ユーロ圏の発展:それを熱烈に期待すべき理由
ユーロが拡大
試練を乗り越え、ユーロ圏は発展し続けています。世界経済において米国、中国とともに3大勢力の一角をなすユーロ圏(図表1)が健全な発展をとげることは、地球的な視点から言っても望ましいことです。
ユーロ圏とは、欧州連合(EU)加盟の27か国のうち、ユーロを採用する国々です。今年1月1日、それが19か国から20か国へ広がりました。東欧の美しい国、クロアチアが、ユーロを正式に採用したのです(EUには従来から加盟)。このことは、ユーロ圏の発展を象徴する出来事として、極めて重要です。
ユーロの歴史
通貨ユーロは、1999年に誕生しました。EUの平和と繁栄を推し進めるには、共通通貨の導入によって域内の経済統合を進めることが必要、との考慮によるものです。これは、極めて冒険的な試みでした。
ユーロを採用すれば、当然ながら自国固有の通貨を放棄せねばなりません。そして、金融政策の主導権を欧州中央銀行(ECB)に譲り渡さねばなりません。これらは、自国の主権に固執しすぎる人にとっては面白くないはずです。実際、各国の極右(国粋主義)勢力は、総じてユーロの将来性に懐疑的でした。
ユーロの危機
そうした懐疑は、ユーロ圏の第2、第3の経済大国であるフランスやイタリアの極右において顕著でした(第1の経済大国はドイツ)。ただ、そのような勢力も、最近は反ユーロの姿勢を和らげつつあります。
また2010年頃には、欧州債務危機がユーロの存続を脅かしました。ギリシャの経済危機を受け、自国の事情に応じた金融政策を行いにくい、という共通通貨の問題が露呈したのです。しかし結局、ユーロを採用したままギリシャ経済は好転し、そうした問題はユーロの致命的な弱点ではない、と判明しました。
ユーロの利点
ユーロを採用すれば、採用国間の移動や取引が容易になります。またユーロ採用国は、経済危機に陥った場合、ECBによる金融支援を期待できます。反ユーロ姿勢の後退には、そのような事情があります。
とはいえ、ユーロ圏への試練は続いています。昨年2月にはロシア・ウクライナ戦争が始まり、ロシア産資源への依存度が高かったドイツなどのインフレ率を、急激に高めました(ただ、足元はインフレ鈍化)。それでも家計・企業への補助金支給などで、ユーロ圏経済は壊滅的な落ち込みを免れています(図表2)。
ユーロに期待
ただし、インフレ率を押し下げるべく、ECBは利上げを当面継続するでしょう。また、ロシアは対欧州のガス輸出を完全に停止するかもしれません。よってユーロ圏経済は当面、厳しい状況が続きそうです。
それでも、ユーロ圏への参入をクロアチアは念願し、今年それが実現したのです。念願の背景にあるのは、自由や民主主義、環境保護を重んじるユーロ圏の理念への共感です。このような理念には、人間・動物の尊厳と地球の存続を願う筆者も、強く共感します。だからこそ、ユーロ圏の発展が期待されるのです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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