来週の金融市場見通し(2025年4月14日~2025年4月18日)
■来週の見通し
トランプ米大統領は9日に発動した相互関税の上乗せ分を一部の国を除いて90日間停止すると表明しました。ただ、ホワイトハウスが10日には、125%とみられていた中国に対する追加関税が、3月までに課した20%の追加関税と合わせて145%になると明らかにしたことを受け、再び投資家心理が悪化することになりました。来週は、引き続きトランプ政権の動向や全国消費者物価指数(CPI)などの経済指標に加え、大手米銀決算や日銀の中川審議委員の講演なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :値動きが激しい展開が続く
今週の日本株は、値動きが激しい展開となりました。トランプ政権が発表した相互関税が世界経済を悪化させるとの見方から、投資家心理が悪化し、株価を下押ししました。9日に、トランプ政権が日本などの一部の国に対する相互関税率を一時的に引き下げることを発表すると、大きく反発する場面がありましたが、週末には激しさを増す米中貿易戦争への懸念から、値を下げて引けました。
来週の日本株も、トランプ大統領の発言やそれに対する中国の反応を受けて、値動きが激しい展開が続きそうです。ただし、来週は目立った重要イベントは予定されておらず、関税政策をめぐる新たな動きがなければ、徐々に落ち着きを取り戻す可能性もあります。17日の台湾の半導体大手TSMCの決算発表後は、半導体関連株の値動きが激しくなることが予想されます。
◆長期金利 :神経質な動き
今週は、週初はトランプ政権による関税政策への警戒感から、安全資産とされる債券への買いが広がり、一時は1.105%と約3か月ぶりの水準まで低下しました。その後は、一旦株価が反発したことや30年国債入札が低調な結果となったこと、トランプ大統領が相互関税の上乗せ分の一時停止を表明したことを受け、リスク回避の持ち高が巻き戻され、長期金利は1.3%台まで上昇しました。
相互関税については一律10%の基本税率部分は継続されます。また、中国に対する追加関税が引き上げられたことから、米インフレへの警戒がくすぶり、米金利とともに長期金利も低下しにくくなることも想定されます。一方、貿易戦争激化への懸念が強まる場面では、長期金利に下押し圧力がかかることも想定されます。20年国債入札も確認しながらの神経質な動きが続きそうです。
◆Jリート :方向性を探る
今週の J リート市場は、米関税政策をめぐる報道に一喜一憂する展開となり、変動性の高い値動きとなったものの、米政府が相互関税の上乗せ部分を中国など一部の国を除いて90日間停止すると発表したことなどが好感され上昇しました。今週末の分配金利回りは 5.101%(東証上場 REIT の予想分配金利回り、QUICK 算出)でした。
来週は、日米長期金利の動向や米関税政策の影響を睨みながら、方向性を探る展開となることを想定しています。米政権の関税政策により、市場では当面リスク回避圧力が高い状況が継続することが見込まれるものの、引き続き5%超の予想分配金利回りに着目した一定の買いが下支え要因になると見込まれます。また、長期金利が1.3%台に低下しており、Jリート市場の下押し圧力を緩和する可能性もあります。
◆為替:変動性高い
今週のドル円は、142円台から148円台で大きく乱高下する展開となりました。トランプ大統領が対米貿易黒字の大きい約60か国・地域を対象とした相互関税について、90日間の猶予を発表した一方、米中の貿易戦争が激しさを増し、世界的な景気減速が懸念されている状況です。このような環境下、リスク回避の動きが優勢となり、安全通貨とされる円に資金が流入したことで、週末にかけ、ドル円は一時142円台まで下落しました。
来週も今週の流れが続くことが見込まれ、ドル円は変動性の高い展開が見込まれます。トランプ大統領の関税政策に関する発言や今後の米中貿易戦争の展開によってはさらにドル安円高が進行する場面がありそうです。当面、世界的な景気後退懸念から、安全通貨とされる円を買う動きが優勢となりそうです。
◆米国株 :金融機関などの決算に注目
今週の米国株は、値動きが激しい展開となりました。9日に、トランプ政権が日本などの一部の国に対する相互関税率を一時的に引き下げることを発表すると、大きく反発する場面がありましたが、米中貿易戦争の激化への懸念が株価を下押ししました。
来週は、今週末から本格化する金融機関などの決算発表が注目されます。トランプ政権の政策が企業業績を悪化させるとの懸念が強まっていますが、決算の内容が市場予想を上回ると、投資家心理が改善し、株価を押し上げる可能性があります。引き続き、トランプ政権の関税政策や中国の報復措置が相場を動かす場面もありそうです。17日の台湾の半導体大手TSMCの決算発表後は、半導体関連株の値動きが激しくなることが予想されます。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(3月) 4月18日(金)発表
2月の全国・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.0%上昇と前月(同3.2%上昇)から伸びが縮小しました。食料品の価格の伸びは加速したものの、政府による電気・ガス代補助の再開がエネルギー価格を押し下げました。
3月のコアCPIは伸びが拡大することが予想されます。食料品の上昇が続くことに加え、賃金上昇を背景にサービス価格も緩やかに上昇する見込みです。
米小売売上高(3月) 4月16日(水)発表
2月の米国の小売売上高は前月比0.2%の増加と、市場予想を下回る内容となりました。オンライン通販などの無店舗小売は増加となりましたが、自動車やガソリンなどの販売が減少しました。
3月は前月比1.4%程度の増加が見込まれています。底堅い雇用環境は個人消費の支えとなるものの、トランプ政権下での関税政策を巡る不透明感から消費者マインドが悪化するなかで、個人消費の増勢が維持されるのかに注目が集まります。
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