発行に係る

発行登録について

募集有価証券の種類

同社普通株式 資金使途

GPUクラウドサービスにおけるGPUサーバ等の調達、石狩データセンターの能力増強などの設備投資資金として充当予定

 

発行予定期間

24年5/8から25年5/7

発行予定額

上限200億円

募集方法

未定

調達資金の使途

設備投資資金

(同社説明資料より)

 

3-4 ESG経営への取り組み

ESG経営の取り組みは同社コーポレートサイトで紹介。https://www.sakura.ad.jp/corporate/work/

 

人的資本経営への取り組み
「やりたいこと」を「できる」に変える、サステナブルな企業経営へ

(同社説明資料より)

 

環境に配慮した取り組み:石狩データセンター
同社事業に不可欠なデータセンターは、サーバの稼働及び冷却に大量の電力を消費し、さらに近年の大規模言語モデルの急発展等によって運用される高性能サーバの消費電力も増大。同社はデータセンターにおける消費エネルギーの削減と脱炭素実現に取り組むことで、サステナブルな社会づくりに貢献
クラウドコンピューティングに最適化した日本最大級の郊外型大規模データセンター・石狩データセンターは、開所当初より、サステナビリティを高める取り組みを積極的に行っている
石狩データセンター外観(正面:3号棟、左:1・2号棟)
(同社説明資料より)

再生可能エネルギー100%を達成
脱炭素に向けた取り組みとして、23年6月から水力発電を中心とした再生可能エネルギー電源へと変更したことにより、石狩データセンターにおいて二酸化炭素(CO2)の年間排出量はゼロへ
空調にかかる消費電力の大幅削減
北海道の寒冷な空気を利用して、冷涼な外気をサーバールーム内に取り込む「直接外気冷房方式」と、室外機と空調機の間を循環する冷媒を外気で冷やす「間接外気冷房方式」を導入している。一般的な都市型データセンターと比べて、約4割の消費電力を削減

 

石狩データセンター外気空調システム概念図

(同社説明資料より)

 

セキュリティ関連の取り組み

(同社説明資料より)

 

地方創生とデジタルイノベーションの創出

(同社説明資料より)

 

スタートアップ支援

(同社説明資料より)

 

 

デジタル前提の社会において目指す同社の役割

(同社説明資料より)

4.今後の注目点

国内企業初のガバメントクラウドに認定。エヌビディア製GPUを搭載した生成AI向けクラウドサービスの提供を開始。24/3期は同社にとって非常に賑やかな1年であったといえよう。前回レポートでも注目していた国産パブリッククラウドへの取り組みが具現化した。実績については物理基盤サービスからクラウドサービスへの移行期間であり、成長に向けた人材投資の増加もあり数字上は物足りなかったといえよう。25/3期は2桁増収、営業利益は2倍超を見込んではいるものの、それでも先行投資が重くのしかかっている状況、売上のさらなる拡大が利益率を押し上げていくだろう。こうした中にあってGPUクラウドサービス、ガバメントクラウド双方において27/3期までは急速な売上成長が見込まれる。また、特にGPUクラウドサービスについては、高い利益率が見込まれ高水準の投資を十分に吸収できそうだ。
株式市場においても同社を巡り賑やかになっている。バリュエーションもかなり高くはなっているが、今後数年にわたって利益率の向上を伴った高い売上成長が見込まれ、株価上昇を後押ししたといえそうだ。別の観点で注目しているのはESG経営やCS、ESへの取り組みである。石狩データセンターでは再生可能エネルギー100%を達成、また人的資本経営を実践することなどにより、より困難を極める人材獲得もスムーズに遂行することができるだろう。こうしたことも同社にとっての潜在成長力の大きさを示していると考える。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 9名、うち社外5名(うち独立役員3名)
監査役 4名、うち社外4名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年7月3日)
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社が企業規模を拡大していくのに並行して、経営管理組織の整備を推進し、各部門の効率的・組織的な運営及び内部統制の充実を図ることであり、その基本姿勢を基に現在まで努力してまいりました。
特に、インターネット業界は、目に見えない多数の利用者に対して通信施設を開放しており、世界中のインターネット利用者を市場として成立している事業でありますので、他業界以上の大きな社会的責任を背負っております。当社におけるコーポレート・ガバナンスの確立は、このような社会的責任を果たしていくことを可能にする経営基盤であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
補充原則2-4-1 【中核人材の登用等における多様性の確保】
<多様性の確保についての考え方・自主的かつ測定可能な目標とその状況>
当社は、すべての社員が多様な価値観を持つダイバーシティの担い手であることを前提に、属性の多様性とキャリアやスキルの多様性の双方を生かすことで、当社グループ全体の成長とお客様への価値提供と貢献を目指していることから、中核人材採用・登用については、年齢、性別、国籍等の属性にとらわれず、多様性を尊重した採用・登用の推進に取り組んでおります。
また、多様な属性の社員が多様な価値観を持ち、互いの価値観を認め合った上で共創することがイノベーションにつながると考えていることから、全管理職に占める女性の割合を、2026年3月までに全社員に対する女性の割合と同等にすることを目標としております。この達成を目指し、女性社員を対象にキャリアへの意識調査を実施の上で女性管理職の割合が少ない原因を特定し、原因解消に向けた取組みを行うとともに、ロールモデルを策定するなど、よりポジティブに管理職を目指すことができるよう、引き続き取り組んでまいります。
なお、当社ではそのほとんどが中途採用者であることから、中途採用者の登用について、目標設定を行っておりません。外国人の採用・登用については、現時点では属性による目標設定は行っておりませんが、今後必要と判断した場合には、目標の設定を検討してまいります。

