IMF 世界経済見通しメモ(2022 年 4 月)

2022/04/20 <>

▣ 2022年の世界の成長率を大きく引き下げ

国際通貨基金(IMF)は4月19日、最新の経済見通しを発表しました。ロシアのウクライナ侵攻と新型コロナウイルス感染拡大による中国のロックダウン(都市封鎖)を受けて、2022年の世界経済成長率見通しを大幅に下方修正、インフレ予想は上方修正しました。

2022年の世界の成長率は、ウクライナ侵攻前の1月時点では4.4%の予想から、3.6%に引き下げられました。2023年の予想も3.6%と、前回予想の3.8%から下方修正されました。(世界および主要国の見通しは図表1、2を参照)。

▣ 地域別の2022年の成長率は

  • ロシアと経済的な結びつきが強いユーロ圏は2.8%と、1月時点の3.9%から下方修正。
  • 米国は3.7%と、金融政策の引締めも踏まえ、前回の4.0%から下方修正。
  • 中国は4.4%と、新型コロナウイルス感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策の影響を背景に、前回の4.8%から下方修正。
  • 日本についても、原油などの原材料価格の上昇やウクライナ情勢による不確実性の高まりによって国内需要の回復のペースが鈍化するほか、外需についてもウクライナ情勢に伴うヨーロッパ経済の減速の影響などを受けることから、3.3%から2.4%に下方修正。
  • ロシアについてはマイナス8.5%と、前回の2.8%から大幅に下方修正。

▣ インフレを警戒

今年のインフレ率は先進国・地域で5.7%、新興・発展途上国では8.7%と、1月予想からそれぞれ1.8ポイント、2.8ポイント引き上げました。2023年にはそれぞれ2.5%、6.5%に低下すると見込んでいます。

<インフレについてのIMFチーフエコノミストの主な見解>

  • 戦争の影響は、一次産品市場や貿易、金融を通じて、地震波のように広範囲に伝播していく。
  • ロシアは石油やガス、金属の主要供給国のひとつであり、また、ウクライナとともに小麦やトウモロコシの主要供給国。
  • 中国における最近のロックダウンは、グローバル・サプライチェーン(供給網)に新たなボトルネック(制約)を発生させる可能性。
  • 戦争勃発前から、一次産品価格の高騰と需給不均衡を受けて、インフレが加速していた。
  • 戦争関連の混乱によって、そうした圧力が高まり、インフレはより長期にわたって高い水準で推移することになると見られる。
  • インフレ期待が中央銀行の物価目標から逸脱するリスクが高まっており、政策当局者はより積極的な引締め対応を促されている。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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