進む円安
▣ 日米の金融政策の方向性の違いから、ドル円は126円台に上昇
4月13日の東京外国為替市場でドル円は126円台前半と、2002年5月以来およそ20年ぶりの安値を付けました。一旦125円台に押し戻されたものの、15日には米長期金利の上昇を受け再び126円台に乗せてきています(図表1)。
米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引締めを加速させるとの見方が広がる中、日銀の黒田総裁が13日午後に、「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」と発言したことを受け、改めて日米の金融政策の方向性の違いが意識されたことが、ドル円を押し上げた模様です。
日銀は長期金利が0.25%に近づくと、指値オペで金利上昇を抑制する姿勢を維持しています。一方、米国ではFRBが5月の会合で、0.5%の大幅利上げに加え、米国債などの保有資産を圧縮する量的引締め(QT)開始を決定することがほぼ確実視されています。
更に、米国では6月以降の会合での大幅利上げの可能性や、インフレ高進が続き、利上げ局面が長引くことへの警戒に加え、量的引締めにより米国債市場の需給が悪化するとの懸念も米長期金利を押し上げ、ドル買いを促しているとも言えそうです。
▣ インフレ上昇のピークアウト観測も
もっとも、米国ではインフレ上昇のピークアウト観測も出てきています。3月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率は前月比1.2%と市場予想(同1.1~1.2%)とほぼ同水準だったものの、変動が激しいエネルギー・食品を除くコア指数は同0.3%と市場予想(同0.5%)を下回り、2月の同0.5%から減速しました。
とはいえ、やや落ち着いたとみられた米長期金利は、ハト派とされるニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、5月の0.5%の利上げについて「妥当な選択肢だ」と述べたことを受け、14日には再び2.8%台に乗せました。
インフレ上昇がピークアウトしたとの確信が持てるまでは、金融市場は不安定な動きが続く可能性があります。
▣ 投機筋のポジションは
他方、投機筋の円売りポジションについては昨年11月以来の水準まで積み上がっており、目先ドル買い・円売りが弱まってもおかしくはありません(図表2)。
▣ 各国中銀が引締めに動く中、日銀は
インフレの高進を抑制するため、13日にニュージーランド準備銀行が22年ぶりに0.5%の大幅利上げを決定したのに続き、カナダ中銀は20年ぶりの大幅利上げとともに、量的引締め開始を決めました。14日には韓国中銀が0.25%の利上げを決定しました。
国内でも、携帯電話通信料値下げの影響はく落や国際商品市況高騰により伸びが加速するとみられ、日銀の黒田総裁も4月以降のCPIが2%程度の伸びとなる可能性に言及しています。
日銀については、4月の東京都区部のCPI(5月6日発表)を受けて、円安抑制に動くかどうかが注目されます。高いインフレの伸びでも動かなかった場合には円安が一段と進行することも想定されます。
他方、鈴木財務相は外国為替市場で進む円安について、「為替の安定が重要で、急速な変動は望ましくない」と重ねて強調していますが、市場は反応薄です。円買い介入の蓋然性が高まるまでは通貨当局の影響は限定的と言えそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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