中銀タカ派発言の余波と地政学リスク

2017/07/05

市川レポート(No.413)中銀タカ派発言の余波と地政学リスク

  • 先週はECB総裁などのタカ派発言で、ユーロ、ポンド、カナダドルが上昇、ドル円は小動きにとどまる。
  • 今週は週初に発表された良好な米経済指標を受け、米ドルが上昇、ドル高・円安の動きが拡大。
  • 金融政策正常化は日本株に悪くない材料、北朝鮮リスクは米国の対応が焦点、警戒感は残ろう。

 

先週はECB総裁などのタカ派発言で、ユーロ、ポンド、カナダドルが上昇、ドル円は小動きにとどまる

6月26日から28日に、ポルトガルのシントラで欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムが開催されました。このフォーラムでは、ECBのドラギ総裁、イングランド銀行(BOE)のカーニー総裁、カナダ銀行(BOC)のポロズ総裁から、そろって金融政策の正常化について前向きな発言がみられ、ドイツ国債、英国債、カナダ国債の利回りが上昇し、ユーロ、英ポンド、カナダドルが、対主要通貨で上昇しました。

この動きを示したものが図表1です。6月26日から6月30日までの間、ドイツ、英国、カナダの10年国債利回りは、いずれも20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超上昇し、通貨もそろって対米ドルで2%超上昇しました。なお10年国債利回りは、日米でも連れて上昇する動きがみられましたが、為替はユーロ、英ポンド、カナダドルを買う相対として米ドルや日本円が売られたため、この2通貨の為替レートは小動きにとどまりました。

 

今週は週初に発表された良好な米経済指標を受け、米ドルが上昇、ドル高・円安の動きが拡大

為替について、6月26日から6月30日までの間、相対的な強さの順に通貨を並べると、英ポンド、ユーロ、カナダドル、米ドル、日本円となります。日本円が最弱通貨であることから、上記期間において、各通貨の対円為替レートは、いずれも円安方向に振れました。ただし米ドルも相対的に弱い通貨となったため、日本円の下げは対米ドルで最も小さくなりました。

今週は7月3日に米国で6月分のISM製造業景況感指数が発表され、予想を上回る良好な結果となりました。米国発の材料ということで、米10年国債利回りと米ドルの上昇が顕著となりました。6月30日から7月3日までの間、相対的な強さの順に通貨を並べると、米ドル、カナダドル、ユーロ、英ポンド、日本円となります。日本円が依然、最弱通貨である一方、米ドルが最強通貨となったため、日本円の下げは対米ドルで最も大きくなりました。

 

金融政策正常化は日本株に悪くない材料、北朝鮮リスクは米国の対応が焦点、警戒感は残ろう

日銀が現行政策を維持する見通しが続く限り、金融政策の正常化に関する材料が浮上した場合、それが欧州発でも米国発でも、為替市場は円安に振れやすくなります。その際、主要国で長期金利が上昇しても、株価の大幅な調整につながらなければ、市場がリスクオフ(回避)に傾く度合いは限定されると思われます。そのため日本株にとっても、円安などが追い風となり、それほど悪い材料ではないと考えます。

なお日本時間7月4日午後3時半頃、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと発表しました。同じく日本時間7月5日午前7時過ぎ頃、ティラーソン米国務長官は北朝鮮がICBMを試射したと述べ、ミサイルはICBMであったとの認識を示しました。市場は比較的冷静な反応を示していますが、朝鮮半島の非核化を目指す米国の今後の対応が注目され、警戒感は残る可能性があります。

 

170705図表1170705図表2

 

(2017年7月5日)

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友アセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友アセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

コラム&レポート Pick Up