押し目待ちの超長期債
▣ 日銀は指値オペを3年7か月ぶりに発動
日銀は2月14日、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指値オペを2018年7月以来3年7か月ぶりに発動し、足元の長期金利(新発10年国債利回り)の上昇を抑え込む姿勢を示しました。
ただ、10年国債を利回り0.25%で買い取る指値オペには応札はなく、10日に一時0.23%まで上昇していた長期金利は、0.21%前後までの低下にとどまりました(図表1)。
▣ 日銀は上限の0.25%までの上昇を許容
日銀は2018年7月末に、長期金利をゼロ%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)下における長期金利の許容変動幅を、±0.1%から±0.2%程度に拡大した際には、長期金利が0.145%に上昇した時点で、臨時の国債買いオペを実施し、金利上昇を抑制しました。
今回は上限ぎりぎりの水準でのオペ発動となり、0.25%までの範囲内での動きなら許容する姿勢を示した格好です。
▣ 超長期債利回りの変動性は高まりそう
債券市場では日銀の金融政策変更への思わくは依然としてくすぶっており、欧米の中央銀行が一段とタカ派にシフトする中、国内の長期金利の低下はウクライナ情勢などの地政学リスクを除けば、限定的となる可能性があります。
ただ、長期金利の動きが限定的である一方、超長期債利回り(10年超の債券利回り)の変動性はやや高まりそうです。
▣ 超長期債利回りには上昇余地も
日銀がマイナス金利を導入した2016年1月29日の前日の長期金利は0.22%、20年債利回りは0.915%、30年債利回りは1.17%、40年債利回りは1.305%程度でした。
足元の長期金利はすでにマイナス金利導入前の水準に戻っています。一方、20年債利回りは0.735%、30年債利回りは0.99%、40年債利回りは1.025%程度(2月17日時点)と、マイナス金利導入前の水準をまだ大きく下回っています。
超長期債への押し目買い意欲が根強い証左とも考えられますが、20年債など超長期債利回りの上昇余地が残っているとみることもできます。
▣ 超長期ゾーンはもう少しベア・スティープ化する可能性も
10年債と20年債との利回り格差、20年債と30年債との利回り格差、30年債と40年債との利回り格差についても、マイナス金利導入前の水準を大きく下回っています(図表2)。
今後、金利上昇圧力が強まる局面では、長期金利は0.25%で抑えられる一方、超長期債の利回りの上昇が長期金利とともに止まるとは限りません。超長期ゾーンはもう少しベア・スティープ化(年限の長い債券の利回りほど上昇)する可能性もありそうです。
▣ 慎重に押し目を探る
20年債、30年債利回りの一応の目安としては、10年債と20年債の利回り格差が2018年以降で最も高かった2018年11月の0.54%程度まで拡大すると、20年債利回りは0.7%台後半の水準になります。
また、20年債と30年債の利回り格差は足元で0.25%程度、また2018年11月も0.2%半ばの水準で、20年債利回りにこの利回り格差を上乗せすると、30年債利回りは1.0%を超えてきます。
しばらくは、内外の金融政策やインフレの動向に加え、ウクライナ情勢など不透明感が強い中、慎重に押し目を探ることになりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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