どうして、ここから上昇トレンド発生の可能性が高いのか?~2021年11月第1週版~
今週は、選挙を材料に、日経平均株価が上昇して始まりました。しかし、その後、上昇一辺倒ではなく、上下しながら上昇していることもあり、「これから株価は、どちらに動くのか?」が気になる方は他にいますか?
もしくは、選挙を材料に、株価が大きく動くことを期待していた個人投資家にとっては、まだ期待ほどの動きがなく、「いつ動き始めるのか?」が気になる方もいるかもしれません。
そこで今回は、私が日本株市場のトレンドを捉えることを目的に、独自に開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきます。
今週…ボックス圏を抜けた?
まず、こちらをご覧ください。こちらは10/21~11/4の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。
- 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
- 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
- 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
- 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
この4つの指数をふまえると、前週は、それまでの停滞の流れが、さらに強まり、トレンドが非常に乏しい「無風状態」に突入しました。
今週と比較すると明確ですが、前週は株トレンド指数を構成する4つの指数が出てこない状況でした。
そこから今週に入り、ようやく無風状態がやわらぎ、前週よりも動きが出てきました。
ただし、まだボックス圏を抜けるようなトレンドは発生しておらず、日経平均株価の動向ほど市場全体は動いていないとも読み取れます。
そういった意味では、現状は無風状態がやや改善された状態にとどまっていると考えられます。
そこで、直近2ヶ月間の状況も用意しました。こちらをご覧ください。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
こちらを見ると、より鮮明ですが、今週は選挙明けに日経平均株価の上昇から始まりましたので、株式市場が動いた印象があったかもしれませんが、実際には、それほど動いていないことが分かります。
あくまでも、前週までのトレンドがほとんど発生していない無風状態が、やや和らいだだけで、今週もトレンドらしいトレンドが発生していません。
また、今週は日経平均株価が上下しながら上昇していることもあり、体感としては、株価が上がっているのか?それとも下がっているのか?が分かりにくかったかもしれません。
天井指数を見る限り、10月よりも上昇している銘柄数は一時的に増えています。しかし、それと同時に株価の上がり過ぎを示す空売り指数も増加しています。
アクセルである天井指数が上昇しているものの、同時にブレーキである空売り指数も上昇していることをふまえると、ここからもトレンドがどこを向いているのか、何とも難しい状況だったでしょう。
そういった意味では、今週は前週までとは違って、これからボックス圏を抜け、どちらに株価が動こうとしているのか、とても判断が難しい状況でもあったでしょう。
では、週明けの株式市場は、どのような展開が予測されるのでしょうか。
週明けの株式市場の動向は?
週明けの株式市場の展開を予測するにあたり、まず「OVER指数」を見てみましょう。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
「OVER指数」とは、上昇トレンドの展開を大まかに読み取れる指標です。
OVER指数を見る限り、9月前半には一時的な上昇トレンドがあったものの、それ以降は上昇トレンドの機会に恵まれていないことが分かります。
先月のOVER指数はマイナス圏に突入していました。それに加えて、今週はOVER指数が小さく上昇しています。
この動きは、これまでのデータを見る限り、このあと「上昇トレンドが発生」する可能性があるというサインとも読み取れます。
もし、週明けのOVER指数が、30~50の水準まで上昇し、それが連日続くと、そこから大きく株価が上昇する可能性があります。
ただし、ここで注意点があります。それは、上昇トレンドに入る確率は、順張り戦略をもとに考えると「40%」程度の確率なので、「60%」程度は、いわゆる「ダマシ」であるということです。
よって、現状は上昇トレンドに入ることを期待したいところですが、その可能性は50%以下なので、ダマシに合う可能性が高いことを念頭に置いておくとよいでしょう。
では、下落する可能性はどれくらいあるのでしょうか?次は、こちらの「RISK指数」をご覧ください。
週明け暴落の可能性は?
