利上げ懸念で市場が混乱:FRBはもっと慎重になるべき
株・債券が下落
多くの投資家は今年、苦戦を強いられています。実際、世界的に株価が下落し(図表1)、債券価格の下落(利回り上昇)も顕著です。しかし、金融市場の将来に深く絶望する必要は、おそらくないでしょう。
債券利回り上昇、株価下落は、米欧などの政策金利引上げや、それに伴う世界景気の後退懸念によるものです。たしかに、インフレ率(物価上昇率)が極めて高い中、それを抑えるための適度な利上げは、やむを得ません。ただし、大幅利上げ継続を見込んでの株安・債券安は、今後修正されるかもしれません。
利上げラッシュ
米国株は6月中旬頃に底を打ったように見えましたが、8月後半、再び下落基調に転じました。特に、米連邦準備理事会(FRB)議長らが、大幅な利上げの必要性をそれまで以上に強調し始めたからです。
FRBは実際、9月に0.75%の利上げを決定しました(図表2)。その前後にも、ユーロ圏、英国など多数の国・地域の中央銀行が、利上げを決めました。インドネシア、南アフリカなど新興国でも、利上げが相次いでいます。利上げは消費や投資などを抑制するため、当分の間、世界景気の減速が見込まれます。
利上げへの懸念
しかし世界的な利上げラッシュは、今後徐々に落ち着く可能性があります。利上げを急ぎすぎると過度に景気を冷やし、本末転倒になりかねない、といった懸念が、米国などで増えてくるとみられるからです。
各国の中央銀行は、「横並び」で政策を行っている面があります。FRBが大幅な利上げを進めているので自国もそうしよう、といった安易な考えで利上げを実施している国も、少なくないでしょう。よって、FRBが国内の懸念などに配慮し利上げペースを緩めれば、他国も利上げに慎重となる可能性があります。
円安圧力は残る
ただ、日本では、他国の利上げにもかかわらず、日銀が金融緩和を続けています。これは日本株が今年、相対的には底堅いことの一因です。9月22日にも日銀総裁は、超低金利政策の維持方針を表明しました。
そして、金利の高い国の通貨が買われ、低い国の通貨が売られるという動きに基づくドル高・円安圧力が、まだ残っています。22日に政府・日銀がドル売り、円買いの介入に踏み切ったものの、円安を止めるのは容易ではありせん。明確な円高基調に転じるとすれば、FRBが利上げペースを緩めたときでしょう。
様相が変わった
よって、市場が落ち着き、特に米国の金利上昇が一服する(→おそらく株価反発)ことは、投資家と日本政府・日銀が共通して持つ願いです。FRBとしても、市場を混乱させるのは、本意ではないはずです。
今年序盤には、米国のインフレが加速したのは利上げを先送りしたから、とFRBは批判されました。しかし現在は、急激な利上げの弊害が懸念されます。これまでの利上げが実体経済に影響を及ぼすまでには、相当の時間を要します。そうした影響を慎重に点検すべく、FRBは利上げペースを緩めるべきです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会