新FRB議長の議会証言は「タカ派」なのか?
月跨ぎとなった今週の日経平均ですが、節目の22,000円台を回復してスタートしたものの、月初となる3月1日(木)は再びこの水準を下回って取引が始まりました。まだ相場は崩れていないと思われますが、かといって上値を追うにもイマイチ自信の持てない相場地合いとなっています。
また、今週最大のイベントは、米国FRB(米連邦準備理事会)のパウエル新議長による議会証言です。細かく言えば、27日に下院(金融委員会)で、3月1日に上院(銀行委員会)にて行われるのですが、足元の米国経済の見方や今後の金融政策のスタンスについて、2月に就任した新議長の姿勢が初めて公の場で示されるだけでなく、2月前半に日米の株式市場が急落した後ということもあって、その注目度は高まっていました。
27日に行われたパウエル新議長の証言を受けた米国株市場は、株式が下落、為替がドル高(円安)、債券が下落(利回りは上昇)という反応を見せました。証言の内容が「タカ派」寄り、つまり、利上げに対して前向きと受けとめられたためと思われます。
ただ、米国の経済判断や利上げペースに対するパウエル議長の発言内容は、これまでのFRBの見解と大きく変わったところはなく、「経済は好調で、それに伴って利上げを行うのは当然」というもので、証言そのものはさほどタカ派ではなかったのですが、結果的にタカ派として認識されてしまったことになります。
むしろ、市場の方が直近の株式市場急落を受けて、「FRBは今後の利上げペースに対して手綱を緩めるのでは」と期待していた面があります。過去においても、市場が大きく荒れた際に、「イエレン・プット」や「バーナンキ・プット」など、動揺を落ちつかせる金融政策の対応を行ってきました。今回は「パウエル・プット」への期待があり、その反動が出たと考えた方が良いのかもしれません。
とはいえ、パウエル議長の議会証言は、経済の過熱や利上げ実施による過度な金融引き締め効果、政策判断の注目材料やヒントなどに対して踏み込んだ発言がなく、やや説明不足だった面もあります。長期金利の上昇がにわかにリスクとして意識され始めたことで、金融当局への眼差しが、「政策によって市場をコントロールできるか?」よりも、「市場や経済環境によって、政策を打たざるを得なくなる状況に追い込まれる」という警戒感の方へ向かって行く可能性があります。
そのため、デビュー間もないパウエル新議長の「市場との対話力」が試されるのはこれからが本番と言えそうです。
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