「RISK指数」とは、暴落や大幅下落の展開を大まかに読み取れる指標です。
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です
このRISK指数は、平常時はマイナス圏を推移しています。ただし、暴落や大幅下落があるときは、その直前にプラス圏に現れます。
10月前半はプラス圏に入り、暴落の警戒を緩められませんでした。しかし、前週からマイナス圏に入り、警戒が緩まりました。
そして、今週は前週と比較して、さらにもう一段低い水準でマイナス圏を推移していますので、さらに警戒が緩まっています。
それをふまえると、ここからの暴落リスクは、何か大きい材料がない限り、とても小さくなったと考えられるでしょう。
なお、仮に突発的に暴落が起きる場合でも、過去の暴落時を見る限り、高い確率で、暴落前日に、このRISK指数がプラス圏に入ります。
何もない状態から一気に暴落するのではなく、そういった前兆がありますので、ぜひこういった視点でリスク管理をしておくと良いでしょう。
どうする…週明けの投資戦略?
今週は、最新の投資主体別売買動向のデータが発表されていないので、市場全体の需給バランスは分かりませんが、少なくとも、前週までの無風状態が緩和され、トレンドの発生の兆しが見えてきました。
選挙を材料に株価が大きく動くことを期待していた個人投資家にとっては、物足りない状況かもしれません。しかし、今の株価を動かす材料は、選挙ではなかったことは、ここから読み取れるでしょう。
そして、前週よりは株価に動きがあるものの、まだボックス圏を抜けるような動きは見られません。これからトレンドが発生し、抜ける直前のような動きは見られますが、抜けるには至らないのが現状です。
そのような中、RISK指数は安全圏に入り、OVER指数がこれから上昇の可能性を示す動きに近づいてきているように読み取れます。
それをふまえると、ダマシの可能性もありますが、そのリスクをふまえつつ、やや上昇への準備をしても良いかもしれません。
特に、現在のボックス圏は、今年の中では長い状況です。データ分析する限り、ボックス圏の期間が長ければ長いほど、ボックス圏を抜けたときに、上にも下にも大きく動くという傾向があります。
イメージとしてはボックス圏では、弓矢を引くように、エネルギーを溜めている状態です。
その弓が、選挙を材料に放たれることなく、まだエネルギーを溜めている状態ですので、もし上抜けした場合は、大相場の可能性もあるでしょう。
OVER指数が「30~50の水準まで上昇し、それが連日続く状態」になったら、それは上昇トレンドが発生するサインとも読み取れます。
もし、そのような動きが見られるときは、このボックス圏を上抜けすることを想定し戦略構築すると良いでしょう。
ただし、繰り返しになりますが、上昇には「ダマシ」がつきものなうえ、ダマシの確率は60%程度と、50%を超えています。
よって、そのリスクをふまえつつ、ボックス圏が抜けたときの戦略構築をすることをオススメします。
このような情報を参考にしていただきながら、あなたの週明けの投資戦略を考えてみてはいかがでしょうか。
▼動画での閲覧はこちら▼
今週のポイント~3つ~
【ポイント.1】
今週は前週と違って、日経平均株価と市場全体の動きが、ほぼ連動している状態。前週までの比較的長いボックス圏を抜けたように見えるが、緩やかな上昇にとどまり、まだ抜けきれていない状況。
【ポイント.2】
OVER指数とRISK指数に、大きな動きは見られない。ただし、OVER指数は前週にマイナス圏に連日入っているので、引き続き強い上昇を控える前段階になるか、ダマシかの分岐点に入る。
【ポイント.3】
約2ヶ月間の株トレンド指数の動向を見ると、引き続き約1ヶ月間明確なトレンドがなく横ばい状態。ただし、OVER指数をふまえると、このボックス圏を上抜けへの前兆とも読み取れる。
※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。
※2.本記事は2021/11/4時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。
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この記事を書いている人
高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)
トレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。12年間でたった一度負けがあっただけで、11年間安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック。
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