日本株を支える適温相場

2017/06/21

市川レポート(No.408)日本株を支える適温相場

  • 世界的に緩やかな景気回復と金融緩和の併存で適温相場が形成され、日本株を支える要因に。
  • 適温相場のカギは米経済指標と物価動向、これらの下振れが続けば、円高と日本株調整の恐れ。
  • 大幅な上振れでも円高と株安のリスク、適度な米指標改善と緩やかな利上げで適温相場継続へ。

 

世界的に緩やかな景気回復と金融緩和の併存で適温相場が形成され、日本株を支える要因に

日経平均株価は6月20日、3営業日続伸し、6月2日以来、約半月ぶりに年初来高値を更新して取引を終えました。日米金融政策などの重要イベントを無難にこなし、投資家に安心感が広がったことが背景にあると思われます。またこれに加え、6月14日付レポート「年後半のリスクシナリオを考える」でお話しした通り、いわゆる「適温相場」も、日本株を支える要因になっていると考えます。

適温相場とは、世界的に緩やかな景気回復と金融緩和が併存することで、相場が熱すぎる(強気すぎる)こともなく、冷たすぎる(弱気すぎる)こともない、適温の状態にあることをいいます。これは、株式などのリスク資産にとっては好ましい環境であり、実際、ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数、ドイツのDAX指数は、終値ベースで過去最高値を更新しています。

 

適温相場のカギは米経済指標と物価動向、これらの下振れが続けば、円高と日本株調整の恐れ

適温相場の持続性について、カギを握るのは米国の経済・物価動向とみています。米国では予想を下回る経済指標の発表が続いており、物価の伸び悩みと期待インフレ率の低下傾向が顕著です(図表1)。そのため市場では、米国の利上げペースについて、米連邦公開市場委員会(FOMC)の想定よりも緩やかになるとの見方が多く(図表2)、これが低金利環境の長期化という思惑につながって株高を促していると推測されます。

しかしながら、経済指標の下振れと物価の鈍化は、株価にとっては本来マイナスの材料です。そのため、この傾向が続けば、米国景気の先行きに不透明感が強まることになり、市場は適温相場の終了を織り込み始める恐れがあります。ここに米景気対策の遅延が加わった場合、一段の米長期金利低下とドル安の進行が予想され、円高と日本株の調整というリスクが顕在化することも考えられます。

 

大幅な上振れでも円高と株安のリスク、適度な米指標改善と緩やかな利上げで適温相場継続へ

一方、米国で経済指標の改善と物価の持ち直しが鮮明になれば、市場が織り込む米利上げペースはFOMCの想定に近づきます。仮に米指標の大幅な上振れが続いた場合、米利上げの織り込みが一気に進み、米長期金利とドルの急騰で米国株が崩れ、日本株も連れ安となり、為替市場ではリスクオフ(回避)の円高(つまりドルも円も対主要通貨で上昇)が見込まれます。ただ足元の米景気動向からは、このシナリオが実現する可能性は低いと考えます。

現時点で株式市場にとって最も好ましいシナリオは、米国で経済指標の改善と物価の持ち直しがゆっくりと進み、米景気対策の多少の遅延でも、景気に影響しない程度の緩やかなペースで利上げが行われ、適温相場が続くことです。この場合、為替市場ではそれほど明確にドル高・円安が進まない可能性はありますが、日本株は比較的底堅い動きが維持されると思われます。

 

 

 

170621図表1170621図表2

 

 

(2017年6月21日)

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