ECBも利上げ開始、マイナス金利を解除
▣ 11年ぶりの利上げ、ゼロ金利政策終了
欧州中央銀行(ECB)は7月21日に開いた理事会で、政策金利を通常の2倍の幅となる0.5%引き上げました(図表1)。主要政策金利がゼロ%からプラス0.5%に、銀行が中央銀行に預ける際の金利(中銀預金金利)がマイナス0.5%からゼロ%に引き上げられ、2014年6月に導入されたマイナス金利政策が終了する形になりました。
前回6月の理事会では7月に0.25%の政策金利引き上げの方針が示されており、今回の理事会では0.25%利上げとの見方も多かったものの、より積極的なインフレ退治に踏み切った格好です。
「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じて保有する債券・国債の償還後の再投資については、少なくとも2024年末まで継続する方針を維持しました。
また、経済情勢の異なるユーロ圏諸国の国債利回り格差を抑制するため、「Transmission Protection Instrument(TPI)」と呼ぶ、新しい債券買入れ措置の導入を決めました。イタリアなど南欧諸国の国債利回りが上昇した場合に債券を買い入れる仕組みですが、発動基準などはまだ不透明です。
▣ 欧州の金融市場の反応は
21日の欧州金融市場は、積極的な利上げが続き、欧州景気が冷え込むとの警戒から、欧州株はやや売りが優勢になりました。独長期金利は一旦大きく上昇しましたが、景気悪化懸念から債券買いが優勢になり、低下する動きになりました。ユーロも一旦買いが強まったものの、その後は売りに押されました。
また、TPIの詳細が不明であると受け止められ、イタリア国債は売りが先行しました。
今後は、欧州のインフレ動向や利上げの最終的な水準に加え、利上げによる欧州経済への影響やTPIの運用などを確認していくことになります。
▣ 今後はデータに基づき決定
理事会後のラガルド総裁の主な発言は以下のとおりです。
- TPIの存在で、ECBはより大きな利上げを選択することができた。
- インフレ率は当面の間、望ましくないほど高い水準でとどまると予想している。
- インフレ圧力はますます様々なセクターに広がっている。
- ユーロ安もまたインフレ圧力を高めている。
- インフレに関するリスクは上方向。
- 今後については会合ごとにデータに基づき決定する。
- 利上げを加速させたが、最終的な到着地点(Terminal Rate)は変わらない。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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