激変する米中の国際収支勘定
~トランプ政権世界戦略大転換の真因~
【ストラテジーブレティン(376号)】
米国がここまで追い詰められているとは!! 経常赤字が急増する米国、対する中国は黒字の急増という好対照の変化が進行している。米中の国際収支の大変化は必然的にパワーバランスを変える。米国は対中戦略を抜本的に調整せざるを得なくなっている。トランプ政権の一見乱暴に見える国際秩序改編の試みは、この危機感に根ざしている。このままでは米国覇権は危うい。そうした危機感に基づきトランプ政権の新通商戦略が打ち出されたと考えるべきである。
(1)政策不確実性に翻弄される市場
自律調整下の米国株式、口実は政策の不透明性
トランプ政権の政策不確実性がピークに達し、さすがの株式市場も波乱要素を強めている。SP500指数は2月19日の史上最高値6144ポイントから3月31日のザラ場安値5488ポイントまで10%下落し、トランプし当選以降の上昇をすべて返上した。米国株価の一極牽引の時代は終わったように見える。
この株価調整は3要因1)トランプ氏の政策ショックと不確実性、2)リセッション、スタグフレーション懸念、3)高騰し続けた株価の自律調整、の複合と考えられるが、当社は3)の自律調整要因が最も大きいと考える。
確かに政策の不透明性の高まりは大きい。関税の引き上げなどで国際秩序は大混乱、米国が同盟国カナダEUとの間で軋轢を強め、ウクライナ戦争終結を急いでプーチン氏にすり寄る等と言う常識破り政策のトランプ連発で、政権の政策意図が全く読めなくなった。但し経済実態は堅調で、むしろ株価の割高感が一掃された。トランプ政権の政策に対する不安も、これから緩和することも考えられる。
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