 

<多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況>
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、「ES(エンプロイーサクセス。以下、「ES」)」を掲げています。これは、社員の能力発揮を後押しする学びと実践のサイクル、多様な人材が集い挑戦する機会の提供、安心して長く活躍できる基盤作りを通して、社員一人ひとりの成長と成功(ES)を実現し、社会やお客様への価値提供の源泉である人材の価値をより高めていくことを目指すものです。
当社は、会社が「働きやすい」環境を提供し、その中で社員個人が「働きがい」を追求できることを理想として、働き方の多様性を尊重するさまざまな取組みをおこなっています。社内環境についても、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの理解につながる機会づくり、多様な社員の活躍につながる環境づくり、成長実感を持てるキャリアや学びへの仕組みづくりなどを通して、社員一人ひとりの個性や成長する意欲と、個々の能力を最大限に発揮できる風土づくりに取組んでまいります。 

 

補充原則3-1-3、4-2-2 【サステナビリティについての取組み、取組みについての基本方針の策定等】
<サステナビリティについての取組み>
当社グループでは、運営する国内のデータセンターを活かしクラウド・インターネットインフラサービスを提供する事業を行っており、インターネット及びデータセンターはいずれも必要不可欠なものとなっております。データセンター運営では大量の電力を消費することから、当社ではエネルギー問題と密接な関係がある気候変動・脱炭素への取組みを進めております。インターネットの利活用が社会インフラの維持・ライフラインの確保に繋がるという考えから、サイバーセキュリティへの取組みについてもとくに重要視しております。

 

① 気候変動・脱炭素への取組み
DX(デジタルトランスフォーメーション)を支える社会的インフラとして、データセンターの重要性は年々増しています。一方で、データセンターはもともとサーバの稼働及び冷却に大量の電力を消費し、さらに近年の大規模言語モデルの急発展やVR技術の商業化の進展等によって、運用される高性能サーバの消費電力も増大しています。地球温暖化防止等の地球環境保全、SDGsの観点から、消費エネルギーを管理・削減し、脱炭素(カーボンニュートラル)実現への取組みによって、サステナブルな社会への貢献を求められていることを当社は十分に認識しております。
2011年11月には、環境に配慮した郊外型大規模データセンター(石狩データセンター)を北海道石狩市に開所し、運営してきました。立地条件による冷涼な外気を活用したデータセンター運用はもちろん、再生可能エネルギーの自社利用を目的とした石狩太陽光発電所の開設(2015年)に始まり、LNG・ガス火力発電を主とした電力への変更によるCO2排出量の削減(2021年)、非化石証書を活用した電力の実質CO2排出量ゼロの達成(2022年)から、2023年6月には、水力発電を中心とした再生可能エネルギー電源の100%利用によるCO2排出量ゼロを実現しています。当社ではデータセンター運営において、地球環境の保全活動に積極的に取組み続けています。
2021年には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言」への賛同を行うとともに、同提言に賛同する企業・機関等による「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。現在は気候変動を主軸とした情報整理となっておりませんが、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、適切な開示を行えるよう、引き続き準備を進めてまいります。

