日銀の金融政策(2015年12月)~「量的・質的金融緩和」の補完措置を決定~

2015/12/21

日銀の金融政策(2015年12月)~「量的・質的金融緩和」の補完措置を決定~

【ポイント1】購入国債の残存期間長期化

新たなETF買入れ枠を設定
■日銀は、17日~18日の金融政策決定会合で、現行の「量的・質的金融緩和」の維持と、それを補完するための新たな措置の導入を決定しました。日銀総裁は今回の措置のねらいを、現行の資産買入れ策を円滑に進めることと、政策を効果的に浸透させることとしました。また、今回の措置は、「追加緩和にあたらない」との見方を示しました。

■日銀の発表資料によると、新たなETF(上場投資信託)買入れ枠の設定は、年間約3,000億円の枠を設け、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFを買い入れるとしています。ただしこの金額は、来年4月に再開される日銀保有株の売却額とほぼ同等の規模であり、株式市場全体にとっては中立の要因と考えられます。

20151218jp1

【ポイント2】株価は乱高下、前日比下落

米ドル円レートは円高方向の反応
■18日の日経平均株価は、日銀の発表直後、ETFの新たな枠設定などを受けて一時前日比500円以上急騰する場面もみられました。その後、政策内容の詳細が明らかになるにつれ下落し、結局、終値は同360円以上安い18,986.80円でした。

 20151218jp2

【今後の展開】企業支援策を拡充し、経済の好循環、物価目標の達成を後押し

■黒田総裁は、2%の「物価安定の目標」の達成時期について、「2016年度後半ごろ」との従来の見方を維持しました。今回の補完措置には、上場企業以外をも対象とした「成長基盤強化支援」のための資金供給策拡充も盛り込まれており、企業の所得増から支出拡大へという経済の好循環と「物価安定の目標」達成を強く後押しする姿勢がうかがわれます。

■黒田総裁は会見で、今回の決定が「追加緩和」ではなく現行政策を「補完」する位置づけにあることを繰り返しました。直近の日銀短観でみて企業の景況感が底堅く推移していること、日銀の物価目標の達成見通しに変化がないことなどを踏まえると、当面は追加緩和を見通しにくい状況です。景気と物価の改善が進むかが引き続き焦点と考えられます。

 

(2015年12月18日) 

印刷用PDFはこちら→

今日のマーケット・デイリー 日銀の金融政策(2015年12月)~「量的・質的金融緩和」の補完措置を決定~

関連マーケットレポート

2015年12月14日 日銀短観と市場動向

2015年12月11日 法人企業景気予測調査(10-12月期)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