 

② サイバーセキュリティへの取組み
近年、企業活動のデジタル化の進展に伴い、インターネット上での個人情報や企業の機密情報のやり取りが一般化しています。同時に、現実世界と同様に、迷惑行為や様々な権利侵害、違法で有害なコンテンツの流通など、さまざまな問題が発生しています。そのため、インターネットの安全性や品質の向上がますます重要視されています。当社は、クラウド事業者として各サービスを日々見直し、多面的な取組みを行うことで安全性や品質を確保し向上させています。
また当社では、AIなどのインターネット上の技術の進歩やサイバーセキュリティなどに係わる法律上及び行政上の諸問題について、加盟・協賛団体を通じて広く情報を収集して的確に対応できる体制を整備し、必要に応じて意見を述べることも、クラウド・インターネットインフラサービス事業者としての責務であると認識しております。具体的な例として、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の部会である行政法律部会に、迷惑行為などの対応・対策を行う専門チームの担当者や法務担当者が参加し、健全なインターネットの活用について関係省庁との意見交換等を行っております。

 

<人的資本、知的財産への投資等>
人的資本への投資については、社員の能力を高めその能力を最大限に引き出す環境づくりに取り組んできた当社にとって、人材の確保や育成は強みであり、お客さまと社員の成功を支援することで共に成長していく関係を構築する「CS(カスタマーサクセス)・ESの実現」という、重点テーマにも沿ったものと言えます。当社では、社員一人ひとりが当社の資本であり、その成長や成功こそが事業やお客さまへの価値提供の源泉であるという考えから、お客様の「やりたいこと」を「できる」に変え、サステナブルな企業経営及びESを実現するために以下の取組みを行っており、詳細は有価証券報告書において開示しております。
・人材育成と学び合う文化づくり
・こころと身体の健康
・多様な人材の活躍促進
・多様な特性・能力を持つ人材が集まり、リーダーシップが新しい価値を育む文化づくり
・フレキシブルな働き方
また、当社は、知的財産への投資を事業の発展のために重要なものと位置付け、社内の創造的活動を積極的に支援し、当社の知的財産の適切な保護、管理及び活用を推進しております。第三者の知的財産権を尊重することの重要性を社内に周知し、知的財産権侵害の防止を徹底するよう努めるとともに、インターネット上の知的財産の適切な保護が重要であるという考えから、コンテンツの制作・提供会社ではないものの、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)に所属し、同会の主催する各種研究会への参加などを通じ当社の知見を高めるとともに、情報交換や著作権の権利保護等の活動を行っております。
いずれも当社の持続的な成長に資するよう引き続き監督を行うとともに、積極的な情報開示に努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
原則1-4 【政策保有株式】
(1)政策保有株式に関する考え方
当社は、保有の意義・合理性が認められる場合を除き、原則として上場株式を政策保有株式として保有しません。
保有の意義・合理性については、発行会社との企業連携や事業シナジーが見込めるか、また保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを毎年個別銘柄ごとに検証したうえで判断します。その結果、保有の意義・合理性が乏しいと判断される株式については、適宜株価や市場動向その他の事情を考慮しつつ売却いたします。
(2)議決権行使について
当社は、上場株式の保有意義を踏まえ、当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、議決権を行使することとしております。

 

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、IR担当部署を設置し、株主や投資家に対しては、年2回以上の決算説明会を開催するとともに、ご要望により、代表取締役社長・取締役最高財務責任者等による個別面談等を行うことで、適切に対話の機会を設けております。また、対話にていただいたご意見については、適宜経営陣に共有する仕組みを構築しております。
なお、対話にあたっては、対話のテーマに留意し、インサイダー情報を厳重に管理しております。

 